認知症のBPSDとは?介護の困ったサインと症状チェック(前編)

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認知症BPSDとは?】介護困ったサイン症状チェック

いつも同じことを聞いたり、慣れた道で迷子になったり。これらは認知症の代表的な症状として知られています。

しかし、「眠れない」「気分が落ち込む(抑うつ)」といった心の不調も、実は認知症による行動・心理症状(BPSD)のサインである可能性があります。

今回は、個人差が大きく種類も多い認知症の「困った行動や心の変化(BPSD)」について、その基礎知識と具体的な症状を、大切な人を支えるあなたに向けてご紹介します。

次回の後編では、症状の発症や悪化を避けられる「BPSDのサインをキャッチして悪化を防ぐ方法」をお届けしますので、ぜひ続けてお読みください。

1. 認知症の「困った行動や心の変化(BPSD)」とは?

認知症は、何らかの病気が原因となり、脳の神経細胞が通常の老化よりも早く減ってしまう病気です。

その結果、記憶力が低下したり、日時や今の時間が分からなくなったりします。これが認知機能障害と呼ばれる認知症の主な症状です。

この認知機能障害以外の行動と心の症状を「行動・心理症状(BPSD)」と呼びます。

BPSDは、その方の「性格」「これまでの人生の習慣」「暮らしている環境」「受けている介護」、さらには「服用している薬の作用」など、さまざまな要因が影響し合って現れることが多いのが特徴です。

BPSDを発症・悪化させる3つの主なきっかけ

BPSDが発症したり、悪化したりするきっかけは、主に次の3点だと考えられています。

  1. 持病の悪化: 糖尿病など、すでに抱えている病気が悪化すること。

  2. 環境の変化: 介護施設への入居や引っ越しなど、住む場所や状況が変わること。

  3. 人間関係: 家族や介護スタッフとの関係が悪化すること。

介護をしているあなたがBPSDの悪化を防ぐためにも、まずはどのような症状があるのかを知っておきましょう。

Gemini_高齢者の方が不安そうな表情で、家族に慰められているイメージ

Gemini_高齢者の方が不安そうな表情で、家族に慰められているイメージ

2. あなたの周りにも? BPSDの具体的な症状をチェック

ここでは、専門的な論文で分類されているBPSDの具体的な症状を、読者の皆さんが理解しやすいように4つのカテゴリーに分けてご紹介します。

【症状1】「うっかり」では済まない記憶や時間の混乱による行動

主に記憶障害見当識障害(日時や場所が分からなくなること)に関連して起こる症状です。

  • 同じ質問の繰り返し: 自分の言ったことを忘れる、同じ質問を何度もする、食事を繰り返し要求する。

  • 生活上のミス: 火の不始末、鍵の締め忘れ、水の出しっぱなしなど、危険を伴う不始末。

  • 時間・場所の混乱: 今日の日付を何度も尋ねる、昼夜が逆転する、一日の時間帯を混同する。

  • 目的のない徘徊: 迷子になる、自宅の出口を探して歩き回る、他人の家や部屋に入ってしまう、車道に出る危険性が分からない。

【症状2】「現実ではないこと」が見えたり、強く思い込む精神症状

幻覚妄想など、心の状態が不安定になる症状です。

  • 幻覚・幻聴: 実際には存在していないものが見える(幻視)、聞こえない音や声が聞こえる(幻聴)。

  • 妄想: 家族が自分を邪魔者にするという被害妄想、財布を盗まれたと思い込む物盗られ妄想、水道に毒が入っているという被毒妄想など。

  • せん妄: 夕方から夜になると「家に帰る」と言い出す、急にソワソワして落ち着かなくなる。

  • 不安・不穏: 何かにおびえて不安そうにする、必要以上に物事を心配する、重病にかかっていると思い込む。

    Gemini_時計やカレンダーが少しぼやけて見えたり、混乱したように表示されているイメージ

    Gemini_時計やカレンダーが少しぼやけて見えたり、混乱したように表示されているイメージ

【症状3】「性格が変わった?」感情や意欲の大きな変化

感情のコントロール意欲に変化が現れる症状です。

  • 感情の不安定さ: 気分が変わりやすい、怒りっぽい、興奮しやすい、些細なことで大笑いしたり泣いたりする。

  • 抑うつ・不眠: 元気がなく気分が落ち込む、ソワソワと落ち着かない、眠れないと訴える、昼夜逆転してしまう。

  • 意欲の低下: 家事をしなくなる、質問をしても真剣に答えない、周囲への興味・関心がなくなる、一日中ゴロゴロしている。

  • 不潔行為: 身なりに無頓着になる、不潔なままでいる。

    Gemini_誰かの手が別の人(介護者や家族)の手を優しく握っているイメージ

    Gemini_誰かの手が別の人(介護者や家族)の手を優しく握っているイメージ


【症状4】周囲が困る「常識外れ」な行動

社会的なルールや常識から逸脱したように見える行動です。

  • 誤認: 人を間違える、鏡に映った自分に向かって話しかける、人形やぬいぐるみを生きているように扱う。

  • 不適切な行為: 食べられない紙や金属などを食べる、トイレ以外で排泄する、トイレの水を流さない。

  • 判断力の低下: 釣銭が分からない、日常使っていた電子レンジなどが使えなくなる、他人の物と自分の物の区別がつかない。

  • 非現実的な話: 現実でないことを作って話す、死んだ人が生きているかのように話す。

    Gemini_(リビングなど)室内で穏やかで落ち着いた雰囲気のシンプルな画像。 BPSDを管理する上で、穏やかで安定した環境が重要であるイメージ

    Gemini_(リビングなど)室内で穏やかで落ち着いた雰囲気のシンプルな画像。 BPSDを管理する上で、穏やかで安定した環境が重要であるイメージ

💡 専門用語の解説

  • 行動・心理症状(BPSD): Behavioral and Psychological Symptoms of Dementiaの略称で、認知症の中核症状(記憶障害など)以外に現れる行動と心理面の症状全般を指します。

  • 本記事の症状分類について: 本記事の症状リストは、主に山口晴保先生らの論文「BPSDの定義、その症状と発症要因」(認知症ケア研究誌、2巻1-16頁、2018年)に掲載の表に基づき、読者向けに再構成したものです。

    Gemini_霧のかかった遠方や穏やかで落ち着いた自然の風景へと続く道。介護という旅路と希望を象徴

    Gemini_霧のかかった遠方や穏やかで落ち着いた自然の風景へと続く道。介護という旅路と希望を象徴

後編の予告

これらのBPSDは、大切な人を支えるあなたにとって大きな負担となり得ます。しかし、これらの症状には必ず「サイン」があります。

次回の記事では、この「BPSDが出そうなサイン」をどうキャッチし、「褒める」「優しく接する」「本人が納得する方法を考える」といったポジティブケアで、発症や悪化を食い止める具体的な方法をご紹介します。

【後編のタイトル】

認知症の【困った行動・心の変化】を食い止める!BPSDのサインと「褒める」「納得」のポジティブケア(後編)

後編の内容
1 行動コントロールの障害、対人関係の障害の具体例

2. BPSD発症のサインをキャッチして悪化を防ぐ方法

以上

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