認知症の家族が行方不明になったときの探し方7ステップ|警察・SOSネット・水辺の確認まで
📝 前編はこちら
👉 認知症の行方不明を防ぐ8つの予防策
認知症があるシニアが行方不明になる件数は、2023年度に過去最多の1万9,039人。
今年は2万人を超える可能性もあります(*1)。
前回の記事では「行方不明を防ぐ予防策」を紹介しました。
今回は、万が一 行方不明になったときに、すぐできる対処法をまとめます。
1.まずは警察にすぐ届け出る
行方不明時は、家族が自力で探す前に、即・警察へ。
調査(*2)によると、発見者は
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一般市民 39.9%
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警察 25.9%
で、家族が見つけたのはたった 8.9%。
発見までの平均時間は6.6時間ですが、別研究(*3)では
9時間を過ぎると発見率が下がることがわかっています。
警察に提出するために、事前に準備しておくとよい情報
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写真
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当日の服装や持ち物
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身長・体重・特徴
これらが揃っていると捜索が早く進みます。
2.地域包括支援センターや市区町村に相談する
自治体によっては、
**「徘徊SOSネットワーク」**が整備されています。
これは、行方不明者の情報を
行政・警察・地域住民で共有し、
すぐに捜索を開始する仕組みです。
登録していない場合は、警察へ提出した①〜③の情報が役立ちます。
もしネットワークが無くても、防災無線で住民に呼びかけてもらえることがあります。
一般市民の発見割合が最も高いため、
情報が広く伝わることは大きな力になります。
3.町内会・民生委員・よく行く店にも協力を依頼
「9時間」を過ぎると発見率が低下し、
行方不明が5日を超えると生存率は0%(*3)。
とにかく 早く知らせ、早く探し始めることが重要です。
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町内会・自治会
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民生委員
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よく行くコンビニ、スーパー
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駅の改札、交番
など、多くの人の目がある場所へ協力を依頼しましょう。
年齢別の発見までの平均時間(*3)
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85歳以上:12.0時間
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75~84歳:13.3時間
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65~74歳:16.5時間(最も遅い)
比較的若く体力があるほど遠くへ行きやすく、見つかりにくいことがわかります。
自転車・車・公共交通機関の利用も想定して探すと発見につながります(*2)。
4.行動パターンから、行きそうな場所を絞る
認知症の徘徊は「無意味な歩行」ではありません。
大きく 2つのタイプがあります。
●タイプA:迷子型
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方向感覚(見当識)が低下
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同じ場所をぐるぐる回ることも
●タイプB:時空迷子型
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昔の自分に戻り、当時の行動を再現しようとする
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会社に行こうとする
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子どもを迎えに行くと言う など
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時空迷子は、いつの時代に戻っているかで行き先が変わるため、捜索が難しくなります。
思い当たる場所をリストアップ
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生まれ育った家・昔住んでいた家
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若い頃の勤務先
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子どもが通っていた学校
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以前耕していた畑や田んぼ
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よく行っていた公園や散歩ルート
5.2度目の行方不明なら、前回の発見地点を最優先で探す
徘徊は繰り返しやすい症状です。
2回目なら、前回の場所の近くや同じルートを探すのが効果的。
愛知県警のデータ(*2)では、
名前・住所を言えなかった人が約3分の2。
いつもの景色が「初めての場所」に見え、
不安で動けなくなっている可能性もあります。
6.発見場所の22%は、普段の範囲より遠い市町村内
発見場所の分布(*2)は以下の通りです。
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普段より遠い市町村内:22%
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県内でさらに遠方:21.1%
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普段の移動範囲より遠い:15.9%
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自宅付近:11.4%
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県外:2.4%
想像以上に遠くまで歩いているケースが多く、
事故や転落などのリスクも高まります。
7.必ず水辺を早めに確認する
死亡発見例の50%が水辺(河川・用水路・ため池など)(*2)。
行方不明時は、
水場 → 田畑 → 公園・空き地 → 山林 → 線路
の順で早めに確認してください。
8.事前対策が命を守る ― GPS・QRコードの活用を
行方不明になった後は、できることが限られます。
だからこそ 事前の備えが命を守る最重要ポイント。
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GPS機器(*4)
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見守りシール(*5)
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QRコードの伝言板システム(*6)
これらを衣類・靴・持ち物に貼るだけで、
発見までの時間を大幅に短縮できます。
特にQRコードは
持病や服薬情報も伝えられるため、
低血糖や薬切れなどの事故も防げる可能性があります。
春(3~5月)は行方不明が最も多い季節
特に午後〜夕方にかけて発生しやすいため、
気を付けながら、美しい春の時間をお過ごしください。
補注
*1:「令和5年における行方不明者の状況」警察庁生活安全局人身安全・少年課 令和6年7月 https://www.npa.go.jp/safetylife/seianki/fumei/R05yukuefumeisha.pdf
*2:愛知県国立長寿医療研究センター「認知症高齢者の徘徊対応マニュアル」(認知症高齢者の徘徊対応マニュアル改訂版(自治体向け)https://www.pref.aichi.jp/soshiki/chiikihoukatu/ninchisho-pamphlet.html
*3:桜美林大学老年学総合研究所「認知症高齢者の徘徊・行方不明・死亡に関する研究」JSSP学会誌 学会講演集 https://plaza.umin.ac.jp/~safeprom/pdf/JssP10(1)SuzukiPaper.pdf
*4: GPS:らくらくホンやスマートフォンなどのGPS機能を使って、ご家族をはじめ大切な方の居場所を検索するサービス。 徘徊防止GPSで検索するといろいろな商品がでてきます。
*5:「見守りシール:行方不明になった認知症の方が早期にご自宅に戻れるよう、横浜市では、個人情報を守りながら身元を特定できる「見守りシール」を配布しています。」https://www.city.yokohama.lg.jp/kenko-iryo-fukushi/fukushi-kaigo/koreisha-kaigo/ninchisyo/ninchisyo-sodan/sos.html
*6:QRコード:「どこシル伝言板」というQRコードを使った身元照会システム。この伝言板では、ラベルやシールに表示されたQRコードをスマホなどで読み取ってネット上の専用伝言板にアクセスし、そこで家族とやり取りができる仕組みになっている。QRコードを身に着けている本人の個人情報はいっさい開示されないが、「耳が遠い」、「糖尿病」といった症状は見ることができる。
「徘徊高齢者 QRコード」で検索すると、いろいろな商品が出てきます。
以上











