5人に1人は認知症になるらしいから、認知症疾患医療センターで検査を受けよう!(1/3)

5人に1人は認知症になるらしいから、認知症疾患医療センターで検査を受けよう!(1/3)

5人に1人は認知症になるらしいから、認知症疾患医療センターで検査を受けよう!(1/3)(Pharaoh_EZYPTによるPixabayからの画像)

何かがおかしいと感じているあなた、検査をうけてみませんか?糖尿病や高血圧・高脂血症などにかかっていると、認知症の発症リスクが高まります。長年の飲酒で、記憶を司る脳の「海馬」が縮むことも判明しています。

アルツハイマー型認知症は進行性です。進行を止める薬も、完治できる薬もまだありません。発症してしまえば、治せません。でも認知症の手前、軽度認知障害(MCI)(*1)の状態なら、普通に戻れる可能性は16~41%です。

幸運を掴むために、「認知症」の検査をうけてください。あなたがスムーズに検査を受けられるよう認知症疾患医療センターの情報を3回に分けて紹介します。(電話相談や問い合わせは、お住いの自治体の認知症疾患医療センターだけにお願いします)

5人に1人は認知症になるらしいから、認知症疾患医療センターで検査を受けよう!(1/3)

5人に1人は認知症になるらしいから、認知症疾患医療センターで検査を受けよう!(1/3)(Annette MeyerによるPixabayからの画像)

1.認知症疾患医療センターとは?

これは厚生労働省が平成20年度から始めた事業(*2)で、「認知症疾患を正確に見極めるための診断」や「医療相談」を行うほか、地域での認知症医療を提供する体制を構築する役割をになっています。

「認知症」と「うつ病」の症状は似通っているため、症状の原因がどちらか、正確な見極めが難しいそうです。また、もう約15年前ですが東京のある公立病院の「物忘れ外来」で父のアルツハイマー型認知症を見落とされた苦い経験があります。あの時、MRIの画像診断を行っていれば診断結果も、父のその後も違っていたはずです。

個人的体験からも、ぬか喜びの末に普通に戻れる「軽度認知障害(MCI)」(*1)段階で発見されるチャンスを失わないために、認知症専門医がいらっしゃり、認知症かどうかの診断を専門的に行っている認知症疾患医療センターで検査を受けることをお勧めします。

また認知症疾患医療センターなら、ご本人やご家族に対し「認知症」が発見された後の不安が軽減されるように行う「診断後の支援」や、あなたがお住いの地域と連携した介護サービスの紹介等も行っています。

5人に1人は認知症になるらしいから、認知症疾患医療センターで検査を受けよう!(1/3)

5人に1人は認知症になるらしいから、認知症疾患医療センターで検査を受けよう!(1/3)(Pascal Bondis によるPixabayからの画像)

2.認知症疾患医療センターは、基幹型・地域型・連携型の3種類です

認知症に関する詳しい診断や症状への対応、相談などを行える認知症専門医がいらっしゃり、検査機器や入院設備などの条件を満たした総合病院や大学病院、さらに一般病院・診療所に対して都道府県や政令指定都市が「認知症疾患医療センター」を指定します。

このため、認知症疾患医療センターは医療機関の規模や人員配置などにより、3つに分類されます。(設置数は、令和5年10月現在です)

1.基幹型:大規模な医療機関(総合病院・大学病院など)21か所
2.地域型:精神科のある病院や一般病院など 386か所
3.連携型:診療所や小規模な病院  98か所

最も充実したケアが受けられるのは基幹型の病院です。基幹型の病院は入院設備が整い、BPSDや合併症の急性期治療のために、いつでも入院できる空きベットが確保されています。

しかし地域型の一部や連携型の病院には入院設備がなく、入院治療が必要な場合はほかの医療機関を利用することになります。どちらかと言えば、地域型連携型は指定の地域の方を対象に、かかりつけ医や介護施設、行政などと連携して認知症の治療やケアを担います。

5人に1人は認知症になるらしいから、認知症疾患医療センターで検査を受けよう!(1/3)

5人に1人は認知症になるらしいから、認知症疾患医療センターで検査を受けよう!(1/3)(Julita によるPixabayからの画像)

3.認知症疾患医療センターを受診する方法は3つです

①かかりつけ医に紹介状を書いていただく

基幹型病院は大規模な総合病院や大学病院なので、紹介状がないと受診できなかったり、特別料金が必要な場合もあります。もしも、かかりつけ医がいらっしゃるなら、紹介状を書いてくださるようお願いするのがベストです。

②地域包括支援センターか、市町村高齢者福祉担当課に問い合わせる

地域包括支援センターは、住み慣れた地域でずっと暮らせるよう、保健医療・介護に関する相談や認知症疾患医療センターや、認知症初期支援チームへの連携などを行ってくれます。

全国の地域包括支援センターの一覧 お住いの都道府県名をクリックしてください。https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/kaigo_koureisha/chiiki-houkatsu/(都道府県のホームページへリンク)

市町村高齢者福祉担当課の電話番号は、お住いの自治体のホームページや広報誌で探してください。

③認知症疾患医療センターの相談窓口に問い合わせる

たとえば、「聖路加国際病院 認知症疾患医療センター」(*3)ではこのように書かれています。

『原則としてかかりつけ医からのご紹介をいただいての受診となります。認知症状を引き起こしている原因を正確に見極めるための診断や治療方針の確定が必要な方には、専門の医師による診察・心理テスト・画像検査・血液検査などを行い、総合的診断に基づいて治療や初期対応などを行います。』

けれど病院によっては、紹介状がないと高額な特別料金が必要ですが、受診できそうな病院もあります。ホームページで調べて、その病院の認知症疾患医療センター相談窓口に電話してみてはいかがでしょうか?

☆「2023年10月時点 認知症疾患医療センターの整備状況」厚生労働省作成 (病院名と住所、基幹型・地域型・連携型の判別等で、電話番号やホームページのURLはありません)https://www.mhlw.go.jp/content/001162829.pdf 

5人に1人は認知症になるらしいから、認知症疾患医療センターで検査を受けよう!(1/3)

5人に1人は認知症になるらしいから、認知症疾患医療センターで検査を受けよう!(1/3)(alandsmannによるPixabayからの画像)

4.基幹型の認知症疾患医療センター21か所を北から順に紹介します

ではここから各自治体が指定した、基幹型の認知症疾患医療センター21か所の情報を紹介します。内容は以下の5点です。

  • 基幹型の認知症疾患医療センターの名前
  • ホームページのURL
  • 検査を受診する方法や問い合わせ電話番号(お住いの自治体の認知症疾患医療センター以外には電話をなさらないでください)
  • かかりつけ医がいない状態で受診する方法
  • 最新治療薬レカネマブ(*4)について(自治体のホームページで公開している情報です。公開せずに治療をおこなっている場合もあります。ご了承ください。)
    5人に1人は認知症になるらしいから、認知症疾患医療センターで検査を受けよう!(1/3)

    5人に1人は認知症になるらしいから、 認知症疾患医療センターで検査を受けよう!(1/3)(KevによるPixabayからの画像)

①岩手県基幹型認知症疾患医療センター http://iwate-ninchisho.jp/information/

受診方法:専用の相談窓口に問い合わせ。

専門相談員が電話、あるいは予約面談で対応し、かかりつけ医がいない場合もこのセンターの紹介で関係機関へと繋がります。

ご相談・お問い合わせ先:019-652-7411 (直通番号なので、平日の日中にお願いします)

☆医療情報ネット(ナビイ) https://www.iryou.teikyouseido.mhlw.go.jp/znk-web/juminkanja/S2300/initialize

全国の病院・診療所・歯科診療所・助産所/薬局をキーワード・診療科目・住所などから検索できます。

☆認知症サポート医名簿(令和6年1月4日現在) (PDF 258.9KB)https://www.pref.iwate.jp/_res/projects/default_project/_page_/001/003/652/5060104ninchisyo.pdf

認知症の方の診療に習熟し、かかりつけ医への助言その他の支援を行い、専門医療機関や地域包括支援センター等との連携の推進役となるのが「認知症サポート医」です。

名簿には、その「認知症サポート医」の活動地域・医師の氏名・所属する病院名・病院の住所・電話番号が、3ページにまとめられています。

②市立秋田総合病院 秋田県認知症疾患医療センター https://akita-city-hospital.jp/feature/support/dementia-c/

受診方法:専用電話に相談。

『「もの忘れが多いな」「時間や場所がわからない」など認知症かなと感じたり、介護で悩んでいることや心配ごとがあったら、お電話をください。認知症の専門相談員(精神保健福祉士)が対応いたします。必要に応じて地域包括支援センターや福祉事務所など支援者・関係者と連絡、調整を行います。

専用電話018-866-7123

受付時間:午前9時~午後4時
ただし、土曜日・日曜日・祝日・年末年始など休診日を除きます。』

☆秋田県認知症サポート医名簿 [233KB](令和6年4月1日現在) https://www.pref.akita.lg.jp/uploads/public/archive_0000006761_00/%E8%AA%8D%E7%9F%A5%E7%97%87%E3%82%B5%E3%83%9D%E3%83%BC%E3%83%88%E5%8C%BB%E5%90%8D%E7%B0%BF_%EF%BC%88%E4%BB%A4%E5%92%8C6%E5%B9%B44%E6%9C%881%E6%97%A5%E7%8F%BE%E5%9C%A8%EF%BC%89.pdf

国が指定する研修機関で、認知症医療や関連施策に関する専門的な研修を修了した医師が、認知症サポート医です。

地域の医療機関と地域包括支援センター等の連携を推進するとともに、認知症医療に関する助言を行います。

名簿は、地域ごとにわかれ、「認知症サポート医」の名前・所属する病院名・病院の住所・電話番号/FAX番号が、7ページにまとめられています。

☆「アルツハイマー病治療薬レカネマブについて」(*4) https://akita-city-hospital.jp/feature/support/dementia-c/page-15126/

当院(市立秋田総合病院)は、アルツハイマー病治療薬であるレカネマブを使用した治療を行っています。(中略)

1.対象について

アルツハイマー病による軽度認知障害(MCI)または軽度の認知症の方が対象となります。
投与対象となるかは、CDR検査、MMSE検査のほか、脳脊髄液検査またはアミロイドPET検査等で判断します。検査の結果によっては、希望しても治療対象とならない場合があります。

秋田県在住のみなさん、素晴らしいチャンスです!市立秋田総合病院 秋田県認知症疾患医療センターで認知症の検査を受けましょう。もしも「軽度認知障害(MCI)」か、軽度の認知症なら、あの最新治療薬「レカネマブ」での治療を受けられるかもしれません!

5人に1人は認知症になるらしいから、認知症疾患医療センターで検査を受けよう!(1/3)

5人に1人は認知症になるらしいから、 認知症疾患医療センターで検査を受けよう!(1/3)(Peter DargatzによるPixabayからの画像)

③ 福島県立医科大学附属病院 福島県認知症疾患医療センター(基幹型)https://www.fmu.ac.jp/byoin/new/sinryoka/nousikkan.html

受診方法:かかりつけ医からの紹介予約制

『高度で専門的な医療を提供し、地域の医療機関から専門医としての知識や高度な検査・治療あるいは入院を必要とする患者さんをご紹介いただき、患者さんにとって親切で良い医療を提供できるよう努力しております。
そのため、当院への受診(初診)は、地域の診療所・病院からのご紹介による事前予約制を原則としております。

地域の診療所・病院より当院の地域連携担当(FAX024-547-1075)に事前診察申込書をお送りいただき、予め診察日時の予約をお取りください。
※患者さんからの直接予約の申し込みは受け付けておりません。』

かかりつけ医がいない場合:

☆令和元年度かかりつけ医認知症対応力向上研修修了者一覧 [PDFファイル/252KB] https://www.pref.fukushima.lg.jp/uploaded/attachment/436199.pdf

身近な診療所等の主治医(かかりつけ医)に対し、適切な認知症診療の知識・技術や認知症の本人とその家族を支える知識と方法を習得するための研修を修了した医師の名簿です。

一覧には、研修を修了した医師が所属する病院名・病院の住所・電話番号・研修を修了した医師の氏名が掲載されています。ただし、この一覧は令和元年度版で、ホームページも2021年3月19日更新と古いので、現状と異なる可能性があります。ご了承ください。

福島県地域包括支援センター一覧(令和6年4月現在) [PDFファイル/346KB] https://www.pref.fukushima.lg.jp/uploaded/attachment/647739.pdf

地域住民の心身の健康の保持、生活の安定のために必要な援助を行います。

☆認知症に関する相談先一覧:地域別相談窓口 https://www.pref.fukushima.lg.jp/sec/21025c/ninntishounosoudanmadoguti.html

総合的な相談窓口である地域包括支援センターや認知症カフェなどを地域別で掲載。各市町村のより詳細な相談先等が掲載されております。

今回の基幹型認知症疾患医療センターの情報紹介はここまでです。

かかりつけ医がいない状態で認知症の検査を受ける難易度は、地域によって格差があります。それでも、早期発見が幸運のカギです。迷子になったり、鍵やスマホをしょっちゅう紛失する連れ合いを叱咤するだけじゃなくて、どうか脳の病気を疑って、1日も早く検査を受けてください。

次回9月27日には④~⑫の基幹型認知症疾患医療センターをご紹介し、10月4日には⑬~㉑の基幹型認知症疾患医療センターをご紹介します。

5人に1人は認知症になるらしいから、認知症疾患医療センターで検査を受けよう!(1/3)

5人に1人は認知症になるらしいから、認知症疾患医療センターで検査を受けよう!(1/3)(Manfred RichterによるPixabayからの画像)

9月27日ブログでご紹介する基幹型の認知症疾患医療センターの名前

④筑波大学附属病院 茨城県認知症疾患医療センター

⑤群馬大学医学部附属病院 群馬県認知症疾患医療センター

⑥総合病院 聖隷三方原病院 (静岡県)認知症疾患医療センター(基幹型)

⑦岐阜市民病院 認知症疾患医療センター 

⑧三重大学医学部附属病院 (三重県)認知症センター

⑨京都府立医科大学附属病院 京都府認知症疾患医療センター

⑩奈良県立医科大学附属病院 奈良県認知症疾患医療センター

⑪和歌山県立医科大学附属病院 和歌山県認知症疾患医療センター

⑫鳥取県基幹型認知症疾患医療センター(鳥取大学医学部附属病院)

10月4日ブログでご紹介する基幹型の認知症疾患医療センターの名前

⑬ 島根大学医学部附属病院 島根県基幹型認知症疾患医療センター

⑭徳島県認知症疾患医療センター(徳島県立中央病院)

⑮愛媛大学医学部附属病院 愛媛県認知症疾患医療センター

⑯高知県基幹型認知症疾患医療センター(高知大学医学部附属病院)

⑰佐賀大学医学部附属病院 佐賀県認知症疾患医療センタ

⑱長崎県基幹型認知症疾患医療センター(長崎大学病院)

⑲熊本県認知症疾患医療センターについて

⑳鹿児島大学病院 鹿児島県基幹型認知症疾患医療センター

㉑琉球大学病院 沖縄県認知症疾患医療センター

以上

補注

*1:軽度認知障害(MCI)の詳細は、『軽度認知障害(MCI)と判明した今がチャンス!普通に戻るための対策・方法をご紹介します!(第1回)』をご覧ください。https://kizuna-iyashi.com/2024/08/23/homemade-284/

*2:認知症疾患医療センター(概要)[PDF形式:269KB]https://www.mhlw.go.jp/content/001173034.pdf

*3:聖路加国際病院 認知症疾患医療センター https://hospital.luke.ac.jp/guide/ninchisyo/index.html

*4:「レカネマブ(レケンビⓇ点滴静注)について ー 一般の方向け:アルツハイマー病の原因に働きかけて病気の進行自体を抑制する薬としては、国内で初めて承認された薬です。2週間に1度、約1時間ほどかけて点滴で投与します。
 アルツハイマー病による認知症が軽度である時期、および、アルツハイマー病による軽度認知障害の方が治療対象となり、検査(脳脊髄液検査またはアミロイドPET検査)により脳にアミロイドβがたまっていることを明らかにする必要があります。
 この薬の使用により、認知機能障害の悪化が有意に(18ヶ月で27.1%)抑制されたことが報告されています。(後略)」厚生労働省 https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000089508_00005.html

*5:「当院では2019年に浜松市の支援を受け、健康寿命を保つための軽い運動の実施、集団活動への参加促進、廃用予防や認知リハビリの提供を目的として「はままつオレンジ体操」を考案しました。これまでに院内のケアはもとより、浜松市内の諸施設にDVDを配布し、多くの方にご利用いただき、好評を得ています。(後略)」総合病院 聖隷三方原病院 https://www.seirei.or.jp/mikatahara/department/other/dementia-disease/OorangeGym/index.html

以上

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