糖尿病は、毎日の緑茶とコーヒーで死亡率が低下します!
糖尿病の方が、毎日4杯以上の緑茶+2杯以上のコーヒーを飲み続けると、約5年間で死亡リスクが63%低下します!白十字病院副院長・糖尿病センター長の岩瀬正典氏、九州大学大学院病態機能内科学の小森田祐二氏らの研究グループが発表なされた成果を、BMJ Journalsに掲載された記事からご紹介します。https://www.bmj.com/company/newsroom/drinking-green-tea-and-coffee-daily-linked-to-lower-death-risk-in-people-with-diabetes/
この研究は、福岡糖尿病患者データベース研究に登録された20歳以上の2型糖尿病患者さんで、平均年齢は66歳、男性2790人、女性2133人の合計4923人のご協力のもとに行われました。緑茶とコーヒーの摂取量を含む食事調査は、58の食品とサプリメントの頻度について、簡単な食事履歴アンケートに記入していただき、血液と尿のサンプルも分析し、身体測定も実施。参加者は、面接、医療記録、手紙、電話などを通じて、生存期間中に毎年フォローアップを受けました。
その結果は、このようになりました。
- 緑茶グループでは、消費された緑茶の量に応じて、すべての原因による死亡率が大幅に減少
- 緑茶を毎日1杯飲んでいると、緑茶を飲まない場合よりも死亡リスクが15%低く、毎日2~3杯飲んでいると27%低い。
- 緑茶を1日4杯以上飲んでいると、緑茶を飲まない場合よりも死亡リスクが40%低くなった。
- コーヒーグループでは、すべての原因による死亡率も、消費されたコーヒーの量に応じて大幅に減少
- コーヒーを飲んでいる人の死亡リスクはコーヒーを飲まない人よりも、1日1杯までは12%低く、1日1杯では19%低い。
- コーヒーを1日2杯以上飲む人では、飲まない人よりも死亡リスクは41%低い。
- 緑茶とコーヒーの両方を毎日飲んだ人の死亡リスクはさらに低下。
- 2〜3杯の緑茶と2杯以上のコーヒーを飲むと、飲まない場合よりも死亡リスクが51%低い。
- 毎日4杯以上の緑茶と1杯のコーヒーを飲むと、飲まない場合よりも死亡リスクが58%低い。
- 毎日4杯以上の緑茶と2杯以上のコーヒーを飲むと、飲まない場合よりも死亡リスクが63%低くなった。
ただし、これは観察研究であるため、因果関係を示すものではありません。
緑茶には、茶ポリフェノールやテアニン、カフェインなど、いくつかの抗酸化作用と抗炎症作用のある化合物が含まれています。コーヒーには、ポリフェノールを含む多くの生理活性成分も含まれています。カフェインについては、循環器系への有害な影響もありますが、インスリンの産生と感受性を変化させるとも考えられているそうです。
現在はまだ、毎日4杯以上の緑茶+2杯以上のコーヒーを飲み続けると、約5年間で糖尿病患者さんの死亡リスクが63%低下する原因は分かっていません。けれど、研究者らはこのようにまとめています。
「私たちの結果は、緑茶とコーヒーを飲むことは、2型糖尿病の日本人の寿命に有益な効果をもたらす可能性があることを示唆しています。」と。
さて、温かいお茶を召し上がりませんか?
謝辞:白十字病院副院長・糖尿病センター長 岩瀬正典先生、九州大学大学院病態機能内科学 小森田祐二先生ならびに糖尿病研究室と関連施設で行っている前向きゲノムコホート研究に携わる皆様に感謝し、研究のご発展をお祈りします。
Additive effects of green tea and coffee on all-cause mortality in patients with type 2 diabetes mellitus: the Fukuoka Diabetes Registry https://drc.bmj.com/content/8/1/e001252.abstract
Drinking green tea and coffee daily linked to lower death risk in people with diabetes https://www.bmj.com/company/newsroom/drinking-green-tea-and-coffee-daily-linked-to-lower-death-risk-in-people-with-diabetes/
九州大学大学院病態機能内科学(第2内科)糖尿病研究室 https://diabetes.med.kyushu-u.ac.jp/
以上