私たち人間の行為のせいで、この地球の生きとし生けるものたちが苦境に陥っています!

この地球の生きとし生けるものの将来は

この地球の生きとし生けるものの将来は(Dean MoriartyによるPixabayからの画像)

台風19号で、幸いにも被災しませんでしたが、今までとは規模の違う台風の恐ろしさに驚きました。なぜ、こんなことに? ふと、あのキーワードを思い出しました。地球温暖化です。「台風をこんなに狂暴化させてしまったのは、例の二酸化炭素のせい?」「こんな大惨事の引きがねを引いたのは、地球の温暖化?」

これらの疑問の答えを見つけようと、気候変動に関する政府間パネル(IPCC)特別報告書から読み始めました。https://www.ipcc.ch

横山祐典(よこやま・ゆうすけ)教授の『地球46億年 気候大変動』によると、地球は過去260万年間にわたって氷期と間氷期を繰り返してきました。ヨーロッパの南極探査チームが掘削した南極氷床コア等を分析した結果、過去80万年間の大気中の二酸化炭素濃度は、氷期は180~200ppmで振幅し、間氷期は約280ppmとほぼ一定だったそうです。ところが、2018年現在の大気二酸化炭素濃度は400ppm.

過去80万年間の気候データでは、このレベルに到達した時期はまったく見当たらない。現在の地球の二酸化炭素濃度が地球史的にみても異常な高さにあることがご理解いただけるだろう。二酸化炭素濃度は、18世紀の産業革命以降に急速に上昇しており、その原因が人類にあるのは、化学指標の結果からも示されていて議論の余地はない。』と横山教授は述べられています。

また、9月25日にモナコで開催された気候変動に関する政府間パネル(IPCC)のプレスリリースは、こう述べています。『地球温暖化は、過去および現在の温室効果ガスの排出により、すでに産業革命前のレベルを1℃上回っています。これが生態系と人々に深刻な結果をもたらしているという圧倒的な証拠があります。海洋は暖かく、酸性が強く、生産性が低い。氷河と氷床の融解は海面上昇を引き起こしており、沿岸の極端なイベントはより深刻になっています。

この地球の生きとし生けるものの将来は

この地球の生きとし生けるものの将来は(ArtTowerによるPixabayからの画像)

☆温室効果ガスとは?

よく見聞きする温室効果ガスは、赤外線を吸収します。このガスは地面から放射された熱を吸収し、その熱の一部を地面に向けて放射します。太陽からの熱に加えて,温室効果ガスからの放射による加熱があるため,地表面はより高温となり,いわば地球が布団や毛布で包まれた温室状態となります。

温室効果ガスには、二酸化炭素、メタン、一酸化二窒素、など7種類があげられています。残念なことに、これらのガスはみな、半導体の製造プロセスや電気の絶縁体、スプレー、エアコンや冷蔵庫などの冷媒、化学物質の製造プロセスなどが排出源で、わたしたちの生活に密接に結びついています。(全国地球温暖化防止活動推進センター、https://www.jccca.org/chart/chart01_02.html )

☆大気中の二酸化炭素濃度が高くなるとどうなるの?

過去80万年間の大気中の二酸化炭素濃度が一定の数値で推移した要因は、海にありました。二酸化炭素は水によく溶けるので、地球の表面の約70%を占める海が、炭素を貯蔵する巨大な貯蔵庫の役割を担っていたのです。

地球の炭素貯蔵庫(炭素レザボア)の中で、大気のサイズを1とすると、陸上に繁殖する植物に取り込まれている(炭素の)量も、大気のそれとほぼ同じくらい。土壌はその2.5倍にもなる。ところが、海のレザボアは陸上のそれをはるかに上回り、現在の大気の45倍以上もある。したがって、海の状態がほんの少し変わるだけで、大気への影響が顕著に現れるのだ。気候の寒暖のハンドルを握っているのは、陸地ではなく明らかに海なのである。』(『地球46億年 気候大変動』)

このように、大気中の二酸化炭素濃度が高まると、海が炭素を吸収します。

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この地球の生きとし生けるものの将来は(David MarkによるPixabayからの画像)

☆海はどうなるの?

海は二酸化炭素を貯蔵し、大気の熱を吸収して、気温を下げる働きをします。それだけではなく、植物プランクトンが酸素を作り、海の生物たちを育んでいます。地球のサーモスタットのように働き、そのうえ海洋生物たちの母となっている海が、急激に弱っています。

『人工衛星による観測が始まった1979年以降、北極圏の氷の体積は半分以下となり、面積も厚さも減少した。海氷の面積は夏の終わりの9月に年間で最小となる。2012年9月の海氷域は、1980~90年代の平均の半分まで縮小した。』(『ナショナル ジオグラフィック別冊8 気候変動-瀬戸際の地球-』)

『海氷が減り、大気と触れる面積が広がった北極海では、酸性化の進行も懸念される。冷たい海は温かい海よりも二酸化炭素を吸収しやすいからだ。酸性化が進むと海水中の炭酸イオンの濃度が下がる。この傾向が続けば、北極海では今後15年のうちに、貝やカニなどの海の生き物が、炭酸カルシウムの殻や甲羅を維持できなくなるおそれがある。』(『ナショナル ジオグラフィック別冊8 気候変動-瀬戸際の地球-』)

南半球でも水温の上昇は、海の生態系に重大な影響を及ぼしています。サンゴ礁の面積は、地球の表面の0.1%に過ぎませんが、海の生態系の20%を支え、9万種の生物に恵みをもたらしています。オーストラリア北東部のグレート・バリアリーフでは、ここ数年、水温上昇による大規模なサンゴの白化現象が続いているそうです。

『気候変動に関する政府間パネル(IPCC)によると、南極の海氷は今世紀中におよそ4分の1が失われるという。そうなれば植物プランクトンも減り、オキアミも減る。その結果、魚、イカ、ペンギン、ザトウクジラにいたるまで、オキアミを食べる南氷洋の生物すべてが減る。オキアミが激減すれば、生態系全体が大打撃を受けかねない。』(『OUR PLANET -私たちの地球-』)

この地球の生きとし生けるものの将来は

この地球の生きとし生けるものの将来は( LucyKaefによるPixabayからの画像)

☆この天気の激変はなぜ?

環境庁は、『STOP THE 温暖化 2017』をホームページで公開しています。(https://www.env.go.jp/earth/ondanka/knowledge/Stop2017.pdf)このレポートによると、日本は将来暑くなり、強い雨の回数が増え、21世紀末の真夏日の年間日数が一定の条件下で、現在よりも49日増加するそうです。けれど、極端な気象現象が起きる原因について説明はありません。

『気候変動の観測・予測及び影響評価統合レポート2018 ~日本の気候変動とその影響~』(2018年2月 環境省 文部科学省 農林水産省 国土交通省 気象庁)(http://www.env.go.jp/earth/tekiou/report2018_full.pdf)によると、気候は気候システムの外部からの要因と内部の要因により影響を受け、さらに外部要因も自然起源の要因、例えば火山噴火等と、人間の活動による影響を受けるので、断定はできないようです。

やっと見つけた『ナショナル ジオグラフィック別冊8 気候変動-瀬戸際の地球-』には、こう書かれています。

『寒帯ジェット気流は、西から東へ流れる強い気流で、「極渦(きょくうず)」と呼ばれる北極圏の気圧の低い大気と、より温暖な南側の気圧の高い大気を隔てている。ジェット気流が南へ大きく蛇行すると、温帯地域に強い寒気や雪をもたらすことがあり、北への蛇行は猛暑や干ばつを招く。最近多発するこうした極端気象の主な要因が、太平洋の気象サイクルの変化なのか、北極海の海氷の減少なのかをめぐって、研究者の間では議論となっている。

『たとえば、ジェット気流の大蛇行や極渦の南下は、北極海よりはるかに強力な熱源である熱帯の太平洋の影響という説を支持する研究者もいる。データを収集し、気候モデルを作成してこの議論に決着をつけるには、あと数年はかかるだろう。

という次第で原因はまだ不明ですが、気候変動に関する政府間パネル(IPCC)の第5次評価報告書によれば、21世紀末に温室効果ガスの排出をほぼゼロに抑えた場合でも、0.3~1.7℃の気温上昇が予測されています。これ以上、温室効果ガスを排出していたら、どうなってしまうのでしょうか?

この地球の生きとし生けるものの将来は

この地球の生きとし生けるものの将来は(David MarkによるPixabayからの画像)

地球温暖化はあまりに膨大で、色々な問題が複雑に絡み合っていて、ここでは海と気候についての一部分を、お届けしました。それでも痛感したことは、この地球が大変な状態になっていて、私たち人間の行為のせいで、この地球の生きとし生けるものたちが苦境に陥っているということです。

わたしはこの地球に生まれ、美しい姿にいっぱい出会いながら育ってきました。新緑や満開の桜、雨上がりの虹に、音もなく舞う初雪。水平線から立ち上る入道雲や幸せを予感させてくれる朝焼け。色々な動物たちにも、海にも心の糸をかき鳴らしながら、生きています。感謝しています。だから、少しでも温暖化防止に努めないと、この青い地球と生きとし生けるものたちに対して申し訳ないと感じています。

 

参考:気候変動に関する政府間パネル https://www.ipcc.ch/  

『STOP THE 温暖化 2017』https://www.env.go.jp/earth/ondanka/knowledge/Stop2017.pdf  

『OUR PLANET-私たちの地球-』2019年、筑摩書房、 

『地球46億年 気候大変動』横山祐典著、2018年、講談社ブルーバックス、

『ナショナル ジオグラフィック別冊8 気候変動-瀬戸際の地球-』2017年、日経BPムック、

『サイエンス・ネクスト-科学者たちの未来予測-』ジム・アル=カリーリ著、2018年、河出書房新社

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