認知症のBPSD改善に効果のある介護サービスを紹介します!(中編)

認知症のBPSD改善に効果のある介護サービスを紹介します!(中編)

認知症のBPSD改善に効果のある介護サービスを紹介します!(中編)(Julius SilverによるPixabayからの画像)

數井 裕光先生がたの研究グループは2014年に、大阪府社会福祉協議会に属する事業所で認知症の介護に従事されている職員の皆様のご協力のもとアンケート調査を行いました。ケアマネジャー・介護職員・施設管理者・ソーシャルワーカー等の皆さんが「効果あり」と感じた介護サービスとその理由を、6月7日の前編に続く中編で紹介します。

認知症のBPSD改善に効果のある介護サービスを紹介します!(中編)

認知症のBPSD改善に効果のある介護サービスを紹介します!(中編)(Stefan SchweihoferによるPixabayからの画像)

1.資料「BPSD治療に役立つ介護サービス」より抜粋(不安~易刺激性・不安定性まで)

不安に対して有効と思われる介護サービス

1位:認知症対応型共同生活介護(地域密着型サービス)

   ≪サービス内容:グループホームなどで比較的安定状態にある認知症要介護者を対象に、共同生活の中で入浴・食事の提供とその介助、日常生活の世話を行う。 ≫

   理由:☆人員配置が厚い。
      ☆認知症に特化したケアを同じ場所で継続的に行える。

2位:訪問介護

   ≪サービス内容:訪問介護員(介護福祉士、ホームヘルパー)が訪問し、身体介護や調理などの家事援助を行う。≫

   理由:☆住み慣れた自宅での支援の方が本人が安定する。
      ☆その人にあった接し方が大切なので、集団より個別対応が必要。

3位:訪問看護

   ≪サービス内容:看護師等が訪問し、療養の世話や診療補助を行う(医療依存度が高い場合には、医療保険の対象)。≫

   理由:☆精神科の訪問看護を利用し、症状の観察を行いながら、不安定な心身をサポートできる。
      ☆医療職の介入による適切な状況判断。

補足:不安とはー認知機能が低下すると、できないことが増えて日常生活に支障が出てきます。すると不安を感じたり、気分が落ち込む抑うつ状態が見られる場合があります。

また毎週サークル活動に一緒に通っていた友人が、「通うのが億劫になった」とサークルを辞めたことがきっかけで、「一人で参加しても楽しくない」と活動への意欲が低下し、ふさぎこんでしまうケースもあります。(*5)

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認知症のBPSD改善に効果のある介護サービスを紹介します!(中編)(Nici KeilによるPixabayからの画像)

無為・無関心に対して有効と思われる介護サービス

1位:通所介護(デイサービス)

   ≪サービス内容:デイサービスセンター等において、日帰りで入浴・食事の提供とその介助、日常生活の世話と機能訓練を行う。≫

   理由:☆人との交流や外出の機会をもち、会話や活動をともにすることで刺激がえられる。
      ☆社会への参加。生活意欲を向上させる。新しい人間関係の構築。

2位:訪問介護

   理由:☆まずは訪問サービスを利用し、家事等を観察、次に通所サービスを利用し、外部との接触をはかる。
      ☆馴染みの環境、安心できる環境で援助する。

補足:無為・無関心とはーうつと似た状態として鑑別が必要なのが、アパシー(無関心)です。やる気がなく、意欲低下感情の乏しさがあるものの、悲観的な感情がないのがうつとの違いです。本人は困っておらず、介助者も特に困ることはありません。けれど、放っておくと1日中活動もせずテレビなどを見つづけるので、筋肉や体力の衰えが進んでしまうため、注意が必要です。(*6)

認知症のBPSD改善に効果のある介護サービスを紹介します!(中編)

認知症のBPSD改善に効果のある介護サービスを紹介します!(中編)(Steffen WachsmuthによるPixabayからの画像)

脱抑制に対して有効と思われる介護サービス 

1位:認知症対応型共同生活介護(地域密着型サービス)

   理由:☆スタッフが関わることで、脱抑制症状があっても、孤立せずにすむ。
      ☆認知症に特化したケアを同じ場所で継続的に行える。

2位:訪問介護

    理由:☆出来る限り大勢の人との接触をさけ、症状が誘発される機会を減らす。
      ☆集団生活よりも在宅生活の方が周囲の人とのトラブルが少ない。 

補足:脱抑制とはー簡単に表すと本能の赴くままに行動してしまう症状であり、万引きなどの反社会的な行動につながり得ます。本人には困った様子がない上に、悪びれた態度を見せないことが特徴であるため、家族・介護者のショックは大きくなりがちです。(*7)

認知症のBPSD改善に効果のある介護サービスを紹介します!(中編)

認知症のBPSD改善に効果のある介護サービスを紹介します!(中編)(Quang Nguyen vinhによるPixabayからの画像)

易刺激性・不安定性に対して有効と思われる介護サービス

1位:認知症対応型共同生活介護(地域密着型サービス)

   理由:☆個々人のペースに合わせたケアができる。
      ☆見守りが必要。

2位:通所介護(デイサービス)

   理由:☆楽しい時間を人と共有することで気分転換を図れる。

3位:介護老人福祉施設(施設サービス) 

   ≪サービス内容:常時介護が必要で居宅での生活がむずかしい要介護者を対象に、介護サービスと日常生活の場を提供する。≫ 

   理由:☆さまざまな職種の人がおり、色々な観点からの介入が出来る。
      ☆入所施設であればスペースが広い為、対応する場所を変える事ができる。

補足:易刺激性・不安定性とは易刺激性とは、本来であれば気にしないような些細な刺激に対して反応しやすくなります。興奮したり、怒ったり、大声をあげたりすることがあります。(*8)

不安定性とは、気分の変動が激しくなり穏やかな状態のときもあれば、急に興奮・錯乱状態になるなど精神的に不安定な状態を繰り返します。(*9)

認知症のBPSD改善に効果のある介護サービスを紹介します!(中編)

認知症のBPSD改善に効果のある介護サービスを紹介します!(中編)(Dimitris VetsikasによるPixabayからの画像)

以下3種類のBPSDに対して有効と思われる介護サービスは、6月21日アップの「認知症のBPSD改善に効果のある介護サービスを紹介します!(後編)」をご覧ください。

異常行動

睡眠障害

食行動異常 

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認知症のBPSD改善に効果のある介護サービスを紹介します!(中編)(Jamie GarvinによるPixabayからの画像)

2.數井 裕光先生からの留意事項と「補足」について

この資料「BPSD治療に役立つ介護サービス」をダウンロードすると、2ページ目に「本ファイルをご使用になる皆様へ」と題した文章が掲げられています。この文章の最後に、こう書かれています。

『本ファイルの情報をご利用する際に、1点だけご留意いただきたいことがあります。それは、2014年の秋に大阪府でどんな介護サービスが利用可能であったかという、そのときの現状が本調査の結果に影響しているということです。提供が少ない介護サービスは、実際にはBPSDに有効であったとしても、本調査では低得点になっている恐れがあります。本調査結果が皆様のBPSD治療や予防にお役に立てばと思います。 平成28年1月25日 作者一同』

10年前の調査ですから、対象とした介護サービスもすでに終了したり、新しくてもっと効果の高い介護サービスが提供されているかもしれません。

そこでこのブログでは、抜粋版をこのような方針で作りました。

①「BPSD治療に役立つ介護サービス」から、該当するサービスがなくても、似たような効能を備えた介護サービスを選べるように理由が明記されている高順位の回答のみを引用しました。

②11項目のBPSDが掲げられていますが、私たち素人には聞きなれない言葉も多いので、補足」の項目を付け足しました。「補足」は資料「BPSD治療に役立つ介護サービス」にはありません。「補足」の内容は、補注(*1~*12)から引用しています。

もっと詳しく知りたい方は、ホームページ「~笑顔で穏やかな生活を支える~認知症の方へのポジティブケア」から「家族介護者向け BPSD 予防・治療包括指針」ページの「6.介護サービスを利用しよう」をクリックなさってください。

認知症のBPSD改善に効果のある介護サービスを紹介します!(中編)

認知症のBPSD改善に効果のある介護サービスを紹介します!(中編)(Rujhan BasirによるPixabayからの画像)

謝辞:數井 裕光先生をはじめ、認知症の臨床・研究・介護に従事なさっていらっしゃる全ての皆様に感謝するとともに、認知症の患者さんとご家族がより良い時間を過ごせますよう、すべての医療・介護従事者の皆さまの益々のご活躍・ご発展を祈念します。

本ファイル「BPSD治療に役立つ介護サービス」は、平成25-26年度 厚生労働科学研究費補助金 認知症対策総合研究事業及び 平成27年度 日本医療研究開発機構(AMED)研究費 認知症研究開発事業「 B P S D の 予 防 法 と 発 現 機 序 に 基 づ い た 治 療 法 ・ 対 応 法 の 開 発 研 究(研究代表者:数井裕光) 」により作成された。

☆資料「BPSD治療に役立つ介護サービス」https://www.bpsd-web.com/html/document1-06.html#contents

☆ホームページ「~笑顔で穏やかな生活を支える~認知症の方へのポジティブケア」https://www.bpsd-web.com/index.html

補注

*1:「妄想」BPSDの代表的な症状 ディアケア 現場で使える実践ケアの情報サイト https://www.almediaweb.jp/dementia-top/dementia-002/part1/03.html

*2:「幻覚・錯覚」認知症の周辺症状を知ろう 太陽生命 https://www.taiyo-seimei.co.jp/net_lineup/colum/ninchi/011.html

*3:「興奮・怒り・暴力・暴言」BPSDの代表的な症状 ディアケア 現場で使える実践ケアの情報サイト https://www.almediaweb.jp/dementia-top/dementia-002/part1/03.html

*4:「うつ・アパシー」BPSDの代表的な症状 ディアケア 現場で使える実践ケアの情報サイト https://www.almediaweb.jp/dementia-top/dementia-002/part1/03.html

*5:「不安・抑うつ」認知症の周辺症状を知ろう 太陽生命 https://www.taiyo-seimei.co.jp/net_lineup/colum/ninchi/011.html

*6:「アパシー(無関心)」BPSDの代表的な症状 ディアケア 現場で使える実践ケアの情報サイト https://www.almediaweb.jp/dementia-top/dementia-002/part1/03.html

*7:「脱抑制」非専門医が診る認知症現場の“ドロドロ”に向き合う 日経メディカル https://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/mem/pub/series/fujitani/202404/583431.html

*8:「易刺激性とは」メンタルヘルス情報 仙台市 https://www.city.sendai.jp/seshin-kanri/kurashi/kenkotofukushi/kenkoiryo/sodan/seshinhoken/heartport/mental/shitchosho.html

*9:「不安定性」レビー小体型認知症とアルツハイマー型認知症の症状の違いとは 医師と患者をつなぐ医療・ヘルスケアプラットフォーム Medical Note  https://medicalnote.jp/contents/200909-001-AQ

*10:「行動異常の起こる仕組み」認知症を理解する 公益財団法人健康・体力作り財団 健康ネット https://www.health-net.or.jp/tairyoku_up/chishiki/ninchisyou/t03_08_06_01.html

*11:「睡眠障害」認知症の周辺症状を知ろう 太陽生命 https://www.taiyo-seimei.co.jp/net_lineup/colum/ninchi/011.html

*12:「認知症の人の対応~ごはん食べていない~」認知症ねっと https://info.ninchisho.net/column/psychiatry_060

以上

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