介護の知恵袋ー寒くなる前に室温管理のポイントや電気毛布を嫌がる場合について

介護の知恵袋ー寒くなる前に

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秋を飛び越して、北日本が真冬並みの寒気に襲われています。積雪何センチといったニュースが流れていますが、みなさまのお住いの地域ではいかがでしょうか?

さて、今回は本格的な冬が始まる前に、介護をなさっていらっしゃる方々の知恵や質問、あるいは困りごとなどをまとめました。そしてご質問には、介護福祉士シニア向けのアクティビティを各地でおこなっていらっしゃる、「わらうかど」代表 金田さちこさんに答えて頂きました。

介護の状況は、本当にお1人ずつ異なりますが、あなたのご参考になれば幸いです。

介護の知恵袋ー寒くなる前に

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☆『自宅で寝たきりのおばあちゃんの介護をしていた時は、気温が22℃より下がるとエアコンで室温管理をはじめました。室温は、20℃だと着替える時にちょっと肌寒い。22℃以上は、寝たきりで背中が布団に密着してるので汗ばみます。故に、22℃が我が家の場合ベストでした。この室温設定は個人の基礎体温によって、個人差があると思います。

湿度は、風邪菌が死滅するのが50%以上なので、それ以下にはならないよう加湿器で調整。湿度60%以上になると逆にカビが出てきてしまうので、我が家では55%に落ち着きました。加湿器は終日、付けっ放しだから、加湿器にカビが生えない様に毎日お水替えて掃除もしてました。全てテレビの家庭の医学関連の番組から仕入れた情報です。』(東京Kさん)

♡介護福祉士 金田さちこより

色々と試され、その方に合ったベスト温度を分析した、とても良い温度管理だと思います。
私、金田も高齢者施設勤務の時は、温度=約24℃ 湿度=約60%を心掛けていました。
しかし施設内は広く、なかなか理想の温度管理が出来ない状況でした。そこで、冬はバスタオルを濡らして部屋に干すことや、濡らしたタオルをくるくると振り回し、湿度の維持に努めていました。
 
また、喉の乾燥によって、菌が喉につきやすくなることもあります。この場合、マスクを着用するだけで保湿になり、風邪予防になります。
 
菌やウィルスには、それぞれ活動が活発になる温度や湿度があります目には見えませんが菌やウィルスは、どこにでもいます。ですから、介護をなさっている方が媒介させないように、手洗いをしっかり行う必要があります。手洗いをしても目に見えない洗い残しがあり、そこには菌が付着しています。
 
勤務していた高齢者施設では、「手洗いチェック」専用キットを用いて、定期的に手洗いチェックを行っていました。ご家庭ではそこまで出来ないので、まずしっかり手洗いをする意識をもつことが大切です。
 
以前、放課後児童クラブで「手洗い教室(洗い残しを知る)」を実施した時、子どもたちが自分の手に意外と洗い残しがあることに気づき、驚いていました(驚いて、目をまん丸にして手を見ている姿が、かわいらしかったです)
 
加えて、冬に忘れがちな「換気」も大切です。色々な菌やウィルスがいます。正しい情報を取得して風邪予防を行ってください。
 
 

『川崎市在住で、特養の順番待ちをしているのですが、順位を教えていただけません。要介護2の低い得点で待っているので、いつまで待たされるか不安です。ぼんやり待つしかないのでしょうか?』(神奈川Aさん)

♡介護福祉士 金田さちこより

色々ご事情もあると思われます。ご不安ですね。
現在、特別養護老人ホームの入居条件は要介護3からとなっております。けれど、特例の場合は要介護1、2でも入居は可能です。そして特養の順位についてお伝えする方法は、 自治体によって異なるようです。
 
例えば、東京都中央区の場合は以下の通りです。
施設サービスを適切に提供するため、中央区が「事務局」となり、事務局員、施設職員等で「入所調整会議」を行い、入所順位を決定しています。入所調整会議は年2回開催し、会議の都度入所申込者の状態をもとに、入所調整基準により見直しを行っています。入所順位は半年ごとに入れ替わるため、その結果順位が下がることもあります。
 
特養の順位については入所調整会議で決定していれば、中央区が通知等で申込者へ伝えるそうです。
 
ただ、入所調整会議は年に2回行ないます。もしも、まだ実施していないとなると順位がわからないため、お伝え出来ないという場合も考えられるとのことです。
 
この例は東京都中央区の場合で、通知の有無は自治体によって異なるそうです。お申込書の案内に詳しく書いてある書類もありますので、確認すると良いです。
 
現在は在宅介護なのでしょうか、待つ側としては気掛かりのことと思います。特養に入居できるまでの間は地域包括支援センターの方にご相談したり、様々な介護サービスをご利用すると良いと思います。
 
介護の知恵袋ー寒くなる前に

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『母は心不全と認知症の介護認定2で、自宅介護しています。夏は私が居ないとエアコンを切ってしまうし、真冬でも寝る前になるとガスストーブを止めてしまいます。古い家なので隙間風があり、冬の夜明け前の寒さが心配ですが、説明しても忘れてしまいます。電気毛布も嫌がります。どうしたら良いでしょうか?』(神奈川Bさん)

♡介護福祉士 金田さちこより

ご高齢の親御さんがいらっしゃるご家庭では、どこでも悩む問題です。
まず、ご高齢の方がエアコンなどの冷暖房を止めてしまうには、理由があります。「エアコンの風で体調が悪くなる」「ストーブでの火事や事故が気になる」など、ご自分で健康や事故のリスクを考え管理をしていることがわかります。しかしご高齢の親御さんの若い頃とは、身体機能や気候が変わったことは確かです出来れば温度管理はご高齢の親御さん以外の方が、見守り気配りをしたい所です
 
心不全の既往歴があると心配ですね。
これからの季節は、部屋の温度差による血圧の変動が原因で倒れる方が多いので、注意が必要です
例えれば、ご高齢の方の血管は「古いホース」のようなもの。長年使ったホースは固くなり、急激な水圧により穴が生じることや(脳出血)、ホースの内側に付着していた「カス」が勢いよく流れた水により、剝がされ詰まる(脳梗塞など)ということがあります。そのため、血圧の急激な変動を防ぐためにも、温度管理は大切です。
 
加えて、冬場の「脱水」も要注意です。心不全等により水分制限がある方もいらっしゃいますので、摂取量に気を付けて、多すぎず、少なすぎず、体内の水分を保つ体調管理が必要です。
 
寒さ対策としては、寝る時は毛布をシーツの代わりに敷き、お体の上には羽毛布団をかけ、羽毛布団の上にベッドカバーや毛布を掛ける方法があります。こうすると、床からの冷たい空気を毛布が遮り、かけた羽毛布団の羽が体温で温まった空気を包み込むのでとても暖かいです。
 
電気毛布は乾燥しますので、湯たんぽをお勧めします。レンジで温めるタイプの湯たんぽもあります。
 
ご家族がアドバイスしても、右から左で聞き流されてしまうことも多いですよね。
そのような時は「白衣」。「医者」「先生」など、信頼がおけて知識のある医師やケアマネジャーの方からアドバイスしていただくと、聞き入れてくださる場合もあります。
 
何もかもご家族が管理してしまうと「考える」機能が落ち、ご本人も「自信」を無くしてしまいます。介護なさっている方と意見が違っても、その方はご自身なりに、色々工夫し考えて温度管理をなさっていらっしゃると思います。なるべくご本人のプライドに寄り添って、多くの人の協力を得て、見守ってください。  

 

今年の10月にやっと特養に入居できました。1週間に1回のペースでお見舞いに行ってますが、どうやら母が前よりも痩せてしまい、体重が40キログラムを割っているようです。特養に預けているのだから看護師さんの目は行き届いていると思いますが、心配です。どうしたら良いですか?』(東京Cさん)

♡介護福祉士 金田さちこより

面会に行かれた時に、食事量や日中の様子の記録を見せて頂くことも可能です。高齢者施設では定期的にケアプランのカンファレンスを実施して、体重の増減についても栄養士や看護師のチームでチェックし、ケアの方法を話し合います。カンファレンスの結果についても、ご家族に報告を行っています。その時に、内容を確認してご家族に出来る事があれば、協力すると良いでしょう。
 
ご高齢になると、消化器系など内臓の機能も低下します。タンパク質などを消化する機能が低下し、肉など食べられなくなるケースもあります。体重減少には様々な原因がありますので、医師、歯科医、栄養士など専門職の意見も聞きながら、ご本人に負担がない体重管理を心がけると良いです。
介護の知恵袋ー寒くなる前に

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『老人ホームにお見舞いに行くと「家に帰りたい」と母に泣かれます。先日は母に「家の近くまで行ったけど、あなたたちに悪いと思って帰ってきたのよ」と言われました。その夜、玄関の扉が開いてパジャマの上にベージュのコートを羽織っただけのボロボロの姿で、歩けないはずの不自由な足を引きずりながら、必死の形相で入ってくる母が、夢に現れました。きっと私は、母に対して老人ホームに預けてしまったことを後ろめたく感じているのだと思います。このように考えてしまう私に、何かアドバイスはありますか?』(東京Dさん)

♡介護福祉士 金田さちこより

ご家族もケアスタッフも悩む、とても多い問題です。
私が勤務していた高齢者施設でも、「家のほうがいい」「帰りたい」とおっしゃる入居者様と、施設に預けていることを後ろめたく感じているご家族様が、沢山いました。私自身、子供の入院の付き添いで1ヶ月半ほど病院で過ごした経験があります。好きな物も食べられない、自由に外の空気も吸えないなど、ストレスは想像以上でした。
 
以前に勤務していた高齢者施設の入居者様で「帰りたい」と言っていた方が、お正月など3日間ほど自宅へ帰る時がありました。「行ってきます」とニコニコ嬉しそうに自宅へご家族と帰られます。が、2日目で「施設へ帰りたい」と言い、施設へ帰ってくると「やっぱりこっちのほうが過ごしやすい」と話す方がいらっしゃいました。
 
理由は、自宅がバリアフリーでは無いため生活の動作が大変であったり、親戚が集まることや、あちこち出かけて疲れた、などと話されていました。
 
この時私は介護スタッフとして、ご家族が入居者様と一緒に過ごす時間を大切にしていることも嬉しく、「やっぱりこっちがいい」とご本人が言ってくれたことも嬉しく思いました。
 
お母さまの 「家に帰りたい」の言葉の中には色々な理由があると思います。「家が心配」、「家でちょっと息抜きしたい」、「家族と過ごしたい」など、責任感がお強かったり、気を使われていたり、ご家族思いであったりすることが考えられます。お母様のお気持ちを汲んで、無理の無い程度に気分転換の機会を作ることや、お母様の心配されている事を解消すると良いと思います。  
 
高齢者施設での生活でも適度な外出や外泊といった、バランスのある生活も心身の健康のためには大切です。
 
今は一緒に外出してくれる介護保険外サービスもあります。お金はかかりますが、かけがえのない時間をご本人もご家族も得られます。ご家族だけで頑張らず、そのようなサービスを利用して、外出ケアサービスのスタッフにもお母さまのケアチームの一員になっていただく方法も良いことです。
 
 高齢者施設をご利用されているご家族様は、「帰りたい」という言葉を聞くといたたまれなくなります。しかし、家での生活も良い所があり、現在入居されている施設にも良い所はあります。今の施設で過ごしていくうちに「ここが私の安心できる場所」と思う時がくると思います
介護の知恵袋ー寒くなる前に

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介護の悩みはつきません。
色々な方にお話しして情報を交換することも良いです。
2019年もあと少しですね、皆様が良き年末年始を迎えられることをお祈り申し上げます。
 
わらうかど 金田さちこ
 

《お願い》みなさまの介護に関するご質問やご意見を募集しております。お寄せいただいたご質問には、次回の「介護の知恵袋」で、金田さちこさんをはじめ、専門の方々にお答えいただきます。仮名で結構ですので、このホームページのお問い合わせフォームからお寄せください。お待ちしております。https://kizuna-iyashi.com/mail-3/

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