高齢者の足が、どのように老化するかを理解して、転倒防止につなげよう!

老化が早い高齢者の足が、どのように変化・変形していくかを理解して、転倒防止につなげよう!

高齢者の足が、どのように老化するかを理解して、転倒防止につなげよう!(Georg H.によるPixabayからの画像)

足は歩いたり、立つために必要なだけでなく、足に溜まった血液をふくらはぎの筋肉が心臓に戻す「第二の心臓」の役割も担っています。ところが足に注意を払わないので、爪や足に変形や病変が現れても気がつかず、転倒リスクや歩行困難リスクを上昇させてします。足が老化すると、何がどう変化するのか?高齢者の足の老化ポイントを紹介します。

『現場で使える介護フットケア便利帖』大場マッキー広美著、2022年10月発行、発行所:翔泳社、定価1,800円+税、ISBN978-4-7981-5704-7 この本を参照)

老化が早い高齢者の足が、どのように変化・変形していくかを理解して、転倒防止につなげよう!

高齢者の足が、どのように老化するかを理解して、転倒防止につなげよう!(David MarkによるPixabayからの画像)

1.すり足歩きの原因は、足首の関節が老化して動きにくく足を上げられないから

あなたのご両親は、足をするように歩いていませんか?これは足首の関節の老化です。つま先で地面を蹴って足を前に踏み出す時に、足首の関節が固まっているので、動きにくく、足を前方に持ち上げられません。それで、足をするように動かして歩くようになります。

この歩き方はつまづき易く、転倒の原因になります。その他にも、以下のように変化します。

*猫背になる

*膝がまがる

*首が前に突き出る

*肩が前に突き出る

*骨盤がゆがむ

*骨盤のゆがみから、左右の足の長さが違ってくる

これらの変化により、全身の重心が後寄りの状態になります。そのため、以下のリスクが高くなります。

☆背中や足に負担がかかる歩き方になる

☆重心が後に寄ってしまい、後ろに転んで尻もちをつき、腰椎圧迫骨折になり易い

もしも、これらの症状がある場合は、ケアマネジャーや主治医にご相談ください。

老化が早い高齢者の足が、どのように変化・変形していくかを理解して、転倒防止につなげよう!

高齢者の足が、どのように老化するかを理解して、転倒防止につなげよう!(Susanne Jutzeler, Schweiz,によるPixabayからの画像)

2.外反母趾や屈み指(かがみゆび)などの足の変形も、転倒リスクを上昇させます

あなたはお母様やお父様の素足を最後にご覧になったのはいつですか?親の素足などめったに見ることもないので、足の指の変形や爪の変形に仰天します。歩行困難や転倒リスクに繋がる主な足の変形は以下のものがあります。

「屈み指(かがみゆび)」:「ハンマートゥ」とも言い、足指が「く」の字に曲がったままの状態を言います。足指に力を入れてない時も関節が曲がった状態なので、足先に力が入らず重心が踵に寄ってしまいます。姿勢が崩れ、背中や腰に負担がかかります

老化が早い高齢者の足が、どのように変化・変形していくかを理解して、転倒防止につなげよう!

「尖足(せんそく)」:足の甲側が伸び、足先が下に垂れて戻らない状態をいいます。足先が伸び切っていて踵を地面につけることが出来ず、足先で歩くか、歩行困難になります

「外反母趾(がいはんぼし)」:足の親指が付け根部分から人差し指側に変形する病気です。悪化すると、つねに飛び出た部分が痛むようになります

そのまま放置していると、身体が衝撃や必要以上のねじれを受け続けるため、膝痛、股関節痛、腰痛、頭痛、ヘルニアなどになりやすくなります。

老化が早い高齢者の足が、どのように変化・変形していくかを理解して、転倒防止につなげよう!

老化が早い高齢者の足が、どのように変化・変形していくかを理解して、転倒防止につなげよう!

「内反小趾(ないはんしょうし)」:足の小指が外側に曲がる病気です。小指の曲がった部分が靴にあたるため炎症を起こしたり、タコやウオノメができて痛むこともあります。

そのまま放置していると、身体が衝撃や必要以上のねじれを受け続けるため、膝痛、股関節痛、腰痛、頭痛、ヘルニアなどになりやすくなります。

これらの症状がある場合は、ケアマネジャーや主治医にご相談ください。

老化が早い高齢者の足が、どのように変化・変形していくかを理解して、転倒防止につなげよう!

高齢者の足が、どのように老化するかを理解して、転倒防止につなげよう!(SamiによるPixabayからの画像)

3.末梢神経も老化するので、信号の伝達が遅くなったり、感覚が鈍化します

神経も老化します。神経の働きが鈍くなり、神経の数も減少します。そのため、感覚が鈍くなり、歩幅が狭くなったり、転倒しやすくなります。歩くために必要な感覚は以下の4つです。

*「平衡感覚」:体を平衡に保つための感覚と能力で、反射的に体のバランスを保つことができます。

*「表在感覚」:ものに触れる感覚で、足底がどのように床や畳に接しているかを把握できます。

*「深部感覚」:自分の関節がどの程度の大きさ・速さで動いたか、どの程度の角度で曲がっているか等、自分の体の位置や動きを見ないで把握できます。

*「視覚」:物などの色、形、動き、質感、奥行きなど空間的な情報も含めて把握しています。

これらの感覚の衰えが、転倒リスクを高めます。

また感覚の衰えから、高齢者は「ペットボトルのキャップ」や「画鋲」を踏んでも気がつかず、傷が化膿するまで放置することもあります。

老化が早い高齢者の足が、どのように変化・変形していくかを理解して、転倒防止につなげよう!

高齢者の足が、どのように老化するかを理解して、転倒防止につなげよう!(PIROによるPixabayからの画像)

4.爪も老化し、歩かないと爪が変形し、歩行困難や転倒リスクを高めます

爪は皮膚の一部です。皮膚にしみやしわが出来るように、爪も乾燥しやすくなり、爪が肥厚したり、爪の色が黄色っぽく混濁したり、割れやすくなったりします。健康で正常な爪は、毛細管血管が透けて見える薄いピンク色ですが、異常により乳白色や黄色、黒色などに変色します。主な爪の変形は以下の通りです。

「巻き爪」:爪の端が内側に巻き込んだ状態の爪。足ゆびに爪が食い込むため痛みがある場合が多く、出血や化膿する場合もあります。(巻き爪について 【皮膚科Q&A (公益社団法人日本皮膚科学会)】 https://www.dermatol.or.jp/qa/qa38/q08.html

「爪甲鉤彎症(そうこうこうわんしょう)」:足の親指の爪が厚くなり、色が濁り、表面がでこぼこし、前に鉤のように曲がる症状をいいます。坂を下る時など、痛みや出血などが生じます。(爪甲鉤彎症について 【皮膚科Q&A (公益社団法人日本皮膚科学会)】 https://www.dermatol.or.jp/qa/qa38/q12.html

「陥入爪(かんにゅうそう)」:爪の側縁が食い込むことによって皮膚が赤く腫れ、強い痛みを生じる症状です。足の親指に生じることが多いです。(陥入爪(爪刺し)について 【皮膚科Q&A (公益社団法人日本皮膚科学会)】 https://www.dermatol.or.jp/qa/qa38/q07.html

「ばち状爪」:足の指の爪も、指先も丸く膨らんで、爪甲が指先を包むように大きくなってくる症状をばち状指と言います。全身的な病気、呼吸器疾患や心疾患、肝硬変などの病気が隠れていると考えられます。(ばち状爪について 【皮膚科Q&A (公益社団法人日本皮膚科学会)】 https://www.dermatol.or.jp/qa/qa38/q15.html

「さじ状爪(スプーンネイル)」:爪がスプーンのように反り返る症状をいいます。痛みはなく、指先に力の入る仕事などで起こりやすく、鉄欠乏性貧血の場合もあります。(スプーンネイルについて 【皮膚科Q&A (公益社団法人日本皮膚科学会)】 https://www.dermatol.or.jp/qa/qa38/q01.html

それぞれの症状の写真や治療法は、皮膚科Q&A (公益社団法人日本皮膚科学会)のアドレスをクリックしてください。また、医療行為でない範囲であれば「フットヘルパー」さんがケアできるそうです。ケアマネジャーや主治医にご相談ください。

次回(2023年1月6日)は、ご家庭で出来るフットケアや足の体操をご紹介します。

老化が早い高齢者の足が、どのように変化・変形していくかを理解して、転倒防止につなげよう!

高齢者の足が、どのように老化するかを理解して、転倒防止につなげよう!(Alexander GresbekによるPixabayからの画像)

☆『現場で使える介護フットケア便利帖』翔泳社ホームページ https://www.shoeisha.co.jp/book/detail/9784798157047

トータルフットケア足助人~あしすけっと~ (一般社団法人フットヘルパー協会 副理事長兼顧問、東北支部統括 大場マッキー広美) https://my.yoyakul.jp/hp/asisuketto/index.html

☆皮膚科Q&A (公益社団法人日本皮膚科学会)   https://www.dermatol.or.jp/qa/index.html

☆ロコモフレイル外来

転倒は、ロコモやフレイルになっている方によく起こります。国立長寿医療研究センターでは、転びやすい原因を含め、多方面の専門家により、トータルにお体の状態を評価して、どのようにするとより健康になるかをアドバイスする「ロコモフレイル外来」を開いていますので、ホームページをぜひご参照ください。https://www.ncgg.go.jp/hospital/shinryo/senmon/locomo_frail.html

以上

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