4万人の死亡原因、誤嚥性肺炎にならないために、口の老化に注意しよう!

4万人の死亡原因、誤嚥性肺炎にならないために、口の老化に注意しよう!

4万人の死亡原因、誤嚥性肺炎にならないために、口の老化に注意しよう!(加藤 俊によるPixabayからの画像)

飲み込む力(嚥下能力)が衰えたために、口内の細菌や食べカス、逆流した胃液などが気管に入って起こる肺炎が、誤嚥性肺炎です。軽視しがちですが、足腰よりも早く老化が始まる「噛む力や飲み込む力」の重要性について紹介します。

『介護の現場で使える! 口のトラブル解決BOOK』監修:一般社団法人日本訪問歯科協会、2022年10月発行、発行所:現代書林、定価1,300円+税、ISBN978-4-7745-1956-2 (この本を参考にして、一部を『』で引用しています。詳細は本をご一読ください。)

4万人の死亡原因、誤嚥性肺炎にならないために、口の老化に注意しよう!

4万人の死亡原因、誤嚥性肺炎にならないために、口の老化に注意しよう!(Douglas PerkinsによるPixabayからの画像)

1.口の老化で生じる「摂食・嚥下障害」とは?

加齢により口のなかの感覚が低下し、噛む力や飲み込む力が衰え、唾液の分泌量も減ります。このうまく食べられなくなったり、噛んだり飲み込んだりが出来ない状態を「摂食・嚥下(せっしょく・えんげ)障害」といいます。

この障害の裏には、以下のような機能低下が関わっています。

口を開けたり、噛んだりする筋肉の衰え

歯が少なかったり、入れ歯が合わない状態の放置

唾液の分泌量が少ないこと

食べ物をのどへ送るために必要な「口を閉じて下あごを固定する筋肉」や「舌の筋肉」の衰え

食べ物をゴクンと飲み込むために必要な「嚥下反射」の衰え

食べたものを胃に運ぶ食道で起きる「逆流性食道炎」

上にあげたいろいろな機能の衰えから「摂食・嚥下(せっしょく・えんげ)障害」に陥ると、食べる喜びが失われ、食べる量が減って栄養不足や水分不足となり、全身の衰えを引き起こします。

つまり、『口腔ケアや口腔リハビリで、口の老化を抑えたり改善したりすることは全身の衰えを防ぐ有効策であり、介護予防の一丁目一番地なのです。』(P29より一部を引用)

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4万人の死亡原因、誤嚥性肺炎にならないために、口の老化に注意しよう!(yasutoshi kanamiによるPixabayからの画像)

2.歯がほとんど無く入れ歯を使っていない人は、歯が20本以上ある人に比べて認知症発症リスクが2倍も高い!

この調査は厚生労働省が愛知県の健常な65歳以上の高齢者4,425人を対象に、4年にわたり追跡調査した結果です。その結果、以下の3点が判明。

*歯が20本以上ある人に対し、歯がほとんど無く入れ歯未使用の人の認知症発症リスクは、1.9倍

*なんでも噛める人に対して、あまり噛めない人の認知症発症リスクは、1.5倍

*かかりつけ歯科医院のある人に対して、かかりつけ歯科医院のない人のリスクは、1.4倍

神奈川歯科大学のプレスリリースによれば、歯を失うことや噛めなくなることで認知症発症リスクが高まる原因や影響として以下の可能性が挙げられています。

☆歯を失う原因となる歯周病などの炎症が、直接脳に影響を及ぼす可能性

☆噛めなくなることで咀嚼機能の低下が、脳の認知機能の低下を招いている可能性

☆かかりつけ歯科医院の有無は、歯科疾患の予防や治療を通じて直接的または間接的に認知症の予防につながっている可能性

(神奈川歯科大学プレスリリース2011年1月7日 「歯を失うと認知症リスクが最大1.9倍に」より)

つまり、『噛めなくなることは、脳への刺激が不足することを意味します。噛むと歯根の周りや頬の筋肉が刺激され、その刺激が脳に伝わることで脳内の血流がよくなります。嚙み合わせが悪いと記憶力をつかさどる「海馬」の細胞が消失するという報告もあるので、歯を残すこと、噛める状態にすることが大切です。(P17より一部を引用)

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4万人の死亡原因、誤嚥性肺炎にならないために、口の老化に注意しよう!(takedahrsによるPixabayからの画像)

3.口腔ケアが不十分で悪玉菌の細菌が口中にいっぱいあると、インフルエンザに感染しやすい!

口の中には300~700以上の細菌が居ます。『細菌のかたまりである歯垢1㎎中に含まれる細菌数は、なんと1億個以上です。これは同量の便に含まれる細菌数よりも多いため、「口の中の細菌はトイレより多い」という表現がよく使われるのです。』(P30より一部を引用)

この細菌の中には、健康を守ってくれる乳酸菌などの善玉菌もいますが、むし歯菌(ミュータンス菌など)や歯周病菌などの悪玉菌も居ます。悪玉菌は、わたしたちの体に害を与えます。歯垢はこの悪玉菌のかたまりなので、毎日の口腔ケアで取り除くことが必要です。

さらに、口のなかの細菌が作り出す酵素(プロテアーゼ)が、インフルエンザウイルスを付着させやすくします。そのため、インフルエンザに感染しやすくなってしまいます。

反対に、唾液の中には細菌やウイルスに抵抗する抗体(IgA)が含まれています。この抗体は『よく噛むこと(咀嚼)や、発酵食品・食物繊維を摂ることで唾液中に増やすことができます。さらに、唾液の量が十分にあると、口腔内の自浄作用が働き、感染予防に効果的です。(中略)

最後に付け加えると、新型コロナウイルスの感染にも口腔内の酵素(プロテアーゼ)が関わっています。詳しいことはまだ研究段階ですが、口腔ケアをしっかりと行うと、インフルエンザのみならず新型コロナウイルスの感染リスクを下げられる可能性は十分にあるとかんがえられています。』(P13より一部を引用)

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4万人の死亡原因、誤嚥性肺炎にならないために、口の老化に注意しよう!(Văn NguyễnによるPixabayからの画像)

4.「今日から始める口腔ケア」ページを紹介します

一般社団法人 日本訪問歯科協会のホームページの中に、一般の人たち向けに解説された「今日から始める口腔ケア」のページがあります。「入れ歯のお手入れ」とか「摂食・嚥下・発声のリハビリ」など簡単なノウハウから専門的な内容がわかりやすく解説されています。

https://www.houmonshika.org/oralcare/

さらに住所とメールアドレスをこのページで登録すると、口腔ケア動画を無料配信してくださる「口腔ケアチャンネル」に登録することもできます。

(ただし、登録すると都道府県・市区町村ごとに一般社団法人 日本訪問歯科協会からお知らせや広告も情報提供されるようです。登録はご自身でご判断ください)

次回(12月16日ブログ)に続く。

☆一般社団法人 日本訪問歯科協会 https://www.houmonshika.org/

☆神奈川歯科大学プレスリリース2011年1月7日 「歯を失うと認知症リスクが最大1.9倍に」chrome-extension://efaidnbmnnnibpcajpcglclefindmkaj/http://cws.umin.jp/press-releases/022.pdf 

☆現代書林 「介護の現場で使える! 口のトラブル解決BOOK」http://www.gendaishorin.co.jp/book/b610475.html

以上

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