やっぱり死ぬのは怖いから、元気なうちに最期への備えと覚悟を指南してくれる本『わが家で最期を。』

やっぱり死ぬのは怖いから、元気なうちに最期への備えと覚悟を指南してくれる本『わが家で最期を。』

やっぱり死ぬのは怖いから、元気なうちに最期への備えと覚悟を指南してくれる本『わが家で最期を。』(CouleurによるPixabayからの画像)

千場純先生は、平成8年から「在宅医療・在宅看取り」の普及・実践に取り組んでいらっしゃいます。1000人以上の在宅看取りを行なっている千場先生が、家族の看取りと自分の最期を後悔しないための心得50を纏めた本を紹介します。

『わが家で最期を。』千場純(ちば・じゅん)著、2017年4月初版、小学館、定価1,300円+税、ISBN978-4-09-388551-5

本のサイズは、縦19㎝弱、横13㎝強、厚さ1.6㎝。文字は新聞の活字よりもやや大きめで、縦書き1段。ページは224ページ。強調部分は太字になっていて、読みやすいです。

やっぱり死ぬのは怖いから、元気なうちに最期への備えと覚悟を指南してくれる本『わが家で最期を。』

やっぱり死ぬのは怖いから、元気なうちに最期への備えと覚悟を指南してくれる本『わが家で最期を。』(congerdesignによるPixabayからの画像)

内容は、4章に分かれています。

1章 人生のゴールを安らかに迎えるための心得10

2章 最期はこんなに安らかに・・・実例3

3章 家族を安らかに看取るための質問24

4章 自分の命を穏やかにとじるための質問13

Q&A形式などでまとめられていて、簡潔で明快。通勤時間でも1項目ずつ読み切れるサイズなので、読みやすいです。

そして、これから最期を迎える方に向けた内容と、親などを介護し看取る立場になる方に向けた内容に大別されます。

やっぱり死ぬのは怖いから、元気なうちに最期への備えと覚悟を指南してくれる本『わが家で最期を。』

やっぱり死ぬのは怖いから、元気なうちに最期への備えと覚悟を指南してくれる本『わが家で最期を。』(Jill WellingtonによるPixabayからの画像)

1000人以上の患者さんを在宅で看取り、ご自身も今年74歳になられる千場先生の助言は、シャープで現実的です。特に響く助言を引用します。

☆老い先を歩み始めた方へ

1.『(前略)必要なことは、人生の到達点である死を見据えて、自分らしい最期を迎えるために備えることでしょう。「備え」があれば、やがてやってくる死への「覚悟」もできるはずです。死が目前に迫ってきたときに、覚悟を持って「自分は生きられるだけ生きたのだ」と素直な気持ちで満足して死ねる人と、そうでない人―つまり自分の死が受容できなくて、不運と不満に苦しむ人との差はその備え方にあるような気がします。(後略)』(P20「1章人生のゴールを安らかに迎えるための心得10」より引用)

2.『(前略)安らかに死にたい人は、長生きをし、病気があっても枯れるように死んでいく「病衰」や本当の自然死である「老衰」を目指す意志と尽力が必要です。(後略)』(P35「1章人生のゴールを安らかに迎えるための心得10」より引用)

3.『(前略)Bさんに限らず、家族がいても、こんなふうに不本意に最期を迎える方も多数います。本人が適切に夫婦関係を保てなかった結果なのかもしれませんが、それとは別に、家族側の都合で、患者さんの意思を尊重することなく無断で療養場所を決めてしまうこともしばしば見受けられます。

ひどい場合は、子どもたちが患者さんの生活費(年金)を詐取したり、介護放棄や無視といった虐待まがいのことをしたりしているケースもありました。(後略)』(P47「1章人生のゴールを安らかに迎えるための心得10」より引用)

やっぱり死ぬのは怖いから、元気なうちに最期への備えと覚悟を指南してくれる本『わが家で最期を。』

やっぱり死ぬのは怖いから、元気なうちに最期への備えと覚悟を指南してくれる本『わが家で最期を。』(JuncalaによるPixabayからの画像)

4.心得10 のぞましい最期を迎えるには、「家」「人」「金」がキーワードになる (後略)』(P48 「1章人生のゴールを安らかに迎えるための心得10」より引用)

5.Q20死ぬ前は、苦しさがもっと増していくの?

A 無理な延命措置をしなければ、人の体は苦しまずに死を迎えることができる仕組みになっています (後略)』(P146 「3章家族を安らかに看取るための質問24」より引用)

6.Q6認知症になっても、わが家で死ねますか?

A 大切なのは、「認知症になるまで、そしてなってからの環境や経過がどのようであったか?」です (後略)』(P187 「4章自分の命を穏やかにとじるための質問13」より引用)

7.Q10自分は妻に看取ってもらうといったら、娘から「むずかしいんじゃない?」といわれた。なにがいけなかったのだろうか

A 過去には戻れないので、せめて今からでも関係修復の努力を (後略)』(P202 「4章自分の命を穏やかにとじるための質問13」より引用)

やっぱり死ぬのは怖いから、元気なうちに最期への備えと覚悟を指南してくれる本『わが家で最期を。』

やっぱり死ぬのは怖いから、元気なうちに最期への備えと覚悟を指南してくれる本『わが家で最期を。』(Craig MelvilleによるPixabayからの画像)

☆介護や看取りを担う方へ

1.Q1訪問診療のお医者さんをどうやって見つければよいですか?

A在宅かかりつけ医の探し方は、大きく分けて三つのパターンがあります (後略)』(P82「3章家族を安らかに看取るための質問24」より引用)

2.Q3がんの末期は痛みが辛いと聞きました。自宅療養では、どうしてあげればよいのでしょう

A肉体的な痛みは薬で緩和できます (後略)』(P89「3章家族を安らかに看取るための質問24」より引用)

3.Q4精神的な苦痛にたいしては、家族はなにもできないのでしょうか?

Aスピリチュアルケアという取り組みがあります (後略)』(P92「3章家族を安らかに看取るための質問24」より引用)

4.Q9「高齢者の胃ろう」は、やるべきではないということでしょうか?

A胃ろうはケースバイケースで考えるべきです (後略)』(P112「3章家族を安らかに看取るための質問24」より引用)

やっぱり死ぬのは怖いから、元気なうちに最期への備えと覚悟を指南してくれる本『わが家で最期を。』

やっぱり死ぬのは怖いから、元気なうちに最期への備えと覚悟を指南してくれる本『わが家で最期を。』(Frauke RietherによるPixabayからの画像)

5.Q13父はがんの末期で、家で療養したいといいます。ちゃんと看護ができるか不安です

A家族には対応力があるので大丈夫。技術的なことは、医師や看護師が指導してくれます (後略)』(P124「3章家族を安らかに看取るための質問24」より引用)

6.Q14正直、親を看取るのが怖いです

A命が燃え尽きるときの変化を学んでおくことは、自分がやがて死ぬときの死生観につながります (後略)』(P126「3章家族を安らかに看取るための質問24」より引用)

7.Q16家で看取りたいのですが、どこからが終末期なのか見分けがつきません。救急車を呼ぶべきかとても迷います

A「このときを限界と判断して救急車を呼ばない」という拠りどころをつくっておく (後略)』(P133「3章家族を安らかに看取るための質問24」より引用)

8.Q5家で看取ると病院よりお金がかかるのではないですか?

Aいいえ、逆に、通常は病院で看取るより費用がかかりません (後略)』(P179 「4章自分の命を穏やかにとじるための質問13」より引用)

*≪在宅訪問診療料金の目安表≫や≪在宅療養にかかる費用シミュレーション≫の掲載あり

費用の面も含めて、千場先生の貴重な助言や回答がこの本に集められています。短い引用があなたの琴線に触れたなら、どうかこの本をご一読ください。

やっぱり死ぬのは怖いから、元気なうちに最期への備えと覚悟を指南してくれる本『わが家で最期を。』

やっぱり死ぬのは怖いから、元気なうちに最期への備えと覚悟を指南してくれる本『わが家で最期を。』(LauraによるPixabayからの画像)

☆社会福祉法人 心の会 さくらの里グループ http://sakura2000.jp/

☆日本医師会赤ひげ大賞 千場純 chrome-extension://efaidnbmnnnibpcajpcglclefindmkaj/https://www.akahige-taishou.jp/book/case07/download/article2.pdf

☆小学館 「わが家で最期を。」  https://www.shogakukan.co.jp/books/093885

以上

やっぱり死ぬのは怖いから、元気なうちに最期への備えと覚悟を指南してくれる本『わが家で最期を。』

やっぱり死ぬのは怖いから、元気なうちに最期への備えと覚悟を指南してくれる本『わが家で最期を。』(JuncalaによるPixabayからの画像)

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