角を立てずに断る方法+αが学べる『あたらしい自分を生きるために』

角を立てずに断る方法が学べる『あたらしい自分を生きるために』

角を立てずに断る方法+αが学べる『あたらしい自分を生きるために』(Olga OginskayaによるPixabayからの画像)

最初は我慢したけど、だんだん負担がキツクなってきて、でも断れない。ストレスが溜まり過ぎて爆発しそう・・・こんな経験はありませんか?義理のお付き合いとか、お姑さんやお嫁さん、あるいは同僚・・・そんなあなたに角を立てずに断る方法に加えて、「+α」が学べる本をご紹介します。

『あたらしい自分を生きるために』森田汐生(もりた・しおむ)著、童話館出版、2005年刊、1333円(税抜き)ISBN4-88750-052-1

優等生で周りの人たちに常に気を遣う、自称「地方のいわゆるいい子ちゃん」だった森田汐生さんは大学2年の時に北欧のデンマークに留学し、その時に『A Woman in Your Own Right』という本に出合います。大学卒業後は心のケアを行うソーシャルワーカーとなり、イギリスで働きながらこの本の著者、アン・ディクソンのもとで、アサーティブネス・トレーナーの研修を受け、資格を取得。帰国後に日本でアサーティブ・トレーニングを始め、2004年には特定非営利活動法人アサーティブジャパンを設立なさっています。

繊細で生真面目で、人間関係に悩んでいた森田汐生さんが「アサーティブネス」に出合い、開眼し、成長しつづけた知恵やスキルがこの『あたらしい自分を生きるために』には詰まっています。

では、まず「アサーティブネス」とは何でしょうか。

角を立てずに断る方法が学べる『あたらしい自分を生きるために』

角を立てずに断る方法+αが学べる『あたらしい自分を生きるために』(Susanne Jutzeler, suju-fotoによるPixabayからの画像)

アサーティブネスとは、自分も相手も大切にしたうえで、自信をもって、はっきりと、自分の気持ちや意見を伝えることのできる、コミュニケーションの在り方をいいます。』と最初のページに記されています。

この本は全5章で構成され、「第一章 アサーティブネスに、ようこそ」では、自分も相手も大切にしながら、意見や気持ちを伝えるとはどういうことかを、具体例を織り交ぜながら説明しています。森田汐生さんはこうおっしゃっています、『アサーティブに生きるとは、自分はほんとうはどうありたいのか、相手とどんな人間関係をもちたいのかを、大切にするということなのです。

角を立てずに断る方法が学べる『あたらしい自分を生きるために』

角を立てずに断る方法+αが学べる『あたらしい自分を生きるために』(Olga OginskayaによるPixabayからの画像)

「第二章 アサーティブに伝えるとは」では、コミュニケーションの基本、「何を伝えるか」と「どう伝えるか」を解説しています。要らないのに子どもの古着をくれる先輩ママや、会議中にタバコを吸う同僚が例としてあげられ、「何を伝えるか」「どう伝えるか」を解説してくださいます。

「第三章 テーマ別に学ぼう「アサーティブな伝え方」」では、全141ページの中の70ページを割いて、具体例をあげて、詳しく説明しています。例えば「◆ケース1 夫が、約束どおり早く帰宅しない」では、「〇攻撃的なコミュニケーションの例」と「〇受け身的なコミュニケーションの例」と「〇言葉にしないでネチネチと態度で非難するコミュニケーションの例」と「●アサーティブな例」が並べられています。一目瞭然。耳が痛い、いえ、心が痛い実例のオンパレードです。そして実例が多いので、あの時はこう言えば良かったのね、と腑に落ちます。

角を立てずに断る方法が学べる『あたらしい自分を生きるために』

角を立てずに断る方法+αが学べる『あたらしい自分を生きるために』(klimkinによるPixabayからの画像)

「第四章 自分を知り、よりよく生きるために」では、アサーティブに生きるの心の持ち方を教えていただけます。

というのも、アサーティブネス(assertiveness)は直訳すると「積極的な自己主張」の意味で、1960年代のアメリカの公民権運動や1970年代の女性解放運動から生まれたそうです。社会的差別を受けてきた側が、黙っていては差別される、がまんしていては何も変わらないと、自分の基本的権利を主張するためのスキルとして発達したそうです。一方的な攻撃や批判だけでは事態を変革することはできず、対等な視点に立って、相手の権利を尊重しつつ自分の権利を静かに主張する、そういうなかから現在のアサーティブネス(assertiveness)が生まれたそうです。

このような生い立ちから、アサーティブネス(assertiveness)は単なるノウハウではなく、考え方や生き方に繋がります。「第五章 次の一歩を踏み出すために」では、アサーティブネス(assertiveness)を習得して、これからどんな人生を歩みたいですか?と森田汐生さんが私たちに問いかけています。「目標設定のためのワーク」も載っていますので、試されてはいかがでしょうか?

この本は実例が豊富なので、単なるノウハウ本としても使えます。けれど、読み進めるうちにアサーティブネス(assertiveness)を理解すると、「これからどんな人生を歩みたいですか?」と問いかける森田汐生さんの声が聞こえてきます。『アサーティブに生きるとは、自分はほんとうはどうありたいのか、相手とどんな人間関係をもちたいのかを、大切にするということなのです。

繊細で傷つきやすいあなたに、気を遣い過ぎて疲れ果ててしまうあなたに、ご自身が何をしたいのか、本当は何が欲しいのかが見えなくなってしまったあなたに、この『あたらしい自分を生きるために』をお勧めします。

角を立てずに断る方法が学べる『あたらしい自分を生きるために』

角を立てずに断る方法+αが学べる『あたらしい自分を生きるために』(Виктория БородиноваによるPixabayからの画像)

『あたらしい自分を生きるために』森田汐生(もりた・しおむ)著、童話館出版、2005年刊、1333円(税抜き)ISBN4-88750-052-1

特定非営利活動法人 アサーティブジャパン  所在地:〒186-0002 東京都国立市東1-6-31 k.sビル4F A号 代表理事:森田汐生 https://www.assertive.org/intro/

以上

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