トイレの失敗や尿漏れが増えたら?泌尿器科・ウロギネで原因を調べて正しくケアしよう【前編】
排泄ケアに悩む方へ。前後編で、原因と対策をわかりやすく紹介しています。
👉 【前編】トイレの失敗や尿漏れが増えたら?泌尿器科・ウロギネで原因を調べて正しくケアしよう
👉 【後編】尿漏れの4つの原因と治療法を解説|スマホで簡単「大人用おむつカウンセリング」のすすめ
介護の現場で最も多い排泄ケアの悩み。尿漏れやトイレの失敗が増えたら、恥ずかしがらずに専門医を受診しましょう。
前編では、排尿の仕組みと男女別の変化、そして泌尿器科・ウロギネの受診ポイントを紹介します。
🧓介護の3分の1は「排泄ケア」
介護の現場で最も大変なのが、トイレ介助とその後片付けです。
お食事や入浴はサービスを利用できますが、排泄は待ったなし。
夜間や外出時の失敗は泣きたくなるほど大変です。
だからこそ、専門医による診断と治療が必要です。
1.65歳以上の約4人に1人が「オシッコの悩み」を抱えている
加齢によって現れるさまざまな症状の中で、医師の診察や介護を必要とするものを老年症候群と呼びます。
この中でも尿失禁は代表的な症状で、シニア約400万人が悩んでいます。
さらに、女性では4割以上(約2000万人)が尿漏れを経験しているといわれています。
原因の一つは、骨盤底筋の衰え。
この筋肉は膀胱や子宮などの臓器を支える重要な役割を持っています。
年齢を重ねることで筋肉が弱り、失禁しやすくなるのです。
👉つまり、尿漏れは「誰にでも起こる自然な老化現象」の一つなのです。
2.女性の排尿機能と老化の関係
女性の尿道は短くまっすぐで、老化や出産により尿道の位置が変形しやすい構造です。
骨盤底筋が弱ると、次のような症状が起こります。
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咳やくしゃみで尿が漏れる(腹圧性尿失禁)
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トイレまで我慢できない(切迫性尿失禁)
また、重い荷物の持ち運び・便秘による強いいきみ・喘息や花粉症も、骨盤底筋を痛める要因になります。
3.男性の排尿機能と老化の関係
男性は尿道が長く、途中で折れ曲がっています。
加齢とともに前立腺肥大が起こりやすくなり、尿の通り道が狭くなります。
その結果――
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尿が出にくい
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排尿後に少し漏れる
といった症状が出ます。
4.泌尿器科やウロギネ(女性排尿機能センター)を受診しよう
尿漏れや頻尿の原因は4つに分類されます。
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腹圧性尿失禁:咳・くしゃみ・笑いなどで漏れる
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切迫性尿失禁:我慢できずに漏れてしまう
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溢流性尿失禁:出にくくて溜まり、あふれ出る
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機能性尿失禁:認知症や運動機能低下でトイレに間に合わない
原因によって治療法はまったく異なります。
間違った自己判断で薬を飲むと、悪化する場合もあります。
抵抗を感じるかもしれませんが、正しい診断が何より大切です。
男性は泌尿器科、女性はウロギネへ。
5.ウロギネとは?(女性排尿機能センター)
ウロギネは「Urology(泌尿器科)」+「Gynecology(婦人科)」の造語です。
女性のための排尿・排便トラブル専門外来で、以下の症状に対応します。
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骨盤臓器脱(子宮脱・膀胱脱・直腸瘤)
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尿失禁・頻尿・夜間頻尿
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便失禁・直腸脱
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下腹部痛・膣の違和感
2007年、亀田総合病院に日本初の本格的センターが開設されて以降、全国に広がっています。
6.泌尿器科やウロギネを受診するメリット
🔍主な検査内容
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尿検査:感染や炎症を確認
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超音波検査:腫瘍や結石の有無を確認
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残尿測定:排尿後に残る尿量をcc単位で測定
尿量データは、尿取りパッドや紙パンツを選ぶ際の目安になります。
7.岐阜赤十字病院ウロギネセンターの例
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医師の診察(問診・アンケート)
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内診・超音波で骨盤底や臓器の状態を確認
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尿流測定で排尿量や残尿を調べる
泌尿器科では分かりにくい女性特有の症状も、ウロギネなら正確に診断できます。
8.受診時の注意点
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尿検査があるため、少し尿をためて受診を。
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お薬手帳を必ず持参。多くの薬に排尿障害の副作用があります。
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骨盤臓器脱がある場合は、症状が出ている状態で受診を。
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生理中でも受診可能です。
💬最後に
尿漏れは、本人にとっても家族にとってもつらい問題です。
恥ずかしさから受診をためらう方も多いですが、正しい診断と治療が第一歩。
そして、介護の負担を軽くすることにもつながります。
📅 後編(5月23日公開予定)では、
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尿漏れ4種類の原因別治療法
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スマホ撮影でサイズがわかる「大人用おむつカウンセリング」
を詳しく紹介します。
🔗参考文献・出典
(番号は本文内の*1〜*5に対応しています)
以上












