初期の認知症やMCIの方が抱える本音とは?家族が知っておきたい“言葉にできない想い”をわかりやすく解説【2024年版】
初期の認知症や軽度認知障害(MCI)の方は、周囲からは見えにくい「複雑な気持ち」を抱えています。
今回は、大阪大学・橋本衛先生の研究グループが行った面接調査(約100名)から、ご本人が語った“言葉にしにくい本音”を、スマホで読みやすくまとめました。
※著作権保護のため、パンフレット原文の一部のみを紹介しています。
1.ご本人が密かに抱える「揺れる気持ち」
●50代男性
・周囲に「忘れている」と言われると腹が立つ
・でも、自分でも以前より忘れやすいと感じてしまう
・病気なのか、年相応なのか…気持ちが揺れてつらい
●60代女性
・家族に背中を押されて受診した
・記憶力の低下を自覚し、不安を抱える
・「認知症になったら迷惑をかける」と思い込んでいたが、家族の「大丈夫」の言葉が支えになっている
●70代男性
・病気を知られるのが怖く、交流する人を絞るようになった
・“変に思われたくない”という気持ちが大きい
2.できない自分を責めてしまう気持ち
●60代女性
・物忘れを人のせいにしてしまう自分が嫌
・家族にイラッとしてしまうが、本当は自分が悪いと思っている
・娘には迷惑をかけたくない気持ちが強い
●70代男性
・怒ってしまったあと自己嫌悪に陥る
・「家族に迷惑をかけるくらいなら…」と追い詰められることも
・わからないことを尋ねるのが怖い
●70代女性
・電子レンジの操作など、以前は簡単だったことが急に難しくなる
・行動が遅くなり、できない自分に腹が立つ
・家族にも弱さを見せたくない
3.否定的な言い方に傷つき、褒められたい気持ちがある
●70代男性
・忘れたことを指摘されると「バカにされた」と感じてしまう
・怒られるとイライラし、あとで後悔する
●60代男性
・“できない自分”を責め続けてしまう
・「褒められたい」気持ちが満たされず孤独を感じる
・認知症かもしれない…という50%の不安を抱えている
4.本音を読むと“家族に迷惑をかけたくない想い”が共通している
橋本衛先生は、次のように記しています。
「ご本人もまた、自分の変化を受け入れられず、大きな戸惑いを抱えています。この“想い”をご家族に知っていただきたいと考え、パンフレットを作成しました。」
全文は下記から閲覧できます。
▶ パンフレット「初期の認知症の人の“想い”」
https://www.bpsd-web.com/html/document1-02.html#contents
5.BPSDの予防に役立つ「ポジティブケア」サイトの紹介
上のパンフレットは、
ウェブサイト「~笑顔で穏やかな生活を支える~認知症の方へのポジティブケア」
(AMED支援事業)が公開している資料の1つです。
このサイトでは、認知症の行動・心理症状(BPSD)を
“予防できる症状”としてわかりやすく解説 しています。
▶ トップページ
https://www.bpsd-web.com/index.html
家族向けページは「症状の段階」ごとに理解が進むつくり
1)第1段階:BPSDを予防するためにできること
・診断時から始めるべきポイント
2)第2段階:BPSDが出た時の適切な対応
・関わり方や環境調整
3)第3段階:薬物治療の開始の判断
4)第4段階:専門病院での治療
橋本先生のパンフレットは第1段階の資料に位置づけられています。
▶ 家族向けページ
https://www.bpsd-web.com/html/family.html#contents
6.次回予告
次回は、介護現場の職員が認知症の妄想・幻覚・興奮・うつなど「BPSDに効果が高い介護サービス」
を、やさしく解説します。
https://kizuna-iyashi.com/2024/06/07/homemade-274/
謝辞
認知症のポジティブケア研究に携わる橋本衛先生、數井裕光先生、山口晴保先生をはじめ、調査に協力された皆さまに深く感謝いたします。
すべての認知症の方とご家族が、より穏やかに過ごせる時間が増えますように。
【補注】
*1:BPSD(Behavioral and Psychological Symptoms of Dementia)
… 認知症に伴う「行動・心理症状」。不安・興奮・妄想・抑うつ・睡眠障害など。中核症状とは異なり、ケアや環境で軽減できることが多い。
*2:大阪大学大学院 医学系研究科・橋本衛先生らによる初期認知症患者の心理面接調査。パンフレット「初期の認知症の人の“想い”」に基づく。https://www.bpsd-web.com/html/document1-02.html#contents
*3:AMED(日本医療研究開発機構)認知症研究開発事業
… 「BPSD包括的・実践的治療指針」など複数の研究プロジェクトを支援。
以上



