「心の不調」に効く栄養素がわかる『疲れた心がラクになる食べ方大全』
筑波大学は、8月4日から新型コロナウイルス感染症に関するメンタルヘルス調査を開始しています。現在も継続なさっていますが、8月10日までに集まったオンラインアンケート調査の結果を発表しました。https://plaza.umin.ac.jp/~dp2012/covid19survey.html
中間発表によると、この1か月に新型コロナウイルスに関連して、ストレスをとても感じた方が38.3%。少し感じた方が41.8%。合計80.1%の方が、新型コロナウイルスに関連してストレスを感じていらっしゃいます。
そこで、毎日のお食事で心の不調を整える方法がわかる本をご紹介します。
『不安な気持ちがスッキリ消える! 疲れた心がラクになる食べ方大全』那須由紀子(なす・ゆきこ)著、2020年7月刊、株式会社永岡書店、定価1200円(+税)、ISBN978-4-522-43817-6
この本は全部で191ページ、B6判で、イラストやマンガも多用されていて、とても読みやすい1冊です。最初からマンガで始まり、3ページ目には『私たちの心は栄養でできている』とページの半分以上を使って描かれています。
『この本は、私の病院での臨床経験と分子整合栄養医学の理論に基づいた心の不調を改善するための食事術をギュッと詰め込んだ1冊です!』と那須先生が宣言なさっています。
その内容は4章に分けられ、第1章では『「偏食」と「依存」が脳の栄養不足を引き起こす』ことを説明され、第2章では『脳の栄養不足が心の不調を招く4つの理由』を解説。第3章では、『心の芯が太くなり不調が消える食習慣のルール』を具体的に10項目にわたって提案され、さらに8つのレシピも載っています。
最後の第4章では、『あなたの「心の不調」に効く栄養素はコレ!』と題して、最初に6大栄養素について基礎知識を提供してから、「心と体のしんどい不調別 あなたに足りない栄養素早分かり辞典」として、症状別に不足しがちな栄養素を解説しています。
『無自覚な「偏食」と「依存」が心の不調を引き起こす元凶』この表題が私の場合は、刺さりました。
もう10年以上も玄米ごはんを頂く毎日で食生活には自信があったのですが、無自覚な「依存」がありました!コーヒーです。仕事を始める前にポットにコーヒーを落とし、仕事をしながらコーヒーを飲まずにはいられません。那須先生は、特定の食べ物を過剰摂取してしまうことで、栄養バランスはひどく偏っているはずと指摘なさいます。そうかも?!
このような「偏食」や「依存」で食生活が偏ってしまうと、栄養が偏ります。栄養が偏ると、臓器の中で2番目にエネルギーを必要としている脳の栄養も偏り、喜びや意欲、安らぎやリラックスといった感情を作り出す元となる神経伝達物質がうまく合成・分泌されなくなるのだそうです。そのため、イライラや不安、ネガティブな感情が生まれやすくなってしまうのだそうです。
パンやうどん、パスタもハイリスク食だとご存じでしたか?小麦に含まれるグルテンというタンパク質は、体内に入ると2つの悪影響があります。1つは、血糖値を急上昇させてしまうこと。2つ目は、腸壁を荒らすこと。つまり、トーストとコーヒーの朝食は危ないです。
では、どうすれば良いのでしょうか?具体的な食習慣を提案してくださるこの本をお勧めします。
また、186~189ページの巻末付録「血液検査で分かる!あなたに足りない栄養素」では、健康診断表の血液検査項目を12個、解説しています。
例えば、「LDH(LD)」はこう書かれています。『LDHは、体内で糖がエネルギーに変わる時に働く乳酸デヒドロゲナーゼ(LDH)という酵素の数値。LDH値が低い人は糖新生(糖質以外からエネルギーをつくりだす働き)が苦手な体質なので、糖質依存になりやすい傾向が。また、LDHは肝臓、筋肉、血液などに含まれており、脳内神経伝達物質をつくるのに必要不可欠な補酵素。ナイアシンが不足するとLDHがうまく働かなくなるため、筋肉に乳酸がたまって疲労や精神症状を招く。』(187ページより引用)ととても丁寧に説明してくださっています。
健康診断結果を読み解く時にも役立つことでしょう。
まだまだ続きそうな新型コロナウイルス。ストレスに負けない、しなやかな心づくりのためにこの本をお勧めします。