肥満で、新型コロナウイルスの死亡リスクが1.5倍に上昇

肥満で、新型コロナウイルスの死亡リスクが1.5倍に上昇

肥満で、新型コロナウイルスの死亡リスクが1.5倍に上昇(Jürgen KrellによるPixabayからの画像)

ノースカロライナ大学チャペルヒル校の研究グループが、新型コロナウイルスと肥満の関係を調査しました。その研究成果をレビューからご紹介します。https://www.unc.edu/posts/2020/08/26/obesity-linked-with-higher-risk-for-covid-19-complications/

この研究では、新型コロナウイルスに感染した個人に関する公開文献を解析し、以下の結果を得たそうです。

肥満の方(BMI値が30以上*①)は、入院リスクが113%、集中治療室に入院する可能性が74%、新型コロナウイルスによる死亡のリスクが48%高いそうです。(*は最下段の注記を参照)

太り過ぎていらっしゃるだけで、なぜリスクが高くなるのでしょうか?

 

それは、肥満が単に太り過ぎているだけでなく、肥満が誘因しやすい高血圧、心臓病、2型​​糖尿病、慢性腎臓病、肝疾患など多くの危険因子と結びついているからです。

肥満で、新型コロナウイルスの死亡リスクが1.5倍に上昇

肥満で、新型コロナウイルスの死亡リスクが1.5倍に上昇(Sven LachmannによるPixabayからの画像)

たとえば肥満の方に多いインスリン抵抗性があると、肝臓や筋肉、脂肪細胞などでインスリンが正常に働かなくなります。食事で高くなった血糖値を感知して、すい臓からインスリンが分泌されても、筋肉や肝臓が血液中のブドウ糖を取り込まないため、血糖値が下がらず、糖尿病の発病につながります。

 

また肥満により脂肪組織に慢性炎症が起こると、炎症性サイトカイン(*②)が生み出されるとともに、脂肪細胞から血液中に分泌されるアディポネクチン(*③)の量が減少し、炎症性サイトカインがさらに生産されるようになります。

 

この炎症性サイトカインは、炎症反応を促進する働きを持ち、免疫に関与し、細菌やウイルスが体に侵入した際に、それらを撃退して体を守る重要な働きをします。けれど、肥満によって引き起こされた慢性炎症であれば、炎症性サイトカインは肥満を攻撃することになり、炎症性サイトカインが過剰に生産され続けます。

肥満で、新型コロナウイルスの死亡リスクが1.5倍に上昇

肥満で、新型コロナウイルスの死亡リスクが1.5倍に上昇(susanne906によるPixabayからの画像)

さらにアディポネクチンは、脂肪細胞から分泌されるタンパク質でインスリンのはたらきを正常に戻す作用、動脈硬化を防ぐ作用、心臓を保護する作用など、有益で多彩な生理活性を持つ”善玉”体内物質として注目されています。

この善玉アディポネクチンの分泌が、肥満によって減少してしてしまうので、生活習慣病の悪化や動脈硬化を促進し循環器疾患(⾼⾎圧・急性⼼筋梗塞などの虚⾎性⼼疾患・⼼不全・脳梗塞・脳出⾎・くも膜下出⾎・動脈瘤など*④)の発症リスクが高まります。

このように肥満によって引き起こされる代謝の変化(インスリン抵抗性や炎症)は、肥満の方の感染症へのリスクを高めます。インフルエンザや肝炎などでこの傾向が見られます。

 

また、メリンダ・ベック博士の過去の研究によると、『インフルエンザワクチンは肥満の成人では効果が低い』そうで、『同じことが将来の新型コロナウイルスワクチンにも当てはまるかもしれない』と博士は述べられています。

つまり、肥満はご自分の体の免疫力を弱め、みずから病気に罹りやすくなり、さらに薬の効果を弱める役割を果たすという訳です。

肥満で、新型コロナウイルスの死亡リスクが1.5倍に上昇

肥満で、新型コロナウイルスの死亡リスクが1.5倍に上昇(Andreas GlöcknerによるPixabayからの画像)

ノースカロライナ大学チャペルヒル校の研究チームのバリー・ポプキン博士は、このレビューでこのように語られています。

『私たちは家にいるだけでなく、パンデミックのためにストレスを感じ、食料品を買う回数も減りました。つまり、生鮮食品ではなくジャンクフードや、より安価でより保存しやすく砂糖がいっぱい入った食品を摂るようになっています。これらの安価で加工された食品は、砂糖、ナトリウム、飽和脂肪が多く、高度に精製された炭水化物を多く含んでいるため、過剰な体重増加だけでなく、主要な非感染性疾患(心臓血管病、がん、慢性肺疾患、糖尿病等*⑤)のリスクも高まります。

では、どうすれば良いのでしょうか?答えは、あなたもご存じの「健康的な食生活と運動不足の解消」です。  以上

肥満で、新型コロナウイルスの死亡リスクが1.5倍に上昇

肥満で、新型コロナウイルスの死亡リスクが1.5倍に上昇(Frank HerterによるPixabayからの画像)

謝辞:ノースカロライナ大学チャペルヒル校のバリー・M・ポプキン博士らの研究チームのレビューに感謝するとともに、今後の更なる研究の進展を期待します。

《参照》

★Obesity linked with higher risk for COVID-19 complications https://www.unc.edu/posts/2020/08/26/obesity-linked-with-higher-risk-for-covid-19-complications/

★Individuals with obesity and COVID‐19: A global perspective on the epidemiology and biological relationships https://onlinelibrary.wiley.com/doi/full/10.1111/obr.13128

《注記》

*①BMI値 厚生労働省 生活習慣病予防のための健康情報サイト e-ヘルスネット https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/metabolic/ym-002.html

*②炎症性サイトカイン サイトカイン http://senoopc.jp/exam/cytocain.html

*③アディポネクチン 厚生労働省 生活習慣病予防のための健康情報サイト e-ヘルスネット https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/metabolic/ym-007.html

*④循環器疾患 厚生労働省 生活習慣病予防のための健康情報サイト e-ヘルスネット https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/heart/k-05-005.html#:~:text=%E5%BE%AA%E7%92%B0%E5%99%A8%E7%96%BE%E6%82%A3%E3%81%A8%E3%81%AF,%E3%81%AA%E3%81%A9%E3%81%AB%E5%88%86%E9%A1%9E%E3%81%95%E3%82%8C%E3%81%BE%E3%81%99%E3%80%82

*⑤非感染性疾患 公益社団法人日本WHO協会 https://japan-who.or.jp/factsheets/factsheets_type/noncommunicable-diseases/ 

以上

Follow me!