40~69歳の日本人22,377人を10年追跡調査した結果、趣味がない人と比較して、趣味がある人では18%も認知症リスクが低いと判明!

40~69歳の日本人22,377人を10年追跡調査した結果、趣味がない人と比較して、趣味がある人では18%も認知症リスクが低いと判明!

40~69歳の日本人22,377人を10年追跡調査した結果、趣味がない人と比較して、趣味がある人では18%も認知症リスクが低いと判明!(JustinによるPixabayからの画像)

国立がん研究センターがん対策研究所は、生活習慣と病気との関係を明らかにし、病気の予防と健康寿命を延ばすために研究を行っています。多目的コホート研究プロジェクトの中の「趣味と要介護認知症との関連について」を紹介します。

1.この研究を行った背景

*以前の研究は、対象者が65歳以上であり、同時に追跡期間が短かった。

*以前の研究では、「趣味を持たないから認知症になった」のか、「認知機能の低下のため趣味を持つことができない」のかが不明だった。

*今回の研究では、正常な認知機能を持っている中年期の人々を対象とした。

*2006年から2016年までの介護保険データを使用して、趣味と認知症リスクとの関連を追跡調査した。

40~69歳の日本人22,377人を10年追跡調査した結果、趣味がない人と比較して、趣味がある人では18%も認知症リスクが低いと判明!

40~69歳の日本人22,377人を10年追跡調査した結果、趣味がない人と比較して、趣味がある人では18%も認知症リスクが低いと判明!(Jasmin CampoyaによるPixabayからの画像)

2.調査方法

対象:1993~1994年に茨城県水戸か高知県中央東の保健所管内に在住で、脳卒中の既往歴のない男女22,377人

年齢:40~69歳(アンケートに回答した1993~1994年時点)

自己記入式アンケートの内容:年齢、性別、地域、体格、喫煙習慣、飲酒習慣、身体活動量、既往歴、独居の有無、仕事の有無、ストレスの有無、友人の数、趣味など

要介護認知症の情報:2006 年~2016 年までの介護保険データを使用

アンケート調査「趣味はありますか?」への回答から対象者を趣味が「ない」グループ、「ある」グループ、「たくさんある」グループに分け、その後の要介護認知症リスクを比較。

40~69歳の日本人22,377人を10年追跡調査した結果、趣味がない人と比較して、趣味がある人では18%も認知症リスクが低いと判明!

40~69歳の日本人22,377人を10年追跡調査した結果、趣味がない人と比較して、趣味がある人では18%も認知症リスクが低いと判明!(Keith JohnstonによるPixabayからの画像)

3.解析で判明した要介護認知症の発症リスク

2006~2016年の追跡期間中に、22,377人中3,095人が要介護認知症と判定されました。(発症率14%)

*「趣味がある人」は「趣味がない人」と比較して要介護認知症の発症リスクが18%低い。

*「趣味がたくさんある人」は「趣味がない人」と比較して要介護認知症の発症リスクが22%低い。

2006年から2012年までの追跡期間中に、1,333人が脳卒中既往のない認知症、466人が脳卒中既往のある認知症と判定されました。(脳卒中既往のない認知症の発症リスク6%、脳卒中既往のある認知症の発症リスク2%)

*「趣味がある人」と「趣味がたくさんある人」は「趣味がない人」と比較して、脳卒中既往のない認知症の発症リスクが23%低い。

*趣味の有無と脳卒中既往のある認知症との間には関連は見られない。

40~69歳の日本人22,377人を10年追跡調査した結果、趣味がない人と比較して、趣味がある人では18%も認知症リスクが低いと判明!

40~69歳の日本人22,377人を10年追跡調査した結果、趣味がない人と比較して、趣味がある人では18%も認知症リスクが低いと判明!(NIDEO&NICS HokkaidoによるPixabayからの画像)

4.この研究やこれまでの研究を踏まえて

中年期(40~64歳)と高齢期(65~69歳)の両方で趣味を持つことは要介護認知症の発症リスクを低下させる可能性があります。

65歳以上の高齢者を対象とした追跡研究(短期間)でも、趣味に取り組む時間が長い人やグラウンド・ゴルフ*や旅行などを趣味にしている人では、認知症の罹患リスクが低いと判明しています。

(*グラウンド・ゴルフとは:専用の木製クラブでボールを打ち、スタートからホールポストまでの打数の少なさを競うゲーム。ルールも分かりやすく、初心者から楽しめるスポーツ。昭和57年(1982年)に鳥取県東伯郡泊村生涯スポーツ活動推進事業の中で、泊村教育委員会を中心に考案したスポーツとされる。)

*これまでの多くの研究から、知的活動に取り組む人はアルツハイマー型認知症の罹患リスクが低いです。

*これまでの多くの研究から、身体活動に取り組む人は、アルツハイマー型認知症や血管性認知症、脳血管疾患を伴う認知症、混合型認知症の罹患リスクが低いです。

*これまでの研究で、生きがいを持つ人ではアルツハイマー型認知症の罹患リスクが低いです。

上記の結果から、シニア世代はもちろん、40~50代の皆さまも今から趣味を楽しみ、認知症リスクを下げましょう!

40~69歳の日本人22,377人を10年追跡調査した結果、趣味がない人と比較して、趣味がある人では18%も認知症リスクが低いと判明!

40~69歳の日本人22,377人を10年追跡調査した結果、趣味がない人と比較して、趣味がある人では18%も認知症リスクが低いと判明!(Rita-👩‍🍳 und 📷 mit ❤によるPixabayからの画像)

謝辞:国立がん研究センターがん対策研究所 多目的コホート研究プロジェクトに携わる研究者の皆様、ご協力なさったボランティア等全ての皆様に感謝するとともに、この研究の進展・発展を祈念します。

☆国立がん研究センターがん対策研究所「趣味と要介護認知症との関連について」https://epi.ncc.go.jp/jphc/outcome/8955.html

☆National Library of Medicine「Hobby engagement and risk of disabling dementia」https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/35569953/

☆J-STAGE 「version.2 Hobby Engagement and Risk of Disabling Dementia」(version.2: August 10, 2022)https://www.jstage.jst.go.jp/article/jea/advpub/0/advpub_JE20210489/_article

☆National Library of Medicine 「Having hobbies and the risk of cardiovascular disease incidence: A Japan public health center-based study」https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/34517285/

以上

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