高齢者虐待かな?と思ったら|家族介護の実例と地域包括支援センターへの相談ガイド【前編】

🌿― 地域包括支援センターに早めに相談しませんか(前編)―

苦しんでいる介護者と怯えてるお年寄りがより良く暮らせる方法を探すために、地域包括支援センターに相談しましょう!(前編)

(Christiane Heßler/Pixabay)

🔎このシリーズについて

3月に公開した3部作のリライト版です。
家族介護に潜む「気づきにくい虐待」 を、

  • 前編:家族介護の中で起きる典型例

  • 中編:虐待に気づいた人の「気づきのサイン」

  • 後編:相談先・支援の受け方
    の順に、スマホで読みやすい形で紹介します。


✔ 前編:家族の介護現場で起こりやすい“見えない虐待”

家の中で起きる高齢者虐待は、大事件ではなく、日常の延長線上で起きる「ありふれたこと」 です。
でも、そのまま放置すると、当事者はどんどん追い詰められてしまいます。
まずは、実際の家庭で起きた例から見ていきます。


1.母が父をひっぱたいてしまった理由

苦しんでいる介護者と怯えてるお年寄りがより良く暮らせる方法を探すために、地域包括支援センターに相談しましょう!(前編)

(Mabel Amber, who will one day/Pixabay)

私の父はアルツハイマー型認知症。
デイサービスを利用しながら、母と二人暮らしでした。

父には 使用済みティッシュをポケットにしまう癖 があり、洗濯前に気付けなかった母は、何度も「洗濯物がティッシュまみれ」になる大惨事に遭っていました。

母は50代からリウマチを患い、いつも体のどこかが痛い状態。
そのため、怒りの沸点が非常に低く なっていました。

「何度言ったらわかるの!」
そう言って、父の頬を叩いてしまうことがありました。

しかし、母には虐待の自覚はありません。
母にとっては「夫婦喧嘩」「言うことを聞かない夫へのしつけ」だったのです。

さらに母自身も、ATM操作ができなくなったり、トイレの非常ボタンと水洗ボタンを間違えたりしていて、軽度認知障害が始まっていた可能性 もありました。

📌家族関係の中では、誰も「加害者」「被害者」だけではない

  • 痛みで余裕のない母

  • 理解や記憶が難しい父

  • どうしていいかわからない私

全員が苦しく、誰も悪人ではありませんでした。

だからこそ、早めの相談が必要 なのです。

私は内緒でケアマネジャーに相談し、母のメンツを守りながら母をサポートしてもらえました。
「家族だけで抱える限界」に気づいた瞬間でした。


2.地域包括支援センターには守秘義務があります

苦しんでいる介護者と怯えてるお年寄りがより良く暮らせる方法を探すために、地域包括支援センターに相談しましょう!(前編)

(Ben Kerckx/Pixabay)

「通報したら、相手にバレるのでは?」
という心配は不要です。

高齢者虐待防止法により、市区町村・地域包括支援センターには厳格な守秘義務があります。

例えばマンションの下の階で怒鳴り声が続いていて「大丈夫かな」と思って通報しても、
あなたが通報したことは本人にも家族にも絶対にわかりません。

  • 情報は外部に漏れない

  • 相談記録は厳重管理

  • 相談者を特定できる内容は一切伝えない

安心して相談できます。


3.虐待対応事例から“よくあるケース”を紹介

苦しんでいる介護者と怯えてるお年寄りがより良く暮らせる方法を探すために、地域包括支援センターに相談しましょう!(前編)

(Matthias Böckel/Pixabay)

家族介護で起きる虐待は、

  • 長年の家族関係

  • 親子の確執

  • 経済事情

  • 依存関係
    などが複雑に絡み合っています。

ここでは、よくある実例のひとつを紹介します。


● 80代女性Aさんの場合(介護放棄・放任)

(※神奈川県・青森県などの事例集より要約)

  • Aさん:80代、1人暮らし

  • 娘3人は県外・市内にいても忙しく訪問なし

  • 認知症の疑いがある状態

  • 自宅は不衛生で、近隣から火事・ネズミの苦情

Aさんはゴミ出しの曜日を間違えたり、入浴できない状態が続き、住環境は悪化。
しかし娘たちは「母は言うことを聞かない」「好きにさせてください」と突き放していました。

📌ケアマネジャーの粘り強い働きかけ

  • 娘たちへのこまめな連絡

  • 重要情報は手紙でも送付

  • Aさん本人には民生委員と訪問継続

  • 配食サービスの導入に成功

その結果、3姉妹が初めて協力し合い、Aさんはグループホームへ入所
安全な生活を取り戻しました。

ここにも、「家族には虐待の自覚がない」 という特徴があります。


4.家族介護の虐待は“10倍以上”多い現実

苦しんでいる介護者と怯えてるお年寄りがより良く暮らせる方法を探すために、地域包括支援センターに相談しましょう!(前編)

(Gerson Rodriguez/Pixabay)

厚労省調査では、
家族・親族からの虐待は、施設職員による虐待の10倍以上 とされています。

  • 養護者による虐待:17,100件

  • 施設職員による虐待:1,123件
    (令和5年度)*補注*1

家庭内は外部の目が届きにくく、
異変に気づけるのは、

  • ご近所の方

  • 配達員

  • 美容師

  • 親戚
    など、生活の周辺にいる人たちのことが多いのです。


5.何か「おかしい」と感じたら、相談してください

家族間の問題は、
感情のもつれ、恨み、介護疲れ、金銭問題 が絡み合い、
家族だけでは解決できません。

だからこそ、
専門家チーム(地域包括支援センター、市区町村窓口)に早めに相談することが、当事者全員を救う第一歩です。


👉 次回予告

中編(3月21日版)
家族介護の4つの実例から学ぶ支援の受け方

後編 (3月28日版)「高齢者虐待のサイン12チェック
をお届けします。

以上

苦しんでいる介護者と怯えてるお年寄りがより良く暮らせる方法を探すために、地域包括支援センターに相談しましょう!(前編)

(Elena/Pixabay)

補注

*1:「令和5年度 高齢者虐待対応状況」厚生労働省
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_48003.html


参考資料

以上

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