床下・床上浸水時の自宅介護ガイド|要介護者を守る復旧手順と消毒の注意点
浸水被害に遭われた地域の皆様に、心よりお見舞い申し上げます。
普段の介護だけでも大変な中、片付けや消毒、要介護者の安全確保を同時に進めるのは、心身ともに本当にお辛いこととお察しいたします。
でも、現実は待ってくれません。浸水すると湿気と汚れにより、数日〜1週間程度でカビや細菌が急激に繁殖します。
雑菌やカビの胞子が舞い上がり、アレルギーや感染症を引き起こすリスクも。
また、畳や断熱材、壁の下部、家電や家具が水に浸かって使えなくなり、コンセントや床下配線が水に浸かることで、ショートや漏電、火災の原因になります。
「要介護者の安全確保・衛生管理」と「復旧作業」を同時並行で行わなくてはならないあなたのために、このブログでは、
- 家屋のメンテナンス
- 介護用品の対応
- 家族の体調管理
の3点を分かりやすく解説します。
◆まず最初に行う「3つの安全準備」
① 写真撮影(罹災証明書用、引き・寄り)
片付けを始める前に、浸水した高さがわかる引きの画像と寄りの画像を撮影しておく。
(床下浸水でも、火災保険の請求、自治体の「災害見舞金」、確定申告で税金が安くなる「雑損控除」の申請に必須となります)
② ブレーカー&ガス栓遮断
漏電火災を防ぐため、ブレーカーを落とし&ガス栓を閉めてから作業を開始する。濡れた家電や電動介護ベッドのプラグも抜く。
③ 要介護者の安全な場所への退避
カビや泥のニオイ、あるいは消毒剤が充満するため、作業中は要介護者をデイサービス等に避難させる。
◆ 家屋メンテナンスと消毒の注意点
🍀床下浸水の場合
●水抜きと乾燥の徹底:
床下の泥や水を排出し、扇風機や送風機で完全に乾燥させる(乾燥が不十分だとカビやシロアリ、臭いの原因になります)。
●床下の消毒:
清掃・乾燥後に消毒液で殺菌処理を行う(※消石灰の使用は避け、安全な消毒薬を選びます)。
🍀床上浸水の場合
●清掃と強力な消毒:
汚水(下水混じり)が入るため、壁や床の泥を洗い流した後に塩素系消毒液などで殺菌処理を行う。
💡【重要】要介護者がいるご家庭の「消毒ルール」と注意点
❌ 避けるべき薬剤(呼吸器への刺激や認知症症状の悪化リスク)
消石灰:強アルカリ性のため目や皮膚に危険。粉じんの吸入リスクもあり散布は避ける。
クレゾール石鹸液:強力な化学臭が呼吸器を刺激し、認知症の方の「せん妄」や行動障害(BPSD)を誘発しやすい。
塩素系漂白剤(ハイター等)の『スプレー噴霧』:蒸気・ガスの吸入で激しいむせや呼吸困難を引き起こすため厳禁。
(※必ず『雑巾での拭き取り』にする)
「酸性タイプ(クエン酸等)」との混用:有毒な塩素ガスが発生し命に関わるため絶対に混ぜない。
⭕ おすすめの消毒法(刺激が少なく安全性の高いもの)
消毒用エタノール:泥を落として乾燥させた後、布に含ませて拭き上げる(乾きが早く無臭化しやすい)。
塩化ベンザルコニウム(0.1%希釈):ほぼ無臭で、家具や床の拭き上げに適する。
希釈した次亜塩素酸ナトリウム(0.02〜0.1%):薄めた液を雑巾に含ませて「拭き取る」。
⚠️ 安全に行う3つの鉄則
作業中の「退避」:清掃・消毒中は要介護者を別室やデイサービス等へ移動させる。
「泥落とし・乾燥 ➔ 消毒」の順:汚れの上から散布しても効果がないため、先に洗浄と乾燥を済ませる。
「2箇所以上の換気」:窓を開けて風の通り道を作り、薬剤が充満しないようにする。
💡【知っておきたい】床下浸水でも使える「公的支援・負担軽減策」
「床下浸水だから何も補償がない」と諦める必要はありません。自治体や国の制度で以下のような支援を受けられる可能性があります。
● 自治体による「消毒液の無料配布・消毒実施」
浸水後の衛生対策として、役所で消毒液を無料配布したり、公的負担(無料)で専門業者が床下の消毒を行う場合もあります。まず役所の防災課や保健所に確認してみましょう。
※配布された消毒薬を使う場合も、本文で解説した「要介護者の避難」や「拭き取り対応」を徹底してください。
● 所得税・住民税が安くなる「雑損控除」(国の制度)
床下浸水の復旧にかかった費用(排水、泥出し、乾燥、消毒、傷んだ断熱材の交換など)は、確定申告できます。「雑損控除」として所得から差し引けます。税金が減免・還付されるため、実質的な負担を大きく減らせます。
※申請には「被災写真」と業者からの「領収書」が必須です。捨てずに保管しておきましょう。
● 自治体独自の「災害見舞金」
被災した住民に対し、自治体が独自に一律で見舞金(1万〜3万円程度、大規模災害時はさらに増額)を支給する場合もあります。
◆介護機器・衛生用品の対応
🍀電動機器(電動ベッド・エアマットレス・車椅子・吸引器など)
●水没した電気機器は絶対に再通電しない:
ショートや火災、誤作動による怪我の危険があるため、コンセントを入れず福祉用具事業者やメーカーに即連絡する。
●手動への切り替え:
電動ベッドが動かない場合の背上げ方法や、手動車椅子の確保。
🍀衛生用品・消耗品(紙オムツ・ガーゼ・経管栄養剤など)
●水没・湿気を含んだものは原則すべて廃棄:
一見濡れていないように見えても、汚水の細菌やカビが付着しているリスクがあるため、未開封でも水に浸かったものは処分する。
●医薬品・処方薬の確認:
濡れてしまった薬は服用せず、かかりつけ医や調剤薬局に再処方を相談する。
◆家族の体調管理とケアマネ連絡
🍀衛生面と感染症予防
●感染症リスク:
破傷風や消化器系感染症(ノロウイルス、レジオネラ菌など)を防ぐため、作業時の長靴・厚手手袋・マスク着用を徹底。
●要介護者の皮膚トラブル:
浸水後は湿気がこもりやすく、床ずれ(褥瘡)や皮膚炎が悪化しやすい。だから、特に肌の清潔を保ち保湿ケアをしっかり行う。
🍀福祉用具事業者・ケアマネジャーへの初期連絡
●代替品の手配依頼や、避難先(ショートステイ等)の緊急確保に向けた連絡を早急におこなう。
🍀環境変化による心身のストレスケア
●要介護者のメンタルケア:
環境の変化や作業の音・ニオイで認知症症状が一時的に悪化(BPSDの増悪)したり、せん妄を引き起こしやすくなる。なるべく声かけを増やし、気分が落ち着くように、お茶やおやつの時間を一緒に過ごす。
●介護者の疲労・共倒れ防止:
片付けと介護のダブルパンチで介護者は、とても疲弊しやすい。レスパイトケア(一時的な介護軽減)やデイサービスの臨時利用を検討し、ケアマネに相談する。
◆問い合わせ先・緊急連絡先一覧
■ 床下浸水の場合(泥出し・乾燥・消毒)
・相談先:水害復旧専門業者、地元の工務店、シロアリ駆除業者
・内容:床下の水抜き、泥の撤去、乾燥、殺菌・消毒、点検
■ 床上浸水の場合(最優先:漏電チェック)
・相談先:電気工事店、電力会社、電気保安協会
・内容:コンセント・分電盤の漏電確認(※濡れた状態での通電は絶対NG)
■ 床上浸水の場合(建物の復旧・解体)
・相談先:地元の工務店・ハウスメーカー、水害特殊清掃業者
・内容:壁紙や断熱材の撤去、家具・床の消毒・乾燥、再施工
■ 介護環境の確保(福祉用具・避難先)
・相談先:担当ケアマネジャー、利用中の福祉用具貸与事業者
・内容:電動ベッド等の点検・交換、ショートステイ等の緊急手配
まとめ
床下や床上浸水の被害に遭うと、目の前の片付けや要介護者のお世話だけで精一杯になってしまうのが当たり前です。
ですが、もし今回「床板をはがして消毒する」ことになったなら、ぜひ一度「今後の浸水防止対策工事も一緒にできないか?」を工務店やケアマネジャーさんに相談してみてください。
床下が露出している復旧作業時だからこそ、二重の工事費用を抑えて恒久的な対策を施すことができます。
復旧作業はとてつもないご苦労と思いますが、この自然災害を転機にかえて、より良い環境を整えられるように祈っています。
🛡️ あわせて読みたい「介護家庭の防災3部作」シリーズ
このブログは、水害に立ち向かう介護家庭のための「防災3部作」第1弾(復旧・衛生管理編)です。
被害からの復旧作業が進みましたら、今後の再発防止や備えとして、ぜひ以下の続きの記事も参考にしてみてください。
【第1弾:浸水直後の対応・消毒】(この記事)
[床下・床上浸水時の自宅介護ガイド|要介護者を守る復旧手順と消毒の注意点](https://kizuna-iyashi.com/2026/09/11/flooding-home-care-guide/)
👉 被害を受けてすぐの安全確保、衛生管理、要介護者のメンタルケア手順をまとめています。
【第2弾:床下の再発防止工事】
[二度と浸水させない!床板をはがした今できる「床下浸水防止工事」完全ガイド](https://kizuna-iyashi.com/2026/09/11/flooding-prevent-underfloor-plan/)(9月11日21時アップ)
👉 復旧作業で床板を剥がした「今」だからこそ検討できる、本格的な防水・補強工事を解説しています。
【第3弾:事前の防災リフォーム・補助金】
[【要介護のご家族がいる方へ】大雨・水害に備える「防災リフォーム」3つのポイントと使える補助金](https://kizuna-iyashi.com/2026/09/18/nursing-disaster-prevention-renovation/)
👉 在宅避難を見据えた電源確保や車椅子動線の改修、使える公的補助金について詳しく解説しています。
以上


