フレイル予防はこれ!1日5,000歩未満の高齢者が、1日の歩数を1,000歩増やせば死亡リスクが23%低下!

フレイル予防!1日5,000歩未満の高齢者が、1日の歩数を1,000歩増やせば死亡リスクが23%低下!

フレイル予防!1日5,000歩未満の高齢者が、1日の歩数を1,000歩増やせば死亡リスクが23%低下!(Dennis PによるPixabayからの画像)

早稲田大学等の共同研究チームは、65歳以上の高齢者4,165名を対象に1日の歩数と死亡との関係を検討。その結果、高齢者のフレイル(要介護になる手前の心身虚弱状態)の有無により、死亡リスクを減少させる最適な1日の歩数が異なると分析。この論文を紹介します。

1. フレイルになっても、運動や栄養などで健康状態に戻れます

コロナ禍が収束しつつある今、シニア世代の「巣ごもりフレイルが表面化してきました。外出自粛にイベント中止など身体活動量を3年間も減少させ続けたのですから、当然です。

フレイル」とは、「加齢による心身の活力が虚弱」になった状態を指します。この「フレイル」を経て要介護状態に陥るので、「フレイル」は要介護突入の黄色信号と言えます。

フレイル予防!1日5,000歩未満の高齢者が、1日の歩数を1,000歩増やせば死亡リスクが23%低下!

フレイル予防!1日5,000歩未満の高齢者が、1日の歩数を1,000歩増やせば死亡リスクが23%低下!(Rosalia RicottaによるPixabayからの画像)

フレイル」の判断基準は以下の5点です。

  1. 体重減少(意図せずに1年に5㎏または全体重の5%が減少)
  2. 疲れやすい(何をするのも面倒だと感じる日が週に3-4日以上ある)
  3. 歩行速度の低下
  4. 握力の低下
  5. 身体活動量の低下

上記の5項目の3つ以上が当てはまる場合をフレイル、1-2つの場合をフレイルの前段階「プレフレイル」とします。

フレイル予防!1日5,000歩未満の高齢者が、1日の歩数を1,000歩増やせば死亡リスクが23%低下!

フレイル予防!1日5,000歩未満の高齢者が、1日の歩数を1,000歩増やせば死亡リスクが23%低下!(Dennis PによるPixabayからの画像)

重要な点は、「フレイル」あるいは「プレフレイル」と判定されても心身機能の低下を防ぐリハビリや生活改善で、改善できます。具体的な対策は、下記の3点です。

☆筋肉量や骨量、身体機能を維持するために必要な栄養バランスの取れた食事

☆適度な運動

☆趣味やボランティアなどの社会参加を取り入れた孤立しない生活

(参照:「健康長寿に向けて必要な取り組みとは?100歳まで元気、そのカギを握るのはフレイル予防だ」

「適度な運動」はあやふやですが、これから紹介する早稲田大学共同研究チームの論文は、フレイル予防の具体的な目安フレイルになったしまった時の運動の目安を教えてくれます。

フレイル予防!1日5,000歩未満の高齢者が、1日の歩数を1,000歩増やせば死亡リスクが23%低下!

フレイル予防!1日5,000歩未満の高齢者が、1日の歩数を1,000歩増やせば死亡リスクが23%低下!(Kiều TrườngによるPixabayからの画像)

2.歩数と死亡発生状況を約3.38年追跡調査して判明したこと

☆1日の歩数が多いほど、死亡リスクが下がる

☆1日5,000歩未満の高齢者が1日1,000歩増やすと、死亡リスクが23%低下する

☆1日5,000歩以上の健康な高齢者が、歩数をさらに増やしても効果はない

☆フレイルの高齢者が1日5,000歩以上歩くと、死亡リスクが大きく減少する

☆フレイルの高齢者は、1日5,000歩を超えても歩数が増えるにつれて死亡リスクが減少する

☆フレイルの有無によって、歩数と死亡リスクの関係は大きな違いが生まれる

フレイル予防!1日5,000歩未満の高齢者が、1日の歩数を1,000歩増やせば死亡リスクが23%低下!

フレイル予防!1日5,000歩未満の高齢者が、1日の歩数を1,000歩増やせば死亡リスクが23%低下!

3.早稲田大学スポーツ科学学術院の渡邉 大輝(わたなべ だいき)助教授のコメント

『(前略)世界的なコロナウィルス感染拡大などにより、活動の自粛によって歩数が少なくなっている高齢者の方にこの結果をお伝えしたいです。』

フレイル予防!1日5,000歩未満の高齢者が、1日の歩数を1,000歩増やせば死亡リスクが23%低下!

フレイル予防!1日5,000歩未満の高齢者が、1日の歩数を1,000歩増やせば死亡リスクが23%低下!(Johnny_pxによるPixabayからの画像)

4.この研究の概要

*対象:2011年から京都府亀岡市で行われている京都亀岡スタディに参加した65歳以上の4,165名

*方法:「三軸加速度計」という装置をつけて歩数を計測し、4日以上にわたって得られたデータの1日当たりの平均値を使用。この歩数計測後、約3.38年追跡調査を行って死亡発生状況を確認。

*対象者中のフレイル該当者率:24.7%

フレイルは、適切な運動や食事等で再び健康な状態に戻れます。運動の目安となる歩数をこの論文が教えてくれます。もうすぐ桜も咲き始め、ウォーキングも楽しい季節です。まずは1日5,000歩を目指して、一緒に歩き始めましょう!

フレイル予防!1日5,000歩未満の高齢者が、1日の歩数を1,000歩増やせば死亡リスクが23%低下!

フレイル予防!1日5,000歩未満の高齢者が、1日の歩数を1,000歩増やせば死亡リスクが23%低下!(byungjei LimによるPixabayからの画像)

謝辞:早稲田大学スポーツ科学学術院の渡邉 大輝(わたなべ だいき)助教授と研究に関わったすべての研究者、ご協力なさった全ての皆様に感謝するとともに、この研究の進展・発展を祈念します。

☆「高齢者は寿命延長のために1日当たり約5,000~7,000歩あるけば十分?」早稲田大学 トピックス https://www.waseda.jp/top/news/87443

☆「ORIGINAL INVESTIGATION Dose-Response Relationships between Objectively Measured Daily Steps and Mortality among Frail and Non-frail Older Adults」(Medicine & Science in Sports & Exercise 2023年2月2日) https://journals.lww.com/acsm-msse/Abstract/9900/Dose_Response_Relationships_between_Objectively.210.aspx

☆「健康長寿に向けて必要な取り組みとは?100歳まで元気、そのカギを握るのはフレイル予防だ」 厚生労働省広報紙https://www.mhlw.go.jp/stf/houdou_kouhou/kouhou_shuppan/magazine/202111_00001.html

以上

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