コロナの流行で、2020年6月のアルコール関連の女性入院率は、流行前の前年比2倍に急増!

コロナの流行で、2020年6月のアルコール関連の女性の入院率は、流行前の同時期と比較して約2倍と判明!

コロナの流行で、2020年6月のアルコール関連の女性の入院率は、流行前の同時期と比較して約2倍と判明!(Leng KangruiによるPixabayからの画像)

今中雄一 医学研究科教授らの研究グループは、新型コロナウイルス感染症の流行がアルコール関連(肝疾患および膵炎)の入院に与えた影響を検証しました。その結果、特に女性のアルコール関連の入院率は2019年6月と比較して約2倍に急増していることが判明。この論文を分かりやすくご紹介します。

まず、家計調査によると2020年4月以降の世帯アルコール支出は前年と比較して40〜50%増加しました。そして、アルコールの過剰摂取による代表的な病気には、肝硬変をはじめとする肝疾患や膵炎があるそうです。そこで研究グループは、Quality Indicator/Improvement Project(QIP)のデータベースを用いて、入院日が2018年7月1日から2020年6月30日のアルコール関連(肝疾患および膵炎)の月別の1,000入院あたりの入院率を調べました。

(このQIPデータベースは、プロジェクトに自発的に参加している急性期病院からのデータで構成され、参加病院は500を超え、全国にあり、公立病院と私立病院の両方が含まれています)

コロナの流行で、2020年6月のアルコール関連の女性の入院率は、流行前の同時期と比較して約2倍と判明!

コロナの流行で、2020年6月のアルコール関連の女性の入院率は、流行前の同時期と比較して約2倍と判明!( ndemelloによるPixabayからの画像)

その結果、以下のことが明らかになりました。

  1. コロナ流行時の2020年4月~6月の入院率は、流行前の期間(2018年7月~2020年3月)と比較して約1.2倍
  2. 2020年4月~6月の入院率を前年同月で比較すると、男性では4月1.1倍、5月1.2倍、6月1.2倍
  3. 2020年4月~6月の入院率を前年同月で比較すると、女性では4月1.4倍、5月1.9倍、6月2.0倍

つまり、女性の方がアルコール関連の入院率の増加が大きいという結果です。

データ全体の入院は3,026,389件であり、アルコール関連肝疾患または膵炎の入院は257の病院で発生。入院10,242件のうち、6,371件(62%)はアルコール関連肝疾患によるもので、3,871件(38%)はアルコール関連膵炎による入院でした。

コロナの流行で、2020年6月のアルコール関連の女性の入院率は、流行前の同時期と比較して約2倍と判明!

コロナの流行で、2020年6月のアルコール関連の女性の入院率は、流行前の同時期と比較して約2倍と判明!(Quang Nguyen vinhによるPixabayからの画像)

また、アルコール関連肝疾患の症例の14%はアルコール性肝炎であり、72%はアルコール性肝硬変でした。

グラフは省略しますが、日本政府による新型コロナウイルス流行の非常事態宣言の直後に、アルコール関連肝疾患と膵炎による入院率の増加が観察されています。『COVID-19の流行が、慢性膵炎を除くアルコール関連肝疾患および膵炎の入院の増加と関連していることを発見』したと断言なさっています。

コロナの流行で、2020年6月のアルコール関連の女性の入院率は、流行前の同時期と比較して約2倍と判明!

コロナの流行で、2020年6月のアルコール関連の女性の入院率は、流行前の同時期と比較して約2倍と判明!(Kasjan FarbiszによるPixabayからの画像)

では、なぜ女性の入院率の増加のほうが大きいのでしょうか?

『私たちの研究にはいくつかの制限があります。まず、私たちの研究では、個人の飲酒とアルコール関連肝疾患または膵炎の入院との関係を明らかにすることはできませんでした。したがって、アルコール摂取とアルコール関連疾患の入院との関連を確認するには、さらなる研究が必要です。』(「日本におけるアルコール関連肝疾患と膵炎の入院に対するCOVID-19の流行の影響」より引用)

この研究データには、個人の飲酒量の増減などは含まれません。ですから、アルコール摂取と入院との関係を分析できないのです。家計調査でアルコール支出が増えても、飲酒人口が増えたのか、個人の飲酒量が増えたのかは不明です。

コロナの流行で、2020年6月のアルコール関連の女性の入院率は、流行前の同時期と比較して約2倍と判明!

コロナの流行で、2020年6月のアルコール関連の女性の入院率は、流行前の同時期と比較して約2倍と判明!(Daniel NebredaによるPixabayからの画像)

それでも、この論文ではこう書かれています。

『著者は日本には90万人の実質的に失業している女性がいたと推測している。したがって、日本の女性は、COVID-19の流行中の経済危機によってより悪影響を受け、アルコール消費の増加と、アルコール関連の肝疾患および膵炎による入院につながった可能性があります。(「日本におけるアルコール関連肝疾患と膵炎の入院に対するCOVID-19の流行の影響」より引用)

また、『以前の研究では、生物学的特性が異なるため、アルコール摂取が女性の健康に及ぼす悪影響が大きいことが示されてい』るそうです。(「日本におけるアルコール関連肝疾患と膵炎の入院に対するCOVID-19の流行の影響」より引用)

あなたはお酒を飲みすぎていらっしゃいませんか?私の友人にも、仕事を失ったり、コロナの影響で逆に危険な重労働を強いられている女性がいます。あるいは、家族に病人が出てしまい、本当に大変そうです。ストレスが大きいのに外出もままならず、発散の方法が限られていることも痛感しています。

ストレスが激しくても、お酒に依存なさらないでください。お酒で体を壊さないで下さい。女性のみなさま、くれぐれもご自愛ください。

コロナの流行で、2020年6月のアルコール関連の女性の入院率は、流行前の同時期と比較して約2倍と判明!

コロナの流行で、2020年6月のアルコール関連の女性の入院率は、流行前の同時期と比較して約2倍と判明!( amiera06によるPixabayからの画像)

謝辞:今中雄一 京都大学 医学研究科教授、國澤進 同准教授、糸島尚 同博士課程学生らこの研究に関わったすべての研究者の皆様のみならず、ご協力なさった全ての皆様に感謝するとともに、この研究のご発展を祈念します。

☆「COVID-19流行がアルコール関連の肝疾患・膵炎による入院に与えた影響を検証」https://www.kyoto-u.ac.jp/ja/research-news/2021-07-14-0

☆「Scientific Reports」のオンライン版「The impact of the COVID-19 epidemic on hospital admissions for alcohol-related liver disease and pancreatitis in Japan」https://www.nature.com/articles/s41598-021-92612-2#Sec2

以上

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コロナの流行で、2020年6月のアルコール関連の女性の入院率は、流行前の同時期と比較して約2倍と判明!(David MarkによるPixabayからの画像)

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