加齢が最大リスクとなる認知症の20%を占める『レビー小体型認知症』をご紹介します!
65歳以上になると、5歳ごとに認知症を患う割合が2倍ずつ増えると言われ、85歳以上では約4人に1人が認知症になると言われています。
この認知症の原因は60種類以上もあるそうですが、原発性(変性性)認知症のうち、約50%がアルツハイマー型認知症、約20%がレビー小体型認知症、約15%が血管性認知症、残り15%がその他の認知症だそうです。第2位を占めるレビー小体型認知症の特徴と治療とケアについて分かりやすく解説された『レビー小体型認知症』をご紹介します。
『レビー小体型認知症 正しい基礎知識とケア』
監修者 内門大丈(うちかど・ひろたけ)、2020年11月発行、(株)池田書店、定価1800円+税、ISBN978-4-262-12364-6
この本は、A5判 (148mm×210mm)で160ページ。
全4章に分かれ、さらにレビー小体型認知症の研究者・臨床医によるコラムやレビー小体型認知症と診断された方へのインタビュー記事も盛り込まれています。図やイラストも豊富で、医療知識がない方でも分かりやすいように工夫が凝らされています。
「Chapter1 認知症とは」のページで、認知症の原因と種類、主な症状とそこから推測できる感情を解説してくださいます。
たとえば、『では本人が認知機能の低下に伴い感じる症状とはどのようなものでしょうか。おもに以下の7つが考えられます。
- 不安感
- 不快感
- 焦燥感
- 混乱
- 被害感 ・・・』(22ページより引用)
このように丁寧に解説してくださると、家族も認知症の方の行動を理解し、共感しやすいです。
「Chapter2 レビー小体型認知症とは」
この章では、レビー小体型認知症の原因や症状が分かりやすく解説され、暮らしの中でのケアの重要性が強調されます。そこで、認知症の方と話す時は『声のトーンはやさしく』(65ページより引用)とか、『できるだけ目の高さを合わせ、笑顔で』(65ページより引用)と痒い所に手が届く解説が箇条書きで示されています。
「Chapter3 4つの中核的症状の治療とケア」
この章では、認知機能の変動や幻視など4つの症状について解説し、さらに「治療薬について」でお薬を分かりやすく教えてくださり、「暮らしの中でのケア」では対応策が箇条書きになっています。
たとえば、幻視の章では『部屋の中ではここに注意!』と題して9項目が列挙されています。
- 夕方になったら早めに電気をつけて、部屋の中に影ができないようにする。
- 壁に洋服をかけない。
- 床や壁、机のシミを取り除く・・・』(89ページより引用)
「Chapter4 そのほかの症状の治療とケア」
この章では、レビー小体型認知症に現れるさまざまな症状の解説と治療とご家庭でのケアについて解説されています。症状には便秘や頻尿から失神もあるそうで、この本で理解していれば安心できそうです。
『レビー小体型認知症と診断されたあなたのために』
そして最後の159ページには『レビー小体型認知症と診断されたあなたのために』と題して、内門大丈先生からのメッセージがあります。この文章はこう締め括られています。
『レビー小体型認知症を知り、この病気と付き合いながらもこれからも続く人生をどのように過ごしていくのかを前向きに考えていきましょう。病気ですから、苦しみや不自由さはあると思いますが、少しでもあなたのために役に立てればと思います。』
きっとこの本をお読みになれば、ご家族も患者さんも内門大丈先生の応援の声に心が温まり、勇気が湧いてくることでしょう。認知症を疑っていらっしゃる方も、レビー小体型認知症と診断されて絶望なさっている方にも、この本を強くお勧めします。
☆池田書店 「レビー小体型認知症 正しい基礎知識とケア」https://www.ikedashoten.co.jp/book-details.php?isbn=978-4-262-12364-6
☆内門大丈(うちかど・ひろたけ)先生 https://medicalnote.jp/doctors/150112-000001-PCZPWB
以上