軽度認知障害(MCI)を悪化させない!食事・栄養・漢方の最新エビデンスと改善ポイント【第4回・最終回】

軽度認知障害(MCI)と判明した今がチャンス!普通に戻るための対策・方法をご紹介します! (第4回)

(Miles D. Miller/Pixabay)

認知症疾患医療センター(補注15)は、
**認知症の診断・治療・相談・介護連携まで“すべてを1つで担う専門機関”**です。
既存の大きな病院の中に併設され、全国どこにも必ずあります。

軽度認知障害(MCI)を診断できる場所として最も適しており、
MCIの段階で発見できたあなたは大きな幸運をつかんでいます。

今回は、食事の工夫・漢方の可能性について、研究や臨床報告をもとに分かりやすく解説します。


1.食事で脳を守る:五感・栄養・コミュニケーションが鍵

軽度認知障害(MCI)と判明した今がチャンス!普通に戻るための対策・方法をご紹介します! (第4回)

(Jason Goh/Pixabay)

認知症に効くと“宣伝されている食品”はありますが、
科学的に効果が証明された特定食品はまだありません。

ただし、研究では次のような傾向が明らかになっています。

●脳の健康を保つ食事のポイント

  • 野菜・果物・魚・豆・乳製品など「多様な食品」を食べている人ほど認知機能低下が少ない

  • 主食・主菜・副菜を1日2食以上とる人は栄養状態が良い

  • 抗酸化作用・抗炎症作用のある食品は脳の健康維持に役立つ可能性がある

  • MCIの方は栄養不足が多く、悪化との関連が示唆されている

●大切なのは“量・栄養・環境”の3つ

  1. 体格に合った食事量

  2. 多種類の食品をバランスよく

  3. 安心できる環境で、誰かと一緒に食べる(五感+社会的刺激)

食べる行為そのものが、脳と心のリハビリになります。


2.漢方薬「抑肝散加陳皮半夏」はMCI悪化を抑える可能性

軽度認知障害(MCI)と判明した今がチャンス!普通に戻るための対策・方法をご紹介します! (第4回)

(Marlene Krohn/Pixabay)

ここでは、松本正人先生による臨床報告(補注9)を、スマホで読みやすい形に整理して紹介します。

●調査の対象

  • MCIの方 15名(男性5名・女性10名)

  • 平均年齢:76.1歳

  • MMSE:24点以上

  • 合併症:高血圧・糖尿病・脂質異常症・ラクナ梗塞など(※重複あり)

  • 投与期間:平均2年5ヶ月(2〜3年)

●使用した漢方

抑肝散加陳皮半夏を1日2回(朝・夕食前)服用。

●評価方法

  • ACE-R(認知機能の総合検査)

  • STAI(不安状態)
    を、服用前・6ヶ月後・2〜3年後に比較。


3.調査結果

軽度認知障害(MCI)と判明した今がチャンス!普通に戻るための対策・方法をご紹介します! (第4回)

(KIM HOJIN/Pixabay)

◆ ACE-Rの結果

総合点

  • 服用前:77.9

  • 6ヶ月後:82.6

  • 2〜3年後:82.5
    → 上昇し、その後も維持。

記憶の点数

  • 服用前:54.9

  • 6ヶ月後:68.4

  • 2〜3年後:70.8
    大幅に改善し、2〜3年維持。

◆ 他の項目

  • 注意 / 見当識

  • 言語流暢性

  • 言語

  • 視空間認知

→ 変化なし(悪化もしなかった)。

◆ MMSE・不安(STAI)

→ 大きな変化なし。


4.結論:漢方で「記憶」機能が改善、悪化を長期抑制できる可能性

臨床報告の結論は以下の通りです。

抑肝散加陳皮半夏を2〜3年継続すると、MCIの“記憶”機能が改善し、悪化を長期的に抑える可能性がある。

※対象者数は15人と少ないため、今後の研究が待たれていますが、
「MCIが認知症に進行しない未来が見えてきた」という希望のある結果です。


5.MCIは“今が最大のチャンス”

軽度認知障害(MCI)と判明した今がチャンス!普通に戻るための対策・方法をご紹介します! (第4回)

(Rita- und mit /Pixabay)

厚生労働省は、2025年には65歳以上の5人に1人が認知症になると予測しています。
生活習慣病がなくても、誰でも発症する可能性があります。

しかし、MCIの段階なら
16〜41%が普通の状態に戻れる
ことが分かっています。

大切なのは、
「歳のせい」と片付けず、
認知症疾患医療センターで検査を受けること。

ご本人が“なんとなく変”と感じている場合が多いので、
恥ずかしさより未来を選んでほしい時期です。

軽度認知障害(MCI)と判明した今がチャンス!普通に戻るための対策・方法をご紹介します! (第4回)

(Petra/Pixabay)

◆補注(第4回)

*1:「あたまとからだをげんきにする MCIハンドブック」厚生労働省https://www.mhlw.go.jp/content/001272358.pdf

*9:松本正人:漢方臨床レポート「軽度認知障害の認知機能に対する抑肝散加陳皮半夏長期投与の臨床報告-2~3年経過例での評価(第2報)-」phil漢方 No.75 2019、22~24頁、https://www.philkampo.com/pdf/phil75/phil75-09.pdf

*10:まつもと脳神経・内科クリニック:院長:松本 正人、住所:〒960-0112 福島県福島市南矢野目字道下35-10、https://www.matsuclinic.com/

*11:「ラクナ梗塞とは脳梗塞の一つです。脳梗塞の中でも、心臓にできた血栓が脳の血管に流れて詰まる「脳塞栓」タイプ。このうち、脳血栓の中でも脳の深い部分を流れている細い血管が詰まってしまうことで起きる脳梗塞を「ラクナ梗塞」といいます。”ラクナ”とはラテン語で”小さなくぼみ”という意味です。」社会福祉法人 恩賜財団 済生会  https://www.saiseikai.or.jp/medical/disease/lacunar_infarction/

*12:「ミニメンタルステート検査(MMSE)は時間の見当識、場所の見当識、3単語の即時再生と遅延再生、計算、物品呼称、文章復唱、3段階の口頭命令、書字命令、文章書字、図形模写の計11項目から構成される30点満点の認知機能検査である。

MMSEは23点以下が認知症疑いである。 27点以下は軽度認知障害(MCI)が疑われる。」一般社団法人 日本老年医学会 https://www.jpn-geriat-soc.or.jp/tool/tool_02.html#:~:text=MMSE%E3%81%AF23%E7%82%B9%E4%BB%A5%E4%B8%8B,%25%EF%BC%8918-20)%E3%80%82

*13:「ACE–Rは5つの認知領域(注意/見当識,記憶,言語流暢性, 言語, 視空間認知) を 15~20 分 で 評 価 できる. MMSEを検査内に含む.100点満点で,ACE–R日本語版で は89点以上が正常,83–88がMCI,82点以下が認知症とされる」論文「今日からできる認知機能の評価」日本神経治療学 36巻3号、 198-202頁, 2019年 https://www.jstage.jst.go.jp/article/jsnt/36/3/36_198/_pdf/-char/ja

*14:「英語版「STAI-Y」に改良を重ね、日本の文化的要因を考慮して開発した日本語最新版の「状態-特性不安検査」です。 日本人特有の情緒(感情)を考慮することで、状態不安の密度の測定と人格構成としての特性不安における個人差の測定をより正確なものにしています。

STAIは不安の2因子,「状態不安」と「特性不安」を測定します. 状態不安(特定の場面で一過性に感じられる不安)と特性不安(状況要因に影響されず長期的に感じている不安)を測定できます. 状態不安と特性不安の得点の相関係数は低く,各々が不安障害の異なる側面を測定できていると言えます.」心理検査出版 三京房 https://www.sankyobo.co.jp/astai.html#:~:text=%E4%B8%8D%E5%AE%89%E3%81%AE%EF%BC%92%E5%9B%A0%E5%AD%90%EF%BC%8C%EF%BD%A2%E7%8A%B6%E6%85%8B,%E3%82%92%E6%B8%AC%E5%AE%9A%E3%81%99%E3%82%8B%E5%B0%BA%E5%BA%A6%E3%81%A7%E3%81%99%EF%BC%8E&text=%E7%8A%B6%E6%85%8B%E4%B8%8D%E5%AE%89%EF%BC%88%E7%89%B9%E5%AE%9A%E3%81%AE%E5%A0%B4%E9%9D%A2,%E3%81%A6%E3%81%84%E3%82%8B%E3%81%A8%E8%A8%80%E3%81%88%E3%81%BE%E3%81%99%EF%BC%8E

*15:「認知症疾患医療センターは、認知症疾患に関する鑑別診断とその初期対応、身体
合併症の急性期治療を行うほか、退院する患者が必要とする介護サービスの提供、地域における見守り等の日常生活面の支援や、家族を対象とした相談支援等に適切につながるよう、地域包括支援センターや介護支援専門員等への連絡調整を含め、個々の患者に対する相談を行う機能を有しており、地域での認知症医療提供体制の拠点として、地域の関係機関と連携した支援体制の構築を図ることは重要な役割である。」厚生労働省 https://www.mhlw.go.jp/content/000366645.pdf

お住いの都道府県名に「認知症疾患医療センター」を加えて、ネット検索なさってください。お近くのセンターが判ると思います。

以上

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