コミック『さよならわたしのおかあさん』は、切なくて温かい

マンガ『さよならわたしのおかあさん』は切なくて温かい

コミック『さよならわたしのおかあさん』は切なくて温かい

コミックは、お好きですか?今回は、”自伝的エッセイコミック”をご紹介します。

『さよならわたしのおかあさん』吉川景都(よしかわ・けいと)著、新潮社、2018年11月刊

このコミックは、著者の吉川景都さんがご自身の妊娠・出産・育児とリンクして体験されたお母様の癌の発病・闘病・ご逝去を絵と言葉で綴られた作品です。

結婚し、仕事を持ち、妊活から出産を経ながらも、お母様に頼ってしまう吉川さんと、癌の痛みや死への恐怖を押し隠し、不安そうな娘を支え、励ますお母様との数々のエピソード。

お母様の決めゼリフ、『(わたしはあなたを)そういう風に育ててある』には痺れます。ついつい甘えてしまう娘に、このセリフを言って励ますことができるなんて、お母様の子育てへの自信と娘への強い信頼に驚かされます。

あとがきで、吉川さんはこのように書いていらっしゃいます。

時折鏡にうつる自分の顔に、なにげない口癖やしぐさの中に、

おかあさんの面影を見つけるたびに、

自分が生きていること自体がおかあさんの形見だなと

思うことがあります。

この一節を読みながら、思わず「そうなの、わたしも似てきちゃった」と頷いてしまいます。

さよならわたしのおかあさん

コミック『さよならわたしのおかあさん』は切なくて温かい

絵もシンプルで穏やかです。そして何よりも、吉川さんのお母様への愛情や哀しみがストレートに伝わってきます。さらに、お母様のご逝去を受け入れ、ご自身が授かったお嬢さんとお母様の形見でもある私たち家族で、明るく楽しく生きていこうという心の音色が聞こえます。

『自分のいたらなさや、葬儀のシーンなど、描くのがしんどい場面も多く、

掲載スケジュールを散々修正してもらいながらの連載でしたが、

終わってみたら、描いて残せてよかった、と思いました。

とあとがきで吉川さんは綴られています。この気持ちが滲み出ているからこそ、このコミックは、とても切なくて温かいです。

コミック『さよならわたしのおかあさん』は切なくて温かい

コミック『さよならわたしのおかあさん』は切なくて温かい

『さよならわたしのおかあさん』吉川景都 著

コミックバンチWeb  :  https://www.comicbunch.com/manga/end/sayonara/

書籍:新潮社、2018年11月刊

以上

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