ゆるやかな絆を教えてくれる本、『生き心地の良い町』

片意地を張らないでと教えてくれる本『生き心地の良い町』

ゆるやかな絆を教えてくれる本『生き心地の良い町』(pieonaneによるPixabayからの画像)

「老人の自殺、十七年間ゼロ ここが違う徳島・海部町」という1990年9月の朝日新聞(地方版)の記事に導かれ、岡檀(おか・まゆみ)先生はこの海部町を5年かけて調査・研究なさいました。ゆるやかな絆が保たれ、生き心地の良い町、海部町。その特性を分かりやすく纏められたのが、この本です。

『生き心地(いきごこち)の良い町』岡 檀(おか・まゆみ)著、講談社、2013年7月刊

徳島県旧海部(かいふ)町は、徳島県の南部、海部大川と太平洋に接した人口3000人程度の小さな町です。(2006年の合併により、現在は徳島県海部郡海陽町の一部)この本によれば江戸時代の初期に、山林から材木を下す海部大川の河岸と、大阪に材木を運ぶ船が接岸できる湊を備えた海部町は、材木の集積地として飛躍的な発展を遂げたそうです。一説によれば、豊臣家が滅ぼされた大阪夏の陣の後、焼き払われた城や町の復興需要で、材木の買い付けがこの阿波(あわ)の海部町にまで及んだとか。

農村漁村山村という枠組みから外れ、復興需要の一攫千金を狙う商人・職人たちが集まって発展した海部町は、地縁血縁の薄いコミュニティとしてこの町の特徴を作り上げていきました。岡先生が発見なさった海部町のコミュニティ特性が、この町を「生き心地の良い町」にしていると、この本は教えてくれます。

片意地を張らないでと教えてくれる本、『生き心地の良い町』

ゆるやかな絆を教えてくれる本、『生き心地の良い町』(cocoparisienneによるPixabayからの画像)

地縁血縁の薄さがよそ者や異質な存在を認め、人の出入りの多さが人間関係の膠着を防ぎ隣人を監視するのではなく、隣人に関心を寄せる、ゆるやかな絆。このゆるやかな絆を今も維持している海部町の5つの特徴が、生き心地を良くしていると述べられています。

  • いろんな人がいてもよい、いろんな人がいたほうがよい
  • 人物本位主義をつらぬく
  • どうせ自分なんて、と考えない
  • 「病(やまい)」は市(いち)に出せ
  • ゆるやかにつながる
片意地を張らないでと教えてくれる本、『生き心地の良い町』

ゆるやかな絆を教えてくれる本、『生き心地の良い町』(claude allevaによるPixabayからの画像)

この本を読みながら、昭和1桁生まれの母の口癖を思い出しました。「為せば成る、為さねば成らぬ何事も、成らぬは人の為さぬなりけり」ご存知ですか?これは米沢藩主の上杉鷹山が家臣に教訓として詠み与えたということわざで、どんな事でも強い意志があれば実現できるから、強固な意志が大切と母に諭されました。

生真面目で負けず嫌いの母は、後ろ指を指されまい、弱みを見せまいと肩肘を張って、生きていたような気がします。因果関係はわかりませんが、50代でリュウマチを発症した母。生き心地は良かったのでしょうか。

けれど、かっての日本は「困難に負けない」と自分に言い聞かせなければならない程、貧しく困難に満ちていたのだと思います。そして、この「弱音を吐かない」とか「人様に迷惑をかけない」という意識は、今もご高齢の方々の心の中に、一つの美意識として残っているのではないでしょうか。このような美意識をお持ちの先輩方に、この本をお勧めします。

あるいは、ものすごく我慢強い性格の方や、独立独歩に固執なさっていらっしゃる方など、悩みや心配を友人・知人に相談できない方にも、この本をお勧めいたします。

ゆるやかな絆を教えてくれる本、『生き心地の良い町』

ゆるやかな絆を教えてくれる本、『生き心地の良い町』(HeungSoonによるPixabayからの画像)

神戸市の小学校教諭4人が、後輩の20代男性教諭に激辛カレーを食べさせるなど、いじめを繰り返していたという報道には驚きました。けれど加害者の先輩教諭4人も、かっては教職を志し、理想や夢を抱いた若者たちだったはずです。小学校という狭くて人間関係が膠着しがちな環境で、それぞれがストレス管理に失敗し、心を病んだ人たちが寄り集まった末の弱い者いじめにも見えます。あの加害者の先生方にしても、ストレス発散のためにいじめを繰り返しても、生き心地は悪かったのではないでしょうか?

生き心地が悪いと感じているあなたに、この本をお勧めします。

ゆるやかな絆を教えてくれる本、『生き心地の良い町』

ゆるやかな絆を教えてくれる本、『生き心地の良い町』(995645によるPixabayからの画像)

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