恩師のResilienceは、「どんな状況でも瞳をこらして、人生の美しさや豊かさを味わう」こと!

Resilienceと先生

Resilienceと先生

桜が咲き、始まりのエネルギーが満ち溢れる季節を迎えようとしている時に、訃報も同時に訪れます。わたしの恩師も、桜の開花を待たずに旅立たれました。

 高校時代、先生が教えてくださる英語をほとんど習得できず、わたしはただの劣等生でした。2年間も担任して下さった先生の印象は、タイトスカートを着こなし、おしゃれでありながら有能で気の強い、イギリスのメイ首相のような女性でした。

 その後は何も顧みることなく、高校卒業から20数年後。今思えば、「先生がパーキンソン病という難病で入院された」とクラスメートに聞かされた時から、特別補習授業がわたしの知らない間に始まっていたのです。

 パーキンソン病とは、脳の異常のために、体の動きに障害があらわれる 難病で、現在もなお治療方法は無く、対処療法しかない進行性の病気です。

 お見舞いに伺った時にはかなり病状が進行していて、移動は車椅子。話す言葉も聞き取りにくい状態ですが、先生は頭脳明晰でした。それどころか、先生の風刺的観察眼に磨きがかかっています。まるで、進行性で動かなくなっていく肉体という牢屋に閉じ込められた先生の知性。この時から、難病と闘う先生とメールのやり取りが始まりました。

 動きづらい右手に左手を添えて、1本指でパソコンのキーボードを叩いてメールを下さる先生。20代で初めてデモ行進に参加した体験談。教育制度への批判。海外旅行の思い出。ご主人に先立たれても「リハビリを頑張る」とメールを下さる先生に、強さの秘訣を尋ねました。

 それは、「どんな状況でも瞳をこらして、人生の美しさや豊かさを味わう」こと。そうすれば、「前に進む勇気や元気が湧いてくる」と。

30年にも及ぶ闘病の日々や、先生が下さる言葉から、わたしは先生のResilience(レジリエンス)、どんな困難にも挫けない内面の強さを学びました。先生と再会してからの日々は、生き方や心の置き方を学ぶ特別補習授業でした。

 今も英語はダメダメのわたしですが、先生の言葉と闘病から学んだResilienceをせめて身につけたいと思う、この春です。

Resilience(レジリエンス)と先生

Resilience(レジリエンス)と先生

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