4種類の認知症をわかりやすく解説|アルツハイマー・血管性・レビー小体・前頭側頭型の特徴と違い【後編】

📘 **超簡単な認知症ガイダンス・3部作**

▶ 前編:認知症の平均余命と進行スピードをやさしく解説
https://kizuna-iyashi.com/2024/05/10/homemade-270/

▶ 中編:中核症状とBPSDの違いをわかりやすく紹介
https://kizuna-iyashi.com/2024/05/17/homemade-271/

▶ 後編:4種類の認知症の特徴と「天からのギフト」という視点
https://kizuna-iyashi.com/2024/05/24/homemade-272/

超簡単な認知症ガイダンス!認知症の平均余命と主な症状をざっくりと紹介します。(後編)

(shell_ghostcage/Pixabay)

認知症が病気だと頭では分かっていても、
介護する側はどうしてもイライラしたり、きつく当たってしまったりします。

私自身も、病気が進んで理解が難しくなっていた父に、
つい強い口調で説教してしまうことがありました。

それでも父は、何度もにっこり笑ってくれました。
「きっと、私のきつい言葉も忘れてくれているのだろう」と思うことで、
少し気持ちが救われたのを覚えています。

前編・中編に続き、この後編では
代表的な4種類の認知症の特徴と、
「認知症は天からのギフト」という考え方を紹介します。


1.認知症の代表的な4つのタイプ

代表的な認知症は、次の4種類です(いずれも高齢者に多いタイプです)。(*1)

  1. アルツハイマー型認知症

  2. 血管性認知症

  3. レビー小体型認知症

  4. 前頭側頭型認知症

それぞれ「原因」と「症状の出方」が違います。
ご家族の様子と照らし合わせながら、ざっくり特徴をつかんでみてください。


2.アルツハイマー型認知症

特徴・原因

  • 全認知症のうち約6割と最も多いタイプです。(*1)

  • 脳の神経細胞が少しずつ変性して、脳の一部が萎縮していくことで起こります。

  • もの忘れからゆっくり始まり、およそ10年前後かけて進行することが多いとされています。

主な症状

  • 新しいことが覚えられない(記憶障害)

  • 日付・季節・場所がわからなくなる(見当識障害)

  • 判断力が落ち、買い物やお金の管理が難しくなる

  • 料理や家事など、段取りが必要なことができなくなっていく

いわゆる「典型的なもの忘れ型の認知症」が、このタイプです。


3.血管性認知症

特徴・原因

  • 脳梗塞や脳出血など、「脳の血管トラブル」が原因で起こるタイプです。(*1)

  • 全体の約2割を占め、男性に多いとされています。(*1)

  • 損傷を受けた場所だけ機能が落ちるため、
    「できること」と「できないこと」が混在する**“まだら認知症”**になりやすいのが特徴です。

進行のしかた

  • 少しずつ進行する場合もあれば、
    新しい脳梗塞などをきっかけに階段状にガクッと悪化することもあります。

  • アルツハイマー型認知症と合併し、「混合型」になることもよくあります。(*1)

主な症状

  • 言葉がうまく出ない、話が理解できない(失語)

  • 読む・書くが難しくなる

  • 意欲が低下し、何もしたくなくなる

  • 気分が落ち込んだり、ささいなことで怒りやすくなったりする


4.レビー小体型認知症

特徴・原因

  • 脳内に「レビー小体」というたんぱく質が溜まることで発症する認知症です。(*1)

  • 認知症の約1割を占めるとされています。(*1)

主な症状

  • とてもリアルな幻視(いない人や虫・動物が見える など)

  • 認知機能の波が大きく、「しっかりしている日」と「ぼんやりしている日」の差が激しい

  • 手足の震え・小刻み歩行など、パーキンソン病に似た症状が出る

  • 男性は女性の約2倍発症しやすく、進行がやや早いのも特徴です。(*1)

初期は記憶障害が目立たないこともあり、
「単なる疲れ」「性格の問題」と見過ごされることがあります。


5.前頭側頭型認知症

特徴・原因

  • 脳の前の部分(前頭葉)やこめかみ周辺(側頭葉)が選択的に萎縮するタイプです。(*2)

  • 全体の1〜5%程度と少なく、「若い世代」で発症することもあります。(*2)

主な症状

前頭葉(人格・社会性をつかさどる場所)の障害が強い場合(*2)

  • 万引き・痴漢・暴言など、これまでの性格からは考えられない行動

  • ルールを守れない、社会的に不適切な言動が増える

  • 感情のブレーキが利きにくくなる

側頭葉(言葉・意味の理解をつかさどる場所)の障害が強い場合(*2)

  • 同じ道を何度も行き来するなど、単調な行動の反復

  • 同じ言葉・同じフレーズを繰り返す

  • 言葉の理解が難しくなり、会話が成立しにくくなる

病気が進むと、発症から6〜8年ほどで寝たきりに近い状態になることも多いとされています。(*2)


6.「認知症は天からのギフト」という考え方

認知症になると、

  • 最近の出来事を忘れる

  • 家族の名前や顔も分からなくなる
    …そんな姿を目の当たりにして、
    介護する側は大きな喪失感に襲われます。

しかし、精神科医の和田秀樹先生は
著書『80代から認知症はフツー』の中で、こんなふうに書いています。(*3)

認知症は、嫌なことをだんだん感じなくなる病気でもある。
それはある意味で「天からのギフト」とも言える。

かつて大人気だった100歳双子の「きんさん・ぎんさん」の
あのくったくのない笑顔も、認知症の影響があったのではないか。

認知症になっても、人は人を幸せにすることができる。

私自身も、介護をしていたときは
「元気だった頃の父」と「今の父」を比べてばかりで、
どうしても悲しさや怒りが先に立ちました。

それでも、
看護師さんたちにかわいがられながら無邪気に笑う父の表情は、
いま振り返ると、とても透明感があり美しいものでした。

介護そのものは決して楽ではありません。
それでも、時間が経つと
「無邪気な笑顔」だけが心に残り、
それがこちらの心をそっと癒してくれることがあります。

「認知症は天からのギフト」

この言葉を、
これから介護が始まる方へ、
そして、まさに奮闘しておられる皆さまへ、お届けしたいと思います。


7.信頼できる情報源

認知症について、もっと詳しく知りたい方は、
以下の公的なサイトも参考になります。


補注(後編専用)

*(1) 「認知症の種類とそれぞれの原因・症状を解説」太陽生命
https://www.taiyo-seimei.co.jp/net_lineup/colum/ninchi/003.html

*(2) 「前頭側頭型認知症を知っていますか?」なかまぁる(認知症とともにあるウェブメディア)
https://nakamaaru.asahi.com/article/14984981

*(3) 『80代から認知症はフツー ~ボケを明るく生きる~』和田秀樹著
第5章「認知症といっしょに生きる」190~192頁
2022年10月発行、株式会社興陽館、ISBN978-4-87723-297-9

超簡単な認知症ガイダンス!認知症の平均余命と主な症状をざっくりと紹介します。(後編)

(Sơn Nguyễn Đình/Pixabay)

 

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