新型コロナウイルスの後遺症で、女性ほど倦怠感、味覚・嗅覚障害、脱毛が出やすいことが判明!

新型コロナウイルスの後遺症で、女性ほど倦怠感、味覚・嗅覚障害、脱毛が出やすいことが判明!

新型コロナウイルスの後遺症で、女性ほど倦怠感、味覚・嗅覚障害、脱毛が出やすいことが判明!(Willfried WendeによるPixabayからの画像)

新型コロナウイルス感染者数が驚くほど減りました。嬉しいですが実感がなくて、狐につままれた気分です。その一方で、名古屋工業大学の「AI予測」によると、『12月ごろから少しずつ増え、1月の半ばぐらいをピークとした波があると予測。これが「第6波」になるのではないか』と報道されています。やはり手放しでは喜べないようです。

そこで「第6波」に備えて、新型コロナウイルスに罹ってしまった場合の後遺症についての調査結果をご紹介します。これは国立国際医療研究センターが新型コロナウイルス感染症(COVID-19)罹患後の患者を対象としてアンケート調査を実施し、457名からの回答を分析したものです。(なお、回答者の84.4%は酸素投与を必要としない軽症者です)

新型コロナウイルスの後遺症で、女性ほど倦怠感、味覚・嗅覚障害、脱毛が出やすいことが判明!

新型コロナウイルスの後遺症で、女性ほど倦怠感、味覚・嗅覚障害、脱毛が出やすいことが判明!(Alexandre C. FukugavaによるPixabayからの画像)

その結果は以下の通りです。

  • 女性の方が倦怠感、味覚・嗅覚障害、脱毛が出現しやすく、味覚障害が長引きやすい
  • 若年者・やせ型ほど味覚嗅覚障害が出現しやすい
  • 約4人に1人が罹患後半年経過した後も何らかの後遺症に悩まされている
  • 軽症者であっても後遺症の症状が長引く人がいる
  • 抗ウイルス薬やステロイドなどの急性期治療の有無と後遺症の有無に、明確な相関は認められない

調査方法と回答者の構成は、以下の通りです。

  • 2020年2月~2021年3月までに国立国際医療研究センター病院のCOVID-19回復者血漿事業スクリーニングに参加した患者さん
  • アンケート調査項目は、患者背景、COVID-19急性期の重症度や治療内容、後遺症の各症状の有無とその症状が長引いた期間
  • 一番多かった年齢(年齢の中央値)は47歳
  • 女性は、231名(50.5%)
  • 何らかの基礎疾患がある方は212名(46.4%)
  • 症状の程度は、軽症が378名(84.4%)、中等症が57名(12.7%)、重症が13名(2.9%)(総数448名でデータが不備だった9名を除く)
  • 発症日からアンケート調査日までの期間で一番多かった期間(調査日までの期間の中央値)は、248.5日 
    新型コロナウイルスの後遺症で、女性ほど倦怠感、味覚・嗅覚障害、脱毛が出やすいことが判明!

    新型コロナウイルスの後遺症で、女性ほど倦怠感、味覚・嗅覚障害、脱毛が出やすいことが判明!(Surprising_ShotsによるPixabayからの画像)

アンケートから新型コロナウイルスの症状は、以下のようになります。

  1. 急性期症状:発熱、頭痛、食欲低下、関節痛、咽頭痛(喉の腫れ・痛み)、筋肉痛、下痢、喀痰(咳をした時のたん)
  2. 急性期から長引く症状:倦怠感、味覚障害、嗅覚障害、咳嗽(せき・咳き込み)、呼吸困難
  3. 回復後に出現する症状:脱毛、集中力低下、記銘力障害、うつ

この症状を見ると、罹患した時の辛さに眉をひそめてしまいますが、希望となるデータもあります。

  • 発症時もしくは診断時から6カ月経過時点で337名(73.7%)が無症状
  • 発症時もしくは診断時から12カ月経過時点で417名(91.2%)が無症状

簡単に言えば万が一感染しても、発病から半年で約7割の方は症状がなくなり、発病から1年後には9割の方が症状が無くなります。けれど、不運な約1割の方は1年経っても後遺症に悩まされます。そして、後遺症に悩まされるリスクが高いのは、女性と若年者・やせ型の方です! 

新型コロナウイルスの後遺症で、女性ほど倦怠感、味覚・嗅覚障害、脱毛が出やすいことが判明!

新型コロナウイルスの後遺症で、女性ほど倦怠感、味覚・嗅覚障害、脱毛が出やすいことが判明!(VGC-GroupによるPixabayからの画像)

では、女性はどうすれば良いのか?プレスリリースは、このようにまとめられています。

  1. 『最も重要な遷延症状(後遺症)の予防はCOVID-19に罹患しないことであり、基本的な感染対策が重要』
  2. 『今回の研究では調査していないが、コロナワクチンを2回接種していた人は、COVID-19罹患後に症状が28日間以上長引きにくく(注1)、このことから、コロナワクチンは、発症予防や重症化予防だけではなく、遷延症状(後遺症)の出現予防にも寄与する可能性がある』

つまり、後遺症を防ぐ手立てはないから、感染予防が大切! そして、コロナワクチンを2回接種していれば、万が一感染しても後遺症が長引きにくく、後遺症を予防する可能性もあるということです。

女性のみなさま、コロナ後遺症の倦怠感、味覚・嗅覚障害、脱毛を防ぐためにも、感染予防とコロナワクチン接種を行いましょう! 

新型コロナウイルスの後遺症で、女性ほど倦怠感、味覚・嗅覚障害、脱毛が出やすいことが判明!

新型コロナウイルスの後遺症で、女性ほど倦怠感、味覚・嗅覚障害、脱毛が出やすいことが判明!(QuevenによるPixabayからの画像)

謝辞:国立研究開発法人 国立国際医療研究センター(NCGM)国際感染症センター 国際感染症対策室医長 森岡 慎一郎様と関わったすべての研究者のみならず、患者さんを含むボランティアの方々、ご協力なさった全ての皆様に感謝するとともに、今後のご発展を祈念します。

☆「新型コロナウイルス感染症罹患後の遷延症状の記述疫学とその出現・遷延リスク因子に関する報告」https://www.ncgm.go.jp/pressrelease/2021/20211008.html

☆国立研究開発法人 国立国際医療研究センター https://www.ncgm.go.jp/index.html

(注1) Antonelli M, et al.「 Risk factors and disease profile of post-vaccination SARS-CoV-2 infection in UK users of the COVID Symptom Study app: a prospective, community-based, nested, case-control study. 」Lancet Infect Dis. 2021. https://www.thelancet.com/journals/laninf/article/PIIS1473-3099(21)00460-6/fulltext

以上

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