おじさん解読の手引書『50歳の衝撃』

おじさん解読の手引書『50歳の衝撃』

おじさん解読の手引書『50歳の衝撃』(PatrikphotosによるPixabayからの画像)

人生100年時代と言われても、50歳ともなると『将来の選択肢が少なくなり、未来への可能性は狭くなっていることが多い。そんな時に、人はどんな決断をし、どんな行動をとるのだろう』(3ページより引用)という著者の問題意識から書かれたこの本は、会社のおじさんを解読できる素晴らしい手引書です。

『50歳の衝撃 - はたらく僕らの生き方が問われるとき』山本直人(やまもと・なおと)著、日経BP社、2018年刊、ISBN978-4-8222-9253-9

おじさん解読の手引書『50歳の衝撃』

おじさん解読の手引書『50歳の衝撃』(Michal_o79によるPixabayからの画像)

この本は小説ですが、キャリア開発とマーケティングの両面から企業に対してコンサルタントを行っていらっしゃる山本直人氏が、業務の中で見聞なさってきたケースが根底にありそうで、小説という形態も頷けます。25話で構成された、50歳のいろいろなタイプ別ショートストーリー。B6判、262ページですが、文字も大きく、余白も広いので読みやすいです。

全体は7章に分かれ、「働き方を変える」「キャリアを振り返る」「ゼロからの再出発」「出世は運か実力か」「部下を育てる」「仕事と家庭」「”今”を生きる」の表題の下に4~5話の『老舗の食品メーカーで働いているPさん』の話や『産業材のBtoBを手掛ける伝統的な企業』のXさんの話が8ページくらいで語られます。臭いビジネス書は、戦国武将にたとえたり、孫子の兵法書がでてきたりと趣味の違いを実感させられますが、この本は大丈夫。

「出世は運か実力か」の中の1話、『結局、「家康」が社長になったか』の話だけ、次期社長候補の3人が「信長」「秀吉」「家康」の仮名で語られますけどね。また、25話の中で女性が主人公の話は2話だけです。つまり、色々なパターンの50歳前後の男性の仕事にまつわる原因と結果が語られます。

おじさん解読の手引書『50歳の衝撃』

おじさん解読の手引書『50歳の衝撃』(Spencer WingによるPixabayからの画像)

この男性中心の本をお勧めしたい方は、①50歳前後の組織で働いている女性、②組織で働いているすべての女性、③配偶者が50歳前後のサラリーマンの女性、です。

なぜなら、この本を読めば、組織で働く男性たちの心理や行動が理解できます。中高年の男性は、家で仕事の話をしない方が多く、会社がどうなっているのか、自分のパートナーが組織の中で何を感じているかご存じない女性が多いと思います。そこで、この本をお勧めします。

また組織で働いていらっしゃる女性なら、この本を読めば不可解なおじさん達の習性が理解できます。部下の育成という課題を与えられて困っているから、ああいう行動を取っているんだと納得できます。特に派閥の話の中で、一緒に飲みに行く心理が描かれた箇所は、「そういう事だったのね」と腑に落ちました。50歳前後の女性であれば、同僚の男性たちの苦悩を読み解く助けとなるでしょう。

おじさん解読の手引書『50歳の衝撃』

おじさん解読の手引書『50歳の衝撃』(photosforyouによるPixabayからの画像)

たったの2話ですが、『彼女たちにとって「私の生き方」は?』の消費財メーカーで管理職のEさんの話と、『育児中の部下に負荷はかけられない』の大手流通業で管理職のMさんの話は、同じ管理職として悩んでいらっしゃる女性の参考になるかもしれません。

著者の意図と異なる読み方だと思いますが、おじさん解読の手引書として、女性のみなさまにお勧めします  

(『』は本からの引用です。)以上

おじさん解読の手引書『50歳の衝撃』

おじさん解読の手引書『50歳の衝撃』(PezibearによるPixabayからの画像)

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