家族ができる優しい認知症ケア「ユマニチュード」本・動画・DVDまとめ【全部わかる】

“あなたは大切な人”と認知症の人に伝わる介護技術、「ユマニチュード」の本と映像教材を紹介します!

(Martin Reif/Pixabay)

認知症の方にどう声をかけ、どう触れ、どう寄り添えば “気持ちが伝わる” のか──。
その答えのひとつが、フランスで生まれたケア技法 「ユマニチュード」 です。

ユマニチュードは、元体育教師のイヴ・ジネストさんとロゼット・マレスコッティさんが、医療施設からの依頼を受けて考案しました。日本では2012年頃から紹介が始まり、「魔法の介護法」と呼ばれるほど多くの人に知られています。

ここでは、ユマニチュードを学べる本・YouTube動画・DVD教材をまとめてご紹介します。

1.家族介護者向けの本

『家族のためのユマニチュード』

“あなたは大切な人”と認知症の人に伝わる介護技術、「ユマニチュード」の本と映像教材を紹介します!

(CANDICE CANDICE/Pixabay)

●書籍情報

  • 書名:家族のためのユマニチュード ―“その人らしさ”を取り戻す、優しい認知症ケア―

  • 著者:イヴ・ジネスト、ロゼット・マレスコッティ、本田美和子

  • 発行年:2018年

  • 出版社:誠文堂新光社

  • 定価:1,600円+税

  • ISBN:978-4-416-51873-1

  • 判型:A5判(136ページ)

  • 出版社ページhttps://www.seibundo-shinkosha.net/book/lifestyle/20742/


2.どんな内容の本?

“あなたは大切な人”と認知症の人に伝わる介護技術、「ユマニチュード」の本と映像教材を紹介します!

(Nicky /Pixabay)

この本は、認知症のご家族を在宅で介護している人に向けて、ユマニチュードの基本をやさしく解説しています。イラストが多く、専門的な内容も理解しやすい構成です。

●章立て

  • 第1章 ユマニチュードとは

  • 第2章 記憶のしくみ

  • 第3章 認知症の人の特徴とよくある困りごと

  • 第4章 ユマニチュードの4つの柱

    • 「見る」「話す」「触れる」「立つ」

  • 第5章 ケアは一つの“物語”である

  • 第6章 よくある困った状況と対応方法

    • ごはんを食べてくれない

    • 同じ質問をくり返す

    • 不安で落ち着かない

    • 子どもを迎えに行くと言う など

●私が特に心に残ったこと

私は父の介護を経験しましたが、当時この本を知りませんでした。
「ごはんを食べてくれない」場面で悩み続け、父も私も苦しい思いをしました。

あとになって本を読んで気づいたのは──
認知症の方は、視野が狭くなり、横からの声かけが認識しにくいということ。
当時の私はそれを知らず、

  • 目を見て話す

  • 正面にまわって食事を見せる

  • 何を食べたいか確認する
    という基本をしていませんでした。

父が「口に何か入れられる」ように感じていた可能性を思うと、胸が詰まります。

ユマニチュードを知っていれば、もっと父の“つらさ”に気づけたのではないか──。
その後悔が、この本を紹介する理由です。


3.短時間で理解できるYouTube動画

“あなたは大切な人”と認知症の人に伝わる介護技術、「ユマニチュード」の本と映像教材を紹介します!

(knoech007/Pixabay)

① 高齢者ケア研究室(本田美和子先生)

ユマニチュードを日本に広めた本田美和子先生の公式チャンネルです。
短い動画でポイントがつかめます。


② 施設での研修記録(約16分)

.“あなたは大切な人”と認知症の人に伝わる介護技術、「ユマニチュード」の本と映像教材を紹介します!

(Bruno/Pixabay)

https://www.youtube.com/watch?v=u6SVT7N2rXY

日本ユマニチュード学会(*1)が公開した研修ドキュメント。
スタッフの気づきや、ご入居者の変化がリアルに伝わります。

③ フランスの認証施設紹介(約36分)

https://www.youtube.com/watch?v=NuR0jGidAHs

1980年代からユマニチュードを導入してきたフランスの現場を見ることができます。
ケアの雰囲気の違いがよくわかります。


④ TBS「報道特集」(約23分)

https://www.youtube.com/watch?v=C7V03-Mhkdw

2014年放送の特集ですが、今見ても学びが多い内容です。

4.DVD教材:自宅でじっくり学べる3巻セット

“あなたは大切な人”と認知症の人に伝わる介護技術、「ユマニチュード」の本と映像教材を紹介します!

(esiuL/Pixabay)

NHK厚生文化事業団が制作したDVD教材です。
ユマニチュードの創始者ジネストさん、本田美和子先生が監修しています。

  • 第1巻 入門編(112分)

  • 第2巻 実技編(68分)

  • 第3巻 家族の実践編(52分)

Amazonでも購入できますが、NHK厚生文化事業団では無料貸し出し(送料のみ負担)があります。
https://npwo.or.jp/category/video


5.知ってほしい理由

“あなたは大切な人”と認知症の人に伝わる介護技術、「ユマニチュード」の本と映像教材を紹介します!

(Couleur/Pixabay)

ユマニチュードには、こんな一文があります。

「1日に20分程度立つ時間を持てれば、亡くなるときまで立つ力を維持できる」(※『家族のためのユマニチュード』より)

私はこれを読んだとき、胸が締めつけられました。

父は介護付き老人ホームに入り、転倒を心配されて車椅子中心の生活になりました。
「歩きたい」という父の気持ちより、安全と効率が優先され、結果的に急速に歩く力を失い、寝たきりになっていきました。

今、介護をしているあなたなら、まだ間に合います。

●20分の“立つ時間”は細切れでOK

本ではこう説明されています。

  • つかまり立ちして体を拭く

  • ベッドで休みながら着替える

  • トイレまで歩く3分を積み重ねる

3分×7回=21分
十分「立つ力」を守れます。

●寝かせきりは、お互いをつらくする

“危ないから”と全部介護側が先回りしてしまうと、
本人の力が奪われ、プライドも失われていきます。

ユマニチュードは、
その人らしさを守りながら、介護する人の優しさもちゃんと伝える方法
です。

どうか、あなたの介護が、
大切なご家族の“尊厳”を守る時間になりますように。

“あなたは大切な人”と認知症の人に伝わる介護技術、「ユマニチュード」の本と映像教材を紹介します!

(Kai Reschke/Pixabay)

補注

*1:一般社団法人日本ユマニチュード学会:フランス生まれのコミュニケーション・ケア技法「ユマニチュード」の普及・浸透に取り組む非営利の一般社団法人です。https://jhuma.org/       

老いを理解し、高齢者が直面する困難にもかかわらず、人生の最後まで尊厳を持って生きる能力を発見し、肯定すること。http://www.humanitude.fr/

以上

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