口の苦味は亜鉛不足?70代女性の味覚異常を漢方薬で治した実例(前編)
👵 何も食べてないのに「口が苦い」と感じる味覚異常が漢方薬で治った実例(前編)
味覚異常、特に口の中に苦味を感じる症状は、シニア世代によく見られます。今回の記事では、この苦味に悩まされていた70代女性Mさんが、西洋医学と漢方薬の併用で完治した実例を【前編】としてご紹介します。
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この記事は「何も食べてないのに口が苦い」70代女性の味覚異常が漢方薬で治った実例の【前編】です。
Mさんの具体的な治療経過や、漢方薬「五苓散」による劇的な改善効果について知りたい方は、こちらの【後編】をご覧ください。
| 記事名 | リンク |
| 口の苦味が漢方薬で劇的に改善した実例(後編) | https://kizuna-iyashi.com/2024/03/29/homemade-264/ |
1. 苦味に悩む70代女性 Mさんの症状と検査結果
Mさんは、口の中に広がる苦味を主症状として受診されました。
🩺 症状と経過
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約1ヶ月前、安静にしている時に突然、舌の右のふちの辺りに苦味を感じ始めました。
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入れ歯をしていても外していても苦味を感じます。
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午前中は感じないものの、午後2時〜3時頃から苦味を感じるのが特徴です。
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症状が改善しないため、かかりつけ歯科医の紹介で北海道大学病院 高齢者歯科を受診しました。
🦷 口腔内の状態
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舌の変色や、粘膜の傷などは見られませんでした。
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舌に触っても痛みを感じる箇所もありませんでした。
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口の中や頬の内側の粘膜には噛み跡がついていました。
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舌の真ん中に軽い舌苔(ぜったい)があり、口の中がやや乾燥している状態でした。
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使用している総入れ歯の噛み合わせは良好でした。
Mさんのように舌苔があり、口が乾燥している状態は、味覚異常と関連がある場合があります。
2. 味覚異常の原因を調べる検査
受診後、味覚異常の原因を探るための様々な検査が行われました。
🧪 西洋医学的な検査
| 検査項目 | 結果 | 正常範囲 | 補足事項 |
| カンジダ培養検査 | 感染なし | — | カンジダ感染は味覚障害の原因になることがあります。 |
| 全口腔法による味覚検査 | 正常範囲内 | — | 舌全体で甘味、塩味、酸味、苦味を感じるかどうかを調べます。 |
| 血中の亜鉛値 | 61μg/dl(低値) | 80~130μg/dl | ⚠️亜鉛不足は味覚異常の主要な原因の一つです。 |
| 血中の銅値 | 104μg/dl(正常値) | 71~132μg/dl | — |
| BMI | 27.5(軽度肥満) | 18.5~25.0 | — |
| 消化器・嗅覚 | 問題なし | — | — |
| CMI検査 (精神・身体) | 正常範囲内 | — | 精神的なストレスの有無などを調べます。 |
特に注目すべきは、血中の亜鉛値が低いことでした。亜鉛は味覚を感じる細胞の働きに必須のミネラルです。
3. 漢方医学的な診断
西洋医学的な検査に加え、漢方医学的な視点からもMさんの状態が診断されました。
🌿 漢方医学的所見
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全身的症状:脚のむくみがある。
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舌診:舌が口の幅に広がり、大きくぼってりと厚い傾向あり。舌の裏側の静脈が膨れ上がっていた。
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腹診(お腹の診察):みぞおちや、あばら骨の一番下の縁を指で押しても、特に圧痛や抵抗はありませんでした。
🔍 臨床診断
味覚障害(自発性異常味覚)
4. 専門家からのメッセージ
Mさんのように「味覚異常で漢方薬を処方されたが治らない」という話を聞くことがあります。これは、漢方薬が効かないのではなく、患者さんの体質(証)に合っていなかったり、味覚異常の原因の診断が間違っている可能性があります。
もし、あなたやご家族が味覚障害で困っている場合は、
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味覚機能検査をしっかり行える
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漢方薬も処方できる
医療機関を探すことをおすすめします。
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📚 専門用語の解説
| No. | 用語 | 解説 |
| *1 | 舌苔(ぜったい) | 舌の表面に付着する白い苔状のもののこと。口の乾燥や体調不良で増えることがあります。 |
| *2 | 亜鉛 | 人間に必須のミネラルで、体内の酵素の活性に不可欠。不足すると味覚異常、皮膚炎、脱毛、貧血などの多様な症状を引き起こします。正常範囲は80~130μg/dlです。 |
| *3 | 水滞(すいたい) | 漢方医学における概念で、水分代謝が悪く、水が体内に溜まっている状態のこと。むくみや冷えの原因になると考えられています。 |
| *4 | 舌診(ぜっしん) | 漢方医学の診察法の一つで、舌の色や形、苔の状態を見て、体内の状態(病気の証)を把握すること。 |
| *5 | 腹診(ふくしん) | 漢方医学の診察法の一つで、お腹を軽く押したり触ったりして、患者さんの体質や病気の証(しょう)を見極める方法です。 |
✍️ 次回予告(後編へ)
この後のMさんの具体的な治療内容と漢方薬による経過については、【後編】で詳しくご紹介します。ご期待ください。
情報出典・謝辞
このブログは、北海道大学病院高齢者歯科の症例報告を基に作成しています。
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症例報告:「漢方治療により味覚異常の他にさまざまな効能が得られた1例」(武田 雅彩 他、北海道歯学雑誌 2020年4月)
ご家族の介護やご自身の健康で気になることはありませんか? 他に知りたい情報があれば、お気軽にお尋ねください。
以上



