口の苦味が漢方薬「五苓散」で劇的改善!70代女性の実例(後編)
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この記事は「何も食べてないのに口が苦い」70代女性の味覚異常が漢方薬で治った実例の【後編】です。
Mさんの初診時の症状や、西洋医学・漢方医学的な診断の詳細を知りたい方は、こちらの【前編】をご覧ください。
| 記事名 | リンク |
| 口が苦い味覚異常が漢方薬で治った実例(前編) | https://kizuna-iyashi.com/2024/03/22/homemade-263/ |
🌿 口の苦味が漢方薬で劇的に改善!70代女性の味覚異常 実例(後編)
前編では、口の中に広がる苦味に悩む70代女性Mさんの症状と検査結果をご紹介しました。今回は、その後の治療の経過と、漢方薬「五苓散(ごれいさん)」がもたらした驚きの効果について詳しく見ていきます。
1. Mさんの治療経過:西洋薬から漢方薬へ
Mさんの味覚異常は、血中の亜鉛値がやや低いことが分かっていましたが、すぐに亜鉛補充療法は行わず、以下の手順で治療が進められました。
💊 まずは「心身安定剤」でアプローチ
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初動:Mさんのように「何も食べていないのに苦味を感じる」タイプの味覚異常には、心身安定剤(ロフラゼプ酸エチル)が効果的なケースが多いため、これを最初に処方しました。
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経過:服用開始からわずか2日後には苦味が半減しました。
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効果の限界:3週間後には苦味の度合いを示す目盛りが73から36まで低下しましたが、その後2週間継続しても、それ以上の改善は見られませんでした。
💡 漢方薬への切り替えと「水滞」の診断
西洋薬での改善が止まったため、Mさんの体質に合わせた漢方薬が検討されました。
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漢方的な所見:Mさんの「脚のむくみ」、「舌が大きく厚い傾向」、「舌の裏側の静脈の膨らみ」といった症状は、漢方医学でいう「水滞(すいたい)」の状態を示していました。
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処方:この水滞と味覚異常の改善を期待し、水のめぐりを良くする漢方薬「五苓散」(ごれいさん)が処方されました。
2. 「五苓散」による劇的な改善と治癒
漢方薬「五苓散」の服用を始めたところ、Mさんの症状は劇的に変化しました。
| 期間 | 服用状況 | 苦味のレベル(0~100目盛り) | その他の改善 |
| 開始直後 | 1日2回 | 劇的に減少 | — |
| 2ヶ月後 | 1日2回 | 5まで減少 | 口の中の噛み傷が解消、脚のむくみも解消、睡眠の質が改善(ぐっすり眠れるように) |
| 3ヶ月後 | 1日1回に減量 | 再び増加 | — |
| 再開 | 1日2回に戻す | 苦味は減少 | — |
| 8ヶ月後 | 1日2回 | 2まで減少 | ほぼ完治。「水滞」の所見(舌の裏の静脈の膨らみ、舌の厚み)も解消 |
✅ 最終的な診断
初診から1年後も味覚異常は再発せず、Mさんは現在、希望に応じて「五苓散」を不定期で服用しています。
この経過から、Mさんの苦味の原因は亜鉛欠乏ではなく、「水分代謝の不良(水滞)」によるものだったと考えられます。
3. 味覚異常は原因探しがカギ!
舌にある味を感じる細胞「味蕾(みらい)」は、加齢によって数が減るため、シニアは味覚異常を起こしやすくなります。しかし、原因は加齢だけではありません。
💡 味覚障害・味覚異常の主な原因
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栄養不足:亜鉛・鉄・ビタミンなどの不足
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病気:糖尿病、慢性腎不全、ドライマウス、鼻の病気など
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神経・脳の障害:顔面神経麻痺、脳神経障害など
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心の状態:認知症、精神疾患、ストレスなど
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薬の副作用:糖尿病、高血圧、関節リウマチなどの治療薬
Mさんの実例が示すように、西洋医学的な検査では異常が少なくても、漢方医学的な体質(証)の診断によって、真の原因が見つかることがあります。Mさんの場合は、水分代謝の改善が、口の苦味だけでなく、むくみや不眠といった不調まで解消する結果となりました。
「漢方薬が効かない」と感じる場合、それは漢方薬が役に立たないのではなく、「処方された漢方薬が患者さんの体質(証)と合っていなかった」可能性が高いです。
もし、あなたやご家族が味覚障害で困っているなら、味覚機能検査をしっかり行い、漢方薬も処方できる医療機関を探して相談してみることを強くおすすめします。
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📚 専門用語の解説
| No. | 用語 | 解説 |
| *1 | 心身安定剤 | ストレスや不安など、精神的な要因からくる身体の不調(味覚異常を含む)を和らげる目的で使われる西洋薬です。 |
| *2 | 水滞(すいたい) | 漢方医学における概念で、体内の水分代謝が悪く、水が溜まっている状態のこと。むくみ、冷え、めまいなどの原因になると考えられています。 |
| *3 | 五苓散(ごれいさん) | 水滞を改善する代表的な漢方薬の一つ。水分バランスを整える作用があり、むくみ、頭痛、めまい、下痢などに用いられます。 |
| *4 | 味蕾(みらい) | 舌などの表面にある、味を感じる細胞が集まった器官のこと。この数が減ると、味覚異常を起こしやすくなります。 |
情報出典・謝辞
本記事は、北海道大学病院高齢者歯科の症例報告を基に作成しています。
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症例報告:「漢方治療により味覚異常の他にさまざまな効能が得られた1例」(武田 雅彩 他、北海道歯学雑誌 2020年4月)
この治療実例が、味覚異常に悩む方々の一助となれば幸いです。
以上




