読んで楽しむ指圧・鍼灸・整体・マッサージetc・・・ジェーン・スーの『今夜もカネで解決だ』

今、TBSラジオでお馴染みのジェーン・スーさんの本をもとにしたドラマが放映されているそうですが、ご覧になりましたか？大好きな彼女のエッセイドラマ化をお祝いして、今回は笑いながら腹落ちするエッセイ『今夜もカネで解決だ』をご紹介します。

『今夜もカネで解決だ』ジェーン・スー著、2017年3月刊、朝日新聞出版発行、定価1300円+税、ISBN978-4-02-331578-5

この本は、マッサージ店やリラクゼーションサロン巡りを趣味にしているジェーン・スーさんの実録体験エッセイ。寝不足と過労でバッキバキの体や、背中ギックリで腰も肩も首にも走る激痛を抱えて駆け込んだ、様々な指圧・鍼灸から高級スパの全身アロママッサージまで、価格帯別に紹介されています。

第１章は、「プチプラと私」と題して、40分1980円の激安マッサージ店や渋谷道玄坂にある60分4980円のアジア系マッサージ店など18店。

第２章は、「英世と一葉、旅立たせ。」で、イケメンのタイ古式マッサージ店80分5980円や2時間半約1万円の六本木の大浴場付き岩盤浴スパなど16店。

最後の第３章は、「諭吉先生、出番です。」となり、「神の手」のマッサージ師さんが居る90分11,250円や東麻布の高級スパ100分18,400円など18店。

ヒノキのおがくずに体を埋める「ヒノキ酵素風呂」とか、新橋の雑居ビル2階にひしめく中国系・台湾系マッサージ店30軒の亜空間など、全く知らない世界をジェーン・スーさんの視線でのぞき見する楽しさ。

あるいは、緊急事態で飛び込んだ指圧院で「全身運動して。走る。指圧じゃどうにもならないよ、あなたのコリ」（P.13より引用）と言われるジェーン・スーさんに自分の体験が重なったりします。それが出来ないからこそ、利用してるのに・・・

リラクゼーションサロンやマッサージに、「心の癒し」と「具体的な体のトラブル解決」を求める彼女のほろ苦い可笑しさを笑いながら、「そうだよね～」といつの間にか共感しています。1店1店の紹介に分かれているので、短くて読みやすいのも魅力です。

それ以上にこの本をお勧めしたいのは、「女を癒すのは女」。この巻末のエッセイに私は痺れました。

『「会社のために」よりも、まず「あなたのために」。個体差はあれど傾向として、女性には労（いたわ）りあうコミュニケーションが存在する。私はそう信じています。「女の敵は女」ですって？　ご冗談を。女を癒すのは、女です。（後略）』(P.221より引用）

この「女を癒すのは女」ってどういうこと？と思われた方にも、ご一読をお勧めします。

以上