血圧やコレステロール、血糖値に異常がない肥満でも、将来的に糖尿病を発症する可能性が4.3倍!

血圧やコレステロール、血糖値に異常がない肥満でも、将来的に糖尿病を発症する可能性が4.3倍!

血圧やコレステロール、血糖値に異常がない肥満でも、将来的に糖尿病を発症する可能性が4.3倍!(Q KによるPixabayからの画像)

BMI(ボディ・マス指数)が高く肥満(*注1)と判定されても、血糖値や血圧値の上昇、コレステロール値など、有害な代謝の問題がない方がいらっしゃいます。このような幸運なタイプは「代謝的に健康な肥満」と呼ばれ、人口の3~22%がこのタイプに該当するそうです。このふくよかな方々は、本当に「健康」なのでしょうか?2021年6月に発表された研究の要点を分かりやすくご紹介します。

英国グラスゴーのグラスゴー大学健康福祉研究所のフレデリック・ホー博士ら研究グループは、2007年から2010年にかけて、イングランド、スコットランド、ウェールズの一般住民から応募された381,363人を平均11年追跡調査した結果を分析しました。その結果は下の通りです。

血圧やコレステロール、血糖値に異常がない肥満でも、将来的に糖尿病を発症する可能性が4.3倍!

血圧やコレステロール、血糖値に異常がない肥満でも、将来的に糖尿病を発症する可能性が4.3倍!(GruenApによるPixabayからの画像)

  • 「肥満のない代謝的に健康な参加者」と比較して、「代謝的に健康な肥満の参加者」は2型糖尿病になる可能性が4.3倍高い
  • 「肥満のない代謝的に健康な参加者」と比較して、「代謝的に健康な肥満の参加者」は心臓発作や脳卒中を患う可能性が18%高い
  • 「肥満のない代謝的に健康な参加者」と比較して、「代謝的に健康な肥満の参加者」は心不全のリスクが76%高い
  • 「肥満のない代謝的に健康な参加者」と比較して、「代謝的に健康な肥満の参加者」は呼吸器疾患(COPD)のリスクが19%高い 
    血圧やコレステロール、血糖値に異常がない肥満でも、将来的に糖尿病を発症する可能性が4.3倍!

    血圧やコレステロール、血糖値に異常がない肥満でも、将来的に糖尿病を発症する可能性が4.3倍!(MonsterkoiによるPixabayからの画像)

そして、この研究グループは「代謝的に健康な肥満」についてこのように付け加えています。

「「代謝的に健康な肥満」の人は、「肥満のない代謝的に健康」な人と比較して、糖尿病、心臓発作と脳卒中、心不全、呼吸器疾患、およびすべての原因による死亡のリスクが大幅に高かった。特に注目に値するのは、「代謝的に健康な肥満」の人は、「肥満のない代謝的に不健康」な人よりも心不全や呼吸器疾患のリスクが高かったことです。」

さらに「代謝的に健康な肥満」な参加者の追跡調査によって、研究期間の開始時に「代謝的に健康な肥満」の参加者の3分の1が3〜5年以内に代謝的に不健康になることを発見しています。

血圧やコレステロール、血糖値に異常がない肥満でも、将来的に糖尿病を発症する可能性が4.3倍!

血圧やコレステロール、血糖値に異常がない肥満でも、将来的に糖尿病を発症する可能性が4.3倍!(TheOtherKevによるPixabayからの画像)

その結果、「「代謝的に健康な肥満」の人は、「肥満のない代謝的に健康な参加者」と比較して、心臓発作や脳卒中、心不全、呼吸器疾患のリスクが高いため、「健康」ではありません」と結論付けています。

最後に、彼らは「体重管理は、血糖値や血圧値の上昇など、血液検査等の結果に問題がない場合でも、すべての肥満の人々にとって有益で、必要です。」とアドバイスしています。

もしもあなたがふくよかで血液検査データに問題のないタイプでしたら、どうか油断なさらないでください。3〜5年以内に血圧や血糖値などの問題が起こる確率は3分の1です!

血圧やコレステロール、血糖値に異常がない肥満でも、将来的に糖尿病を発症する可能性が4.3倍!

血圧やコレステロール、血糖値に異常がない肥満でも、将来的に糖尿病を発症する可能性が4.3倍!(Jill WellingtonによるPixabayからの画像)

(*注1) BMI: [体重(kg)]÷[身長(m)の2乗]で算出される値。肥満や低体重(やせ)の判定に用いる。

日本肥満学会の定めた基準では18.5未満が「低体重(やせ)」、18.5以上25未満が「普通体重」、25以上が「肥満」で、肥満はその度合いによってさらに「肥満1」から「肥満4」に分類されます。

BMIが22になるときの体重が標準体重で、最も病気になりにくい状態であるとされています。25を超えると脂質異常症や糖尿病、高血圧などの生活習慣病のリスクが2倍以上になり、30を超えると高度な肥満としてより積極的な減量治療を要するものとされています。

 

☆People with ‘healthy obesity’ are still at increased risk of disease https://diabetologia-journal.org/2021/06/11/people-with-healthy-obesity-are-still-at-increased-risk-of-disease/

☆Are people with metabolically healthy obesity really healthy? A prospective cohort study of 381,363 UK Biobank participants https://link.springer.com/article/10.1007/s00125-021-05484-6

☆厚生労働省 生活習慣病予防のための健康情報サイト e-ヘルスネット 「BMI」https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/metabolic/ym-002.html

以上

血圧やコレステロール、血糖値に異常がない肥満でも、将来的に糖尿病を発症する可能性が4.3倍!

血圧やコレステロール、血糖値に異常がない肥満でも、将来的に糖尿病を発症する可能性が4.3倍!(Andreas AlmstedtによるPixabayからの画像)

Follow me!