認知症の妄想・幻覚・興奮・うつを改善する介護サービス|専門家調査で効果が高かった方法をやさしく解説
📘 **認知症のBPSD改善に役立つ介護サービス・3部作**
▶ 前編:妄想・幻覚・興奮・うつ(不快)
https://kizuna-iyashi.com/2024/06/07/homemade-274/
▶ 中編:不安・無為/無関心・脱抑制・易刺激性/不安定性
https://kizuna-iyashi.com/2024/06/14/homemade-275/
▶ 後編:異常行動・睡眠障害・食行動異常
https://kizuna-iyashi.com/2024/06/21/homemade-276/
認知症の症状の中でも、妄想・幻覚・興奮・うつ(不快) は、ご本人にも家族にもつらく、日常の生活を大きく乱すことがあります。
本記事では、數井裕光先生の研究グループが2014年に実施したアンケート調査(大阪府社会福祉協議会)をもとに、
介護現場の職員が「効果を感じた」介護サービス を、
スマホで読みやすい形でまとめました。
この前編では
妄想/幻覚/興奮/うつ・不快
の4つを取り上げます。
1.妄想に効果が期待できる介護サービス
●1位:認知症対応型共同生活介護(グループホーム)
ポイント
-
少人数でゆっくり関われる
-
認知症ケアの経験が豊富なスタッフが多い
-
落ち着いた生活リズムを作りやすい
●2位:通所介護(デイサービス)
ポイント
-
他者との交流で不安や孤独感がやわらぐ
-
訴えを傾聴してもらえることで安心感が生まれる
補足:妄想とは
たとえば「財布を盗られた」「家族が自分をのけ者にしている」など、事実でないことを強く信じ込む状態です。
認知機能の低下による状況判断の困難、不安や孤独感の強まり などが背景にあります。(補注1)
2.幻覚に効果が期待できる介護サービス
●1位:認知症対応型共同生活介護
ポイント
-
専門スタッフが常駐
-
少人数グループで見守りが手厚い
-
不安をやわらげやすい環境
●2位:通所介護(デイサービス)
ポイント
-
共感して話を聞いてくれる人がいる
-
レクリエーションで注意をそらしやすい
●3位:訪問看護
ポイント
-
看護師による医療的サポートで安心感が増す
-
体調面の不安が強い方に向く
補足:幻覚とは
「人が見える」「声が聞こえる」など、実在しないものを知覚する症状です。
認知機能の低下が主な原因で、幻視・幻聴・幻味・幻臭・幻触などがあります。(補注2)
3.興奮に効果が期待できる介護サービス
●1位:認知症対応型共同生活介護
ポイント
-
個別的な支援がしやすい
-
「役割」や「日課」が自然に生まれ、落ち着きやすい
-
少人数で細かく変化を察知できる
●2位:訪問介護
ポイント
-
慣れた自宅環境で安心して過ごせる
-
一対一で時間をかけて対応できる
補足:興奮とは
大声、暴言、叩く、物を投げるなどの行動で、陽性BPSDの代表です。
痛み・かゆみ・便秘・不眠・発熱などの不快感、病院や施設の環境変化、騒音や明るさ が引き金になります。(補注3)
4.うつ・不快に効果が期待できる介護サービス
●1位:通所介護(デイサービス)
ポイント
-
人との関わりが増え孤立を防ぐ
-
家の外に出るだけでも気分転換になる
●2位:訪問介護
ポイント
-
家事援助の時間に自然な会話が生まれる
-
生活リズムを整えるサポートになる
●3位:認知症対応型共同生活介護
ポイント
-
24時間の見守りで安心
-
自宅での訪問ケアより安全性が高い場合も
補足:うつ・不快とは
「何も楽しくない」「自分は必要ない」と悲観的になり、意欲が低下する状態です。
できないことが増え、自信を失うことが背景にあります。(補注4)
5.この前編の範囲と、中編・後編の予告
前編では
妄想・幻覚・興奮・うつ(不快)
を紹介しました。
中編では
-
不安
-
無為・無関心
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脱抑制
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易刺激性・不安定性
後編では
-
異常行動
-
睡眠障害
-
食行動異常
を解説します。
6.研究データを利用する際の注意点
この調査は2014年のもので、
当時の大阪府で利用できた介護サービスの状況 が反映されています。
そのため、
-
今は提供が増えたサービス
-
新しく始まったサービス
-
当時は利用者が少なく評価されにくかったもの
などがある点に注意が必要です。
このブログでは、
理由が明記され、サービスの特徴がつかみやすい上位サービスのみ引用 し、
さらに理解を助けるために 補足(補注)を追加 しました。
補注(前編専用)
補注1:「妄想」BPSDの代表的な症状
https://www.almediaweb.jp/dementia-top/dementia-002/part1/03.html
補注2:「幻覚・錯覚」認知症の周辺症状
https://www.taiyo-seimei.co.jp/net_lineup/colum/ninchi/011.html
補注3:「興奮・怒り・暴力・暴言」
https://www.almediaweb.jp/dementia-top/dementia-002/part1/03.html
補注4:「うつ・アパシー」
https://www.almediaweb.jp/dementia-top/dementia-002/part1/03.html
謝辞
數井裕光先生をはじめ、認知症の臨床・研究・介護に携わる皆さまに深く感謝申し上げます。
認知症の方とご家族が、より穏やかな日々を過ごせますよう祈念いたします。
以上


