軽度認知障害(MCI)の改善に効く!専門トレーニングと音楽・芸術・社会参加による認知機能アップ法【第3回】
▶ 第1回:MCIとは?原因と早期発見のポイント
▶ 第2回:喫煙・飲酒・睡眠・難聴が危険な理由
▶ 第3回:認知トレーニング・音楽・芸術・社会参加
▶ 第4回:食事・漢方・長期改善のエビデンス
「記憶」は、人生をつなぎとめる大切な命綱です。
その記憶が揺らぎ始めると、「今いる場所がわからない」「知っている人の顔が思い出せない」といった不安から、怒り・徘徊・過食などの行動につながることがあります。
しかし、軽度認知障害(MCI)の段階なら、まだ改善のチャンスがあります。
研究では、16〜41%が“年齢相当の状態”まで回復しています。
この第3回では、専門の認知トレーニング、音楽・芸術、社会参加がどのように脳を改善するかを解説します。
1.専門機関で行う認知トレーニング
●“脳トレ”ではなく、専門家が指導する本格的トレーニング
市販の脳トレアプリやゲームとは異なり、
認知トレーニングは医療・専門機関で実施する本格プログラムです。
MCIの方を対象にした調査では、
記憶に特化した認知トレーニングが、全般的な認知機能の改善に大きく効果を示したことが報告されています。
まだ実施している施設は多くありませんが、下記は参考になる取り組みです。
●筑波大学附属病院「認知力アップデイケア」
https://www.tsukuba-psychiatry.com/dc/
「もの忘れが心配だけど、何から始めれば良いのか分からない」という方の希望につながる内容です。
2.音楽活動は認知機能を改善する
楽器演奏・歌・ダンスなどの能動的な音楽活動は、認知機能改善に効果があります。
研究では、
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座学グループ
-
楽器演奏グループ
-
ダンスグループ
に分けて40週間続けたところ、
楽器演奏+ダンスの両グループで全般的認知機能が改善しました。
逆に、音楽を聴くだけの活動では効果の有無が十分に検証されていません。
ポイント
-
楽器演奏、歌、ダンスなど「自分で身体や声を使う」活動
-
グループでの参加が特に良い
3.芸術活動は「注意・記憶・実行機能」を改善
書道・絵画・ものづくりなどの“創造する活動”は、脳を積極的に使うため、認知機能改善の可能性があります。
●書道の調査では
書道グループは、コンピューター学習グループに比べて
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注意機能
-
作業記憶
がより改善しました。
●芸術活動 vs 認知トレーニング
別の研究では、
芸術活動グループは
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認知機能
-
記憶
-
実行機能
-
注意機能
の改善が見られました。
※ただし、
茶道、華道、押し花、塗り絵など“特定の活動のみ”では効果は不明です。
4.外出・社会参加・仲間との活動は脳を強くする
外出が週1未満の「閉じこもり状態」の場合、
ほぼ毎日外出する人より要介護リスクが高まります。
また、
同居家族以外との交流が週1未満の方は、
-
自立機能の低下
-
認知症発症
-
早期死亡
のリスクが上昇することも分かっています。
●仲間と行う活動の大きな効果
運動や趣味活動を仲間と一緒に行うと、5年後の生活機能低下を防げます。
特に効果が高い活動は、
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読書
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パズル
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楽器
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囲碁・将棋
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子どもへの読み聞かせ
など、頭を使う余暇活動です。
役割を持つ(ボランティア・班長・係など)ことで
認知機能だけでなく、心の安定にもつながります。
●活動先を探したい場合
以下で情報を得られます:
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お住まいの社会福祉協議会(社協)
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近隣のボランティアセンター
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「こども食堂」や日本赤十字社
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地域の支援団体HP
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自治体の広報誌・社協広報誌
◆第3回はここまで
次回(第4回・最終回)は
1.認知症予防に有効な食事方法
2.漢方薬『抑肝散加陳皮半夏』の長期効果(MCIの悪化抑制)
について、わかりやすく解説します。
認知症は治せない病気ですが、
軽度認知障害(MCI)のうちに気づけた今こそが最大のチャンスです。
運動・芸術・社会参加・認知トレーニング──
今日からひとつ始めるだけで、未来は確実に変わります。
◆補注(第3回)
*1:「あたまとからだをげんきにする MCIハンドブック」厚生労働省https://www.mhlw.go.jp/content/001272358.pdf
*9:松本正人:漢方臨床レポート「軽度認知障害の認知機能に対する抑肝散加陳皮半夏長期投与の臨床報告-2~3年経過例での評価(第2報)-」phil漢方 No.75 2019、22~24頁、https://www.philkampo.com/pdf/phil75/phil75-09.pdf
*15:「認知症疾患医療センターは、認知症疾患に関する鑑別診断とその初期対応、身体
合併症の急性期治療を行うほか、退院する患者が必要とする介護サービスの提供、地域における見守り等の日常生活面の支援や、家族を対象とした相談支援等に適切につながるよう、地域包括支援センターや介護支援専門員等への連絡調整を含め、個々の患者に対する相談を行う機能を有しており、地域での認知症医療提供体制の拠点として、地域の関係機関と連携した支援体制の構築を図ることは重要な役割である。」厚生労働省 https://www.mhlw.go.jp/content/000366645.pdf
お住いの都道府県名に「認知症疾患医療センター」を加えて、ネット検索なさってください。お近くのセンターが判ると思います。
以上







