親の「大丈夫!」を信じちゃダメ?「正常性バイアス」と認知症特有の「取り繕い」の違いと対策
介護友だちのSさんが困り果てています。彼女のお父様はお元気なのですが80歳を超えた今も、運転免許を手放しません。
彼女の田舎ではバスの本数が少なく、病院通いも買い物も車が必要です。長男に乗せてもらえば良いとSさんは考えますが、「事故なんて起こさない」と頑なです。
親に強がられると、ついイラッとしてしまいますよね。
「事故なんて起こさないから大丈夫」と言い張るSさんのお父様も、実は『正常性バイアス』やプライドから来る『取り繕い』が原因でした。
1.親の「何でもない」「大丈夫」に潜む落とし穴
最近、物忘れやトラブルが増えているのに、本人は頑なに『問題ない』と言い張る…そんな経験はありませんか?
親のそんな「何でもない」を、単なる強がりや勘違い(正常性バイアス)と思って見過ごしていると、ご近所トラブルや金銭被害が知らない間に深刻化してしまうこともあります。
まずは、その「大丈夫」が心理的なものなのか、認知症の症状なのかを見極めることが大切です。
2.「大丈夫」の裏にある3つの原因
親の言動には感情がさきに立ってしまいがちですが、まず落ち着きましょう。あの行動を、心理と症状に分けて解説します。
●原因①:正常性バイアス(一般的な心理)
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どんな状態?: 異常に気づきつつも「自分は大丈夫」「大したことない」とリスクを過小評価してしまう心理。
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例: 「うっかり忘れただけ。歳のせいだから問題ない」
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│ 💡 用語解説:正常性バイアスとは? │ 災害や身体・認知機能の変化などの異常事態に直面した際、「自分は大丈夫」「大したことない」とリスクを過小評価し、正常な範囲内だと思い込もうとする心理メカニズムのことです。 └────────────────────────┘
●原因②:取り繕い反応(認知症の初期〜中期に見られる心理的防衛)
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どんな状態?: 失敗や混乱を感じているが、プライドを守るため・心配をかけないために咄嗟にごまかす。
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例: トラブルを指摘されても「あっちが勝手に言っているだけ」「何も起きていない」と嘘をつく。
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│ 💡 用語解説:取り繕い(とりつくろい)反応とは? │ 認知症(特に初期のアルツハイマー型認知症)の人が、記憶障害や認知機能の低下による失敗・物忘れを周囲に悟られないよう、ごまかしたり事実と異なる説明をしたりして体裁を保とうとする無意識の行動です。 └────────────────────────┘
●原因③:病識の欠如(認知症による脳の症状)
- どんな状態?:脳の機能低下により、自分自身の認知機能低下やトラブル自体を「本当に認識できていない」。
- 例:悪気も嘘もなく、心から「何の問題もない」と思い込んでいる。
3.日常生活でよくある「親が隠しがちなトラブル」
〇ご近所関係:
ゴミ出しのルール違反、騒音、境界線を巡るトラブル
〇お金・契約:
悪質商法による不要な買い込み、公共料金の滞納、口座の管理不全
〇健康・生活:
薬の飲み忘れを隠す、傷や体調不良を「なんともない」と言う
4.家族が取るべき4つの対策ステップ
論理的に追い詰めても、なんの解決にもなりません。ここはぐっと冷静さを保って、客観的に事実を把握します。
STEP1:問いたださない・否定しない
⚠️「嘘をつかないで!」「さっきと言っていることが違う」と追い詰めると、防衛本能で頑なになります。
STEP2:「言葉」ではなく「目に見える事実」を確認する
⚠️親の言葉を鵜呑みにせず、通帳の記載、郵便物の山、冷蔵庫の中身、ゴミの出し方など客観的証拠をチェック。
STEP3:第三者(近所・ケアマネジャー)からの情報を集める
🚨「最近変わった様子はないか」をご近所やケアマネジャーにさりげなく確認する。
STEP4:「防犯」や「サポート」を口実に自然に介入する
🚨「お母さんが怪しいから」ではなく、「最近詐欺が多いから一緒に確認しよう」と親のプライドを傷つけない口実を作る。
🚨親のメンツが立つ言い方に言い換えて、解決への道筋を引き出す。
【NGな言い方】「なんで嘘つくの?」「最近、車をこすってばかりいるでしょ」
【おすすめの言い方】「びっくりさせちゃってごめんね、一緒に確認してみようか」「老眼が進んでいるかもしれないから、病院で検査をうけてみない?」
5.まとめ:親のプライドを守りながらSOSをキャッチしよう
「大丈夫」という言葉の裏には、「子どもに怒られたくない」「子どもに迷惑をかけたくない」という親の切実な思いや、病気による戸惑いが隠れています。
問い詰めるのではなく、そっと陰から事実を確認し、必要に応じてケアマネジャーや専門機関に相談しましょう。
困り果てていたSさんは、病院の先生にお父様の運転継続が可能かどうか判断してもらうことになったそうです。
以上


