野菜摂取量が1日に100g増加するごとに、体重が25g減少
岩手県二戸から沖縄県宮古にお住まいで、40~69歳で調査の条件に合った約5万4000人について、5年間の野菜・果物摂取量の変化と体重変化との関係を調べました。その結果、野菜摂取量が1日100g増加するごとに、体重は25g減少!この調査報告をご紹介します。(「5年間の野菜・果物摂取量の変化と体重変化との関連」)
国立がんセンター公衆衛生科学センター疫学予防グループは、平成2年(1990年)と平成5年(1993年)に、岩手県二戸、秋田県横手、東京都葛飾、長野県佐久、沖縄県中部、茨城県水戸、新潟県長岡、大阪府吹田、高知県中央東、長崎県上五島、沖縄県宮古の11保健所管内にお住まいで40~69歳の方々にご協力を依頼。
調査開始から5年後と10年後に行った食事調査アンケートに回答し、5年後に慢性疾患(がんや糖尿病等)になっていなかった約5万4000人について、5年間の野菜・果物摂取量の変化と、同時期の体重変化との関係を調べました。なお、被験者は女性54.6%、平均年齢56.5歳です。
その結果、以下が判明しました。
- 5年間の野菜摂取量が1日当たり100g増加するごとに、体重が25g減少
- 特に、黄・赤色野菜や、ネギ類野菜では、1日当たり100g増加するごとに、それぞれ74g、129gの体重減少
- 5年間の間に果物摂取量が増加したグループでは、果物の摂取量が1日当たり100g増加するごとに、体重が70g増加
- 果物摂取量が減少したグループでは、体重との関連はみられなかった
研究グループでは、理由についてこう述べています。
- 野菜は食事と一緒に摂取するため、野菜の摂取量が多いと、ご飯やおかずの摂取量が減り全体のエネルギー摂取量が減るという、全体のエネルギー摂取量の増減と関係しやすい可能性が考えられる
- 果物は間食として食べるため、全体のエネルギー摂取量の増加に関与するのではないかと考えられる
- 果物の摂取量が減少したグループと体重減少との関連がみられなかった明らかな理由はわかっていない
また、摂取量の計算に用いた野菜(29種類)・果物(17種類)は以下の通りです。
- 緑色野菜(5種類:ほうれん草、春菊、ピーマン、ヨモギ、さやいんげん)
- 黄・赤色野菜(4種類:にんじん、かぼちゃ、トマト、トマトジュース)
- アブラナ科野菜(11種類:キャベツ、大根、大根の漬物、白菜の漬物、白菜、小松菜、チンゲンサイ、からし菜、野沢菜漬物、フダンソウ、ブロッコリー)
- ネギ類野菜(2種類:玉ねぎ、にら)
- その他(7種類:きゅうりの漬物、ナスの漬物、きゅうり、レタス、もやし、ゴーヤ、へちま)
- 柑橘類(3種類:みかん、みかん以外の柑橘類(はっさく・いよかん・オレンジ)、100%オレンジジュース)
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柑橘類以外の果物(14種類:メロン、スイカ、りんご、100%リンゴジュース、なし、もも、梅干し、かき、イチゴ、ぶどう、キウイフルーツ、パイナップル、バナナ、パパイヤ)
日本では1日350g以上の野菜・海藻・きのこ類を食べましょうと推奨されていますが、あなたは350gくらい召し上がっていらっしゃいますか?私は意識はしていますが、残念ながら300g弱くらいでしょうか。350gってホントに大変です。でも、肥満も糖尿病も新型コロナウイルス等の感染症を悪化させる原因となります。
これから生野菜が美味しい季節。野菜類をいっぱい食べましょう!
謝辞:国立がんセンター公衆衛生科学センター疫学予防グループの皆様と研究に関わったすべての研究者のみならず、ご協力なさった全ての皆様に感謝するとともに、この研究の発展を祈念します。
☆「5年間の野菜・果物摂取量の変化と体重変化との関連」https://epi.ncc.go.jp/jphc/outcome/8493.html
☆「Associations between changes in fruit and vegetable consumption and weight change in Japanese adults」https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/32253544/
☆「野菜、食べていますか?」厚生労働省 生活習慣病予防のための健康情報サイト https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/food/e-03-015.html
以上