認知症の無気力・食欲不振を治す漢方薬 | 「補中益気湯」で誤嚥性肺炎を予防
🥺 寝たきり、食欲不振…認知症の「無気力」を治した漢方薬!誤嚥性肺炎から快復した実例
「認知症が進んで何もする気がない」「食欲がない」という状態は、介護する側にとってもつらいものです。実は、この「無気力」こそが命に関わる病気を引き起こすことがあります。
今回は、重度の誤嚥性肺炎で入院したものの、ある漢方薬で劇的に元気を取り戻し、再発せず元気に暮らしているQさん(86歳女性)の実例をご紹介します。
キーメッセージ: 陰性症状(無気力・食欲不振)が引き起こす病気は繰り返しやすいですが、適切な漢方薬で患者さんの活力を取り戻せば、介護も治療も楽になります。
🛌 認知症の「陰性症状」が招いた命の危機
Qさんは高血圧の治療をしながら、アルツハイマー型認知症の薬を服用していました。しかし、症状は徐々に進行します。
活力を失い、寝たきりへ
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認知症の進行(陰性BPSD): 6ヶ月前から家に引きこもり、食欲が低下。
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重度の低栄養: 2ヶ月前にはほとんど食べられなくなり、寝たきり状態に陥ってしまいました。
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誤嚥性肺炎の発症: 体力が落ち、食べ物などを上手に飲み込めなくなった(嚥下機能の低下)ことで痰が増加。ついに誤嚥性肺炎(食べ物や唾液が誤って気管に入り、肺で炎症を起こす病気)を起こし、緊急入院しました。(👉補注:*1)
入院時、Qさんは身長153cmに対し体重はわずか35kg。体力は極限まで衰弱していました。
🧐 漢方で見たQさんの体質:「元気」が足りない状態
西洋医学では、まず抗生剤で肺炎の治療を最優先しました。同時に、漢方専門医がQさんの体質(証)(👉補注:*2)を細かく診察します。
Qさんのような「無気力」「食欲不振」「寝たきり」といった症状は、漢方医学では「元気(エネルギー)」が不足している状態として捉えられます。
Qさんに現れていた「体力不足」のサイン
| サイン(症状) | 漢方での解釈(一言で) | 体の具体的な状態 |
| 無気力、声が聞き取りにくい | 極度の「気虚(ききょ)」(👉補注:*3) | 生命活動を支えるエネルギー「気」が足りていない状態。 |
| 皮膚の乾燥、全身の衰弱 | 「血虚(けっきょ)」(👉補注:*3) | 栄養素「血」が不足し、全身に栄養が行き渡っていない状態。 |
| お腹の左上に強い脈の拍動 | 「臍上悸(せいじょうき)」 | 衰弱しながらも、精神的な興奮(緊張)が残っているサイン。 |
| 脈が細く緊張、体が冷えやすい | 「寒証・虚証」 | 新陳代謝が衰え、体力と免疫力が低下している状態。 |
Qさんの体質は、一言でいえば「極度に弱っていて、すべてにおいてエネルギーが不足している状態」でした。この「元気のなさ」が、免疫力を下げ、肺炎を引き起こす根本原因と考えられたのです。
🌟 命を救った特効薬!漢方薬「補中益気湯」の力
西洋医学による肺炎治療が一段落したのち、Qさんの「元気がない状態」を改善するために、漢方薬が導入されました。
Qさんに処方されたのは、「補中益気湯(ほちゅうえっきとう)」です。(👉補注:*4)
服用開始から劇的な回復へ
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服用開始: 肺炎が治ったのを見計らい、すぐに「補中益気湯」の服用を開始。
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数日後: 活気と食欲がすぐに回復し始める!
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1週間後: 全粥食をほぼ完食できるようになり、体も動かせるように!
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約3週間後: 自宅へ退院。
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その後: 退院から1年後も再発がなく、元気に通院を続けています。
専門医の考察:なぜ「補中益気湯」が効いたのか?
この症例を報告した医師は、「陰性BPSDが進行し、低栄養と免疫力低下で誤嚥性肺炎を繰り返す患者が激増している」と警鐘を鳴らしています。
そして、「補中益気湯」は、名前の通り「中(お腹・胃腸)」を「補い」、「益気(元気を増す)」作用があります。この薬で低下した胃腸の働きと、全身の活力を高めたことで、Qさんは免疫力を取り戻し、再発の連鎖を断ち切ることができたのです。
👩🦱 介護に悩むあなたへ:食欲・活気の改善は再発防止に繋がる
認知症の「無気力」「食欲不振」といった陰性症状は、ただの「元気がない状態」ではなく、Qさんのように命に関わる病気を引き起こす入り口になりかねません。
もし、ご家族が「無気力」「食欲がない」状態が続いているなら、それは体が「助けて!」とサインを出している証拠です。
漢方薬の力を借りて根本的な体質(元気)を改善すれば、再入院を防ぎ、患者さんのQOL(生活の質)とあなたの介護負担を大きく減らすことができます。
漢方と西洋薬を併用できる認知症専門医を探し、一度相談してみませんか?
🔗 【認知症と漢方薬シリーズ:専門医の症例解説】
📚 補注:知っておきたい専門用語
| *1 | 誤嚥性肺炎(ごえんせいはいえん):唾液や飲食物が誤って気管に入り(誤嚥)、細菌が肺に入り込んで炎症を起こす肺炎です。高齢者や寝たきりの方に多く見られます。 |
| *2 | 陰証・虚証・裏証・寒証:漢方医学の体質・症状の分類(八綱分類)。Qさんは、体力がなく(虚証)、新陳代謝が衰え(陰証・寒証)、病が体深部にある(裏証)と判断されました。 |
| *3 | 気虚(ききょ)・血虚(けっきょ):気虚は生命エネルギー不足で疲れやすく、血虚は栄養素不足で肌や体力が衰えている状態を指します。 |
| *4 | 補中益気湯(ほちゅうえっきとう):体力虚弱で元気がなく、胃腸の働きが衰えて疲れやすい方の、食欲不振、疲労倦怠などに使われる漢方薬です。 |
【専門医探しの情報】
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漢方のお医者さん探し(漢方に詳しい医療機関検索サイト)
謝辞:
玉野雅裕先生をはじめこの研究に携わった先生方、ご協力なさった患者さんや職員の皆さま等全ての皆様に感謝するとともに、漢方薬がよりいっそう役立つよう先生方の益々のご活躍・ご発展を祈念します。
☆症例報告「認知症診療におけるQOL,生命予後改善を見据えた漢方治療の有効性」、玉野 雅裕 / 加藤 士郎 / 岡村 麻子 / 星野 朝文 /高橋 晶 、脳神経外科と漢方 2017年3巻57-62頁、https://www.jstage.jst.go.jp/article/jnkm/3/1/3_11/_article/-char/ja/
以上




