夜中の徘徊や不眠、病院の薬が効かない認知症(BPSD)に!漢方薬で劇的に改善した4つの実例
介護生活で直面する夜中の徘徊や不眠、憂うつといった症状は、ご本人だけでなく、介護する方の心身をも深く追い詰めます。
「病院の薬を飲んでいるのに、なぜ良くならないの?」
もしあなたがそう感じているなら、「漢方薬の併用」が解決の糸口になるかもしれません。
この前編では、愛知県の知多厚生病院で、西洋医学的治療で改善しなかった患者さんに対し、漢方薬を併用して効果が見られた4つの実例を、丹村敏則先生の論文から分かりやすくご紹介します。
1. 治験データから見る漢方薬の可能性
愛知県の知多厚生病院では、西洋医学の治療で症状が改善しなかった患者さんに対して漢方薬を併用し、その効果が調査されました。
私たちが着目するのは、認知症の行動・心理症状(BPSD)や、高齢者が抱えやすい睡眠障害、抑うつ、歩行障害といった、日々の生活の質(QOL)を大きく低下させる症状への効果です。
2. 症状別:漢方薬で改善した4つの実例
【事例1】83歳女性 Mさん:夜中の徘徊(異常行動)が止まった
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主な症状: 夜中、電気をつけずにテレビをつけっぱなしにして部屋中を歩きまわる。
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これまでの治療: アルツハイマー型またはレビー小体型認知症治療薬(ドネペジル)を服用。増量後も異常行動が悪化。
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漢方医学的な所見: お腹の腹直筋が緊張しており、気が高ぶっている状態。
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臨床経過:
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**「抑肝散(よくかんさん)」**の服用を開始。
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わずか1か月で、夜中の歩きまわり(徘徊)が解消。
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ご家族からも「穏やかになった」と感謝の声が寄せられました。
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高齢者が穏やかに眠っているイメージ AI生成
【事例2】73歳女性 Nさん:憂うつ・意欲の低下から回復した
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主な症状: 朝方の憂うつ症状、やる気や元気の低下。
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これまでの治療: 抗うつ薬(フルボキサミン)を服用するも改善せず。
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漢方医学的な所見: 右脇腹の硬さ、舌の薄い白苔、ほてりがある状態。
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臨床経過:
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「加味帰脾湯(かみきひとう)」の服用を開始。
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1か月後、「元気がでてきた。運動もできるようになった」とご本人から報告。
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さらに、通院治療中の糖尿病の血糖コントロール(HbA1c)も7.8%から7.3%へ改善するという嬉しい結果も得られました。
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Gemini_高齢者が笑顔で運動しているイメージ写真
【事例3】85歳女性 Oさん:長引く不眠が解消した
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主な症状: 長期間眠れない状態が続いている。
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これまでの治療: 脳の神経を鎮める睡眠薬(ゾピクロン)を服用するも改善せず。
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漢方医学的な所見: 生命力が低下した虚弱な状態(虚証)で、舌はやや乾燥し、気が高ぶっている。
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臨床経過:
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**「酸棗仁湯(さんそうにんとう)」**の服用を開始。
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わずか1週間後には、ぐっすり眠れるようになりました。
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Gemini_漢方薬のおかげで安眠できた女性のイメージ写真
【事例4】70歳男性 Pさん:歩行困難が改善し歩けるようになった
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主な症状: 歩きづらさが悪化し、ついに歩けなくなり車椅子の状態に。
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これまでの治療: 脳神経外科、整形外科(腰椎脊柱管狭窄症)、内科で検査・治療を受けるも、歩行困難の明確な原因は見つからず、鎮痛剤を服用。
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漢方医学的な所見: 足の倦怠感と貧血傾向。
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臨床経過:
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**「大防風湯(だいぼうふうとう)」**の服用を開始。
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開始わずか2日後から、補助器を使って歩行が可能に。
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5日後には、杖を使って歩けるまでに回復しました。
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3. 西洋医学と漢方薬の併用という選択肢
夜中の徘徊や不眠といった症状が漢方薬で改善した事例を知ると、介護の限界に追い込まれていた気持ちが少し楽になるのではないでしょうか。
もし、あなたや大切な方が、西洋医学的な治療でなかなか改善しないBPSDや、睡眠障害、歩行障害などで困っているなら、一度「漢方薬治療を併用できる病院」を探すことを検討してみてください。
後編では、激しい便秘と誤嚥性肺炎の改善事例をご紹介します。
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📌 専門用語の解説
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*1 抑肝散(よくかんさん): 神経が高ぶり、怒りやすい、イライラなどの症状がある方に用いられます。不眠症、小児夜泣き、更年期障害などにも適応します。
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*2 加味帰脾湯(かみきひとう): 虚弱体質で血色の悪い方に用いられ、貧血、不眠症、精神不安、神経症などの治療に使用されます。
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*3 酸棗仁湯(さんそうにんとう): 心身が疲れ、弱って眠れない方の治療に使用されます。
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*4 腰椎脊柱管狭窄症(ようついせきちゅうかんきょうさくしょう): 加齢などにより、脊柱管と呼ばれる神経の通り道が狭くなり、腰痛や下肢の痛み、しびれが出て歩行が困難になることがある病気です。
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*5 大防風湯(だいぼうふうとう): 体を温め、痛みを散らす作用があり、病気が長引いて体力が低下し、冷えを伴う関節リウマチや慢性関節炎などに適応します。
謝辞
丹村敏則先生をはじめ知多厚生病院の先生方、ご協力なさった患者さんや医療従事者の皆さま等全ての皆様に感謝するとともに、東西医学連携がさらに広まり、患者さんとご家族がより良い時間を過ごせますよう、すべての医療従事者の皆さまの益々のご活躍・ご発展を祈念します。
☆研究報告「高齢社会に向けて東西医学の連携が高齢者ケアに果たす有効性の検討」丹村敏則、日本農村医学会雑誌、63巻4号624-633頁、2014年 https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjrm/63/4/63_624/_article/-char/ja/
☆漢方のお医者さん探し ―漢方・漢方薬に詳しい医療機関(病院・医院・医師)を8,968件から検索できます。― https://www.gokinjo.co.jp/kampo/
☆JA愛知厚生連 知多厚生病院 〒470-2404 愛知県知多郡美浜町大字河和字西谷81-6 https://chita.jaaikosei.or.jp/
☆一般社団法人 日本農村医学会 http://www.jarm.jp/index.htm
以上



