心不全から心身が酷く弱ったVさんと脳梗塞で左半身不全麻痺から寝たきりになったWさんが、漢方薬+西洋薬+リハビリで回復できた実例を紹介!

心不全から心身が酷く弱ったVさんと脳梗塞で左半身不全麻痺から寝たきりになったWさんが、漢方薬+西洋薬+リハビリで回復できた実例を紹介!

心不全から心身が酷く弱ったVさんと脳梗塞で左半身不全麻痺から寝たきりになったWさんが、漢方薬+西洋薬+リハビリで回復できた実例を紹介!(IloによるPixabayからの画像)

前回2月16日ブログに続き、玉野 雅裕先生がたのチームが漢方薬+西洋薬+リハビリの治療法で、心不全から心身が酷く弱ったVさんと脳梗塞から左半身不全麻痺で寝たきりになったWさんが、歩けるまでに快復できた実例を紹介します。

1.実例4:79歳男性、Vさん

主な症状:息切れ、食欲がない、むくみ。

既往歴:心不全、腎不全、糖尿病。

現病歴:①心不全が急速に悪化し、入院。

②心不全治療に用いられる利尿薬「トルバプタン」と漢方薬「五苓散」(*1)を併用し、劇的に回復

③安静状態が長期に続いたため、重度の廃用症候群(*2)を発症してしまった。

心不全から心身が酷く弱ったVさんと脳梗塞で左半身不全麻痺から寝たきりになったWさんが、漢方薬+西洋薬+リハビリで回復できた実例を紹介!

心不全から心身が酷く弱ったVさんと脳梗塞で左半身不全麻痺から寝たきりになったWさんが、漢方薬+西洋薬+リハビリで回復できた実例を紹介!(SilviaによるPixabayからの画像)

漢方医学的所見*脈は弦で細い。これは、脈が細い感じのする打ち方で、遅く、指を強く押しつけないと感じられない脈です。(*3)この脈が示す状況は、「気」も「血」も不足していて、「陰」も「陽」も不足していて状況がひどくなって陰陽の両方が弱まった状態です。(*4)同時に、気血の力が弱い状態、抵抗力が弱く気力体力が衰えている状態でもあります。(*5)

*舌は胖大で淡紅色で薄白苔。これは、舌が薄い紅色で、つややかな潤いがあり、苔は舌の色がみえる程度に薄く白くつき、亀裂などがない健康な状態です。けれど、舌は筋肉なのでエネルギーが不足すると形が崩れたり、むくんで肥大し、水分過多で大きくなっているのが胖大です。(*6)

*腹診した時の腹壁の緊張度は、5段階評価の下から2番目「やや軟」でした。この腹直筋の緊張の度合いから現在の身体の状態を知ることができます。

*右の肋骨の下、季肋部と呼ばれる部分が固く張り、指を滑り込ませるように入れた時に、痛みや不快な圧迫感が軽くあります。これは、「胸脇苦満(きょうきょうくまん)」と呼ばれ、心理的なストレスで神経が張り詰めているときにも起こります。

*臍の左上で腹部大動脈の拍動を触れることができる。これは、「臍上悸(せいじょうき)」と呼ばれ精神の病的な緊張や自律神経の乱れが考えられます。(*7)

心不全から心身が酷く弱ったVさんと脳梗塞で左半身不全麻痺から寝たきりになったWさんが、漢方薬+西洋薬+リハビリで回復できた実例を紹介!

心不全から心身が酷く弱ったVさんと脳梗塞で左半身不全麻痺から寝たきりになったWさんが、漢方薬+西洋薬+リハビリで回復できた実例を紹介!(Jill WellingtonによるPixabayからの画像)

2.Vさんの漢方薬+西洋薬+リハビリによる臨床経過

臨床経過:①心不全は劇的に回復したが、腎不全から腎性貧血 を発症したため顔色が悪く、ベッドサイドの軽い動作でも息切れが目立つ。このため、Vさんはなかなか床上げができない。

腎性貧血の治療薬「EPO注射薬 (エポエチンベータペゴル)」(*8)と「補中益気湯」の服用を開始。

③「EPO注射薬」と「補中益気湯」の服用を開始後、貧血が改善し、食欲もでてきた。

④食欲の回復とともに活気がでたので、心臓リハビリテーションを開始。(心臓リハビリテーションは、スムーズな社会復帰や疾患の再発および悪化を予防するために行う運動療法のほか、食事療法や禁煙を含む生活習慣の改善です。)(*9)

⑤Vさんが心臓リハビリテーションに積極的に取り組んだ結果、1人で歩けるようになり、自宅へ退院できた。

⑥退院以降も、「補中益気湯」は継続し、「EPO注射薬」は新しい内服薬で腎性貧血の治療薬「HIF‒PH阻害薬」(*10)に変更して継続Vさんは今も健康を維持している。

心不全から心身が酷く弱ったVさんと脳梗塞で左半身不全麻痺から寝たきりになったWさんが、漢方薬+西洋薬+リハビリで回復できた実例を紹介!

心不全から心身が酷く弱ったVさんと脳梗塞で左半身不全麻痺から寝たきりになったWさんが、漢方薬+西洋薬+リハビリで回復できた実例を紹介!(Jill WellingtonによるPixabayからの画像)

3.実例5:85歳女性、Wさん

主な症状:やる気が起きない、食欲がない、アルツハイマー型認知症による鬱と不安感、脳梗塞による左半身の不全麻痺。(*11)

既往歴:脳梗塞、アルツハイマー型認知症、胃食道逆流症(GERD)(*12)、高血圧。

現病歴:①脳梗塞と左半身の不全麻痺で入院。

②入院後、食欲がなくなり、意欲も低下し、アルツハイマー型認知症が急激に進行。

③アルツハイマー型認知症の陰性BPSD、うつや不安感が現れ寝たきり状態になった。

服用していた薬:血圧降下薬の「シルニジピン」、解熱鎮痛消炎剤の「アスピリン」、アスピリン投与時における胃潰瘍又は十二指腸潰瘍の再発抑制薬「ボノプラザン」

心不全から心身が酷く弱ったVさんと脳梗塞で左半身不全麻痺から寝たきりになったWさんが、漢方薬+西洋薬+リハビリで回復できた実例を紹介!

心不全から心身が酷く弱ったVさんと脳梗塞で左半身不全麻痺から寝たきりになったWさんが、漢方薬+西洋薬+リハビリで回復できた実例を紹介!(Rita-👩‍🍳 und 📷 mit ❤によるPixabayからの画像)

漢方医学的所見*脈は沈で細。脈の打ち方が細く、脈が筋骨間に沈んでしまい、強く当ててはじめて脈が分かる程度で、軽く当てたのでは感じられない。(*13)

*舌は薄白苔。

腹診した時の腹壁の緊張度は、5段階評価の3番目「中等度」でした。この腹直筋の緊張の度合いから現在の身体の状態を知ることができます。

右の肋骨の下、季肋部と呼ばれる部分が固く張り、指を滑り込ませるように入れた時に、痛みや不快な圧迫感が軽くあります。これは、「胸脇苦満(きょうきょうくまん)」と呼ばれ、心理的なストレスで神経が張り詰めているときにも起こります。

臍の左上で腹部大動脈の拍動を触れることができる。これは、「臍上悸(せいじょうき)」と呼ばれ精神の病的な緊張や自律神経の乱れが考えられます。(*7)

心不全から心身が酷く弱ったVさんと脳梗塞で左半身不全麻痺から寝たきりになったWさんが、漢方薬+西洋薬+リハビリで回復できた実例を紹介!

心不全から心身が酷く弱ったVさんと脳梗塞で左半身不全麻痺から寝たきりになったWさんが、漢方薬+西洋薬+リハビリで回復できた実例を紹介!(Craig MelvilleによるPixabayからの画像)

4.Wさんの漢方薬+西洋薬+リハビリによる臨床経過

臨床経過:①入院後、食欲不振・意欲低下。アルツハイマー型認知症が急激に進行して陰性BPSD、うつや不安感を発症し、寝たきり状態になった。

アルツハイマー型認知症治療剤「ガランタミン」「補中益気湯」の服用を開始。

③Wさんが意欲的にリハビリテーションに取り組むようになる。

寝たきりを脱出し、自分で歩けるようになる。

自宅へ退院

⑥退院後もデイケアを積極的に利用し、認知症の進行は認められない

心不全から心身が酷く弱ったVさんと脳梗塞で左半身不全麻痺から寝たきりになったWさんが、漢方薬+西洋薬+リハビリで回復できた実例を紹介!

心不全から心身が酷く弱ったVさんと脳梗塞で左半身不全麻痺から寝たきりになったWさんが、漢方薬+西洋薬+リハビリで回復できた実例を紹介!(Jill WellingtonによるPixabayからの画像)

玉野 雅裕先生はこの症例報告の考察で以下のように書かれています。

加齢 (老化) とともに食欲不振,全般的意欲の低下が進行していく漢方医学的には「気」の低下ととらえることができ、これがサルコペニア・フレイル・認知症進行のカギを握っていると考えることができる。』

衰える「気」を補い、増やすことができる漢方薬と最新の西洋薬とリハビリテーションの活用が、VさんやWさんを回復させたのでしょう。

もしもあなたも困っていらっしゃるなら、漢方薬も最新の西洋薬もリハビリテーションも処方できる医療機関を探してみませんか?

心不全から心身が酷く弱ったVさんと脳梗塞で左半身不全麻痺から寝たきりになったWさんが、漢方薬+西洋薬+リハビリで回復できた実例を紹介!

心不全から心身が酷く弱ったVさんと脳梗塞で左半身不全麻痺から寝たきりになったWさんが、漢方薬+西洋薬+リハビリで回復できた実例を紹介!(PeggychoucairによるPixabayからの画像)

謝辞:玉野雅裕先生をはじめこの研究に携わった先生方、ご協力なさった患者さんや職員の皆さま等全ての皆様に感謝するとともに、漢方薬がシニアの健康長寿によりいっそう役立ち、患者さんとご家族のみなさまがより良い時間を過ごせますよう、先生方の益々のご活躍・ご発展を祈念します。

☆症例報告「サルコペニア・フレイル・認知症進行抑制を見据えた漢方薬治療」、玉野 雅裕 / 加藤 士郎 / 岡村 麻子 / 星野 朝文 /高橋 晶 / 小倉 絹子 / 中村 優子、脳神経外科と漢方 2022年7巻61-67頁、chrome-extension://efaidnbmnnnibpcajpcglclefindmkaj/https://www.jstage.jst.go.jp/article/jnkm/7/1/7_12/_pdf/-char/ja

☆漢方のお医者さん探し ―漢方・漢方薬に詳しい医療機関(病院・医院・医師)を8,968件から検索できます。―https://www.gokinjo.co.jp/kampo/

☆ 日本脳神経漢方医学会  日本脳神経漢方医学会は脳神経領域における漢方療法に関する研究を通じて、漢方医学の普及と研鑚を図ることを目的としています。「脳神経外科と漢方」は、日本脳神経漢方医学会 が発行。https://nougekampo.org/

補注

*1:「五苓散+トルバプタンでHFpEFの駆出率低下抑制  協和中央病院(茨城県)東洋医学センターセンター長の玉野雅裕氏は、HFpEF症例に対し、漢方薬の五苓散と心不全治療に用いられる利尿薬トルバプタンの併用効果を検討した結果を第71回日本東洋医学会(8月13~15日、ウェブ開催)で発表。」Medical Tribune https://medical-tribune.co.jp/news/2021/0908538306/

*2:「廃用症候群 ベッドで長期に安静にした場合には、疾患の経過の裏で生理的な変化として以下の「廃用症候群の症状の種類」に示すような症状が起こり得ます。筋萎縮、関節拘縮、骨萎縮、心機能低下、起立性低血圧、誤嚥性肺炎、など」健康長寿ネットhttps://www.tyojyu.or.jp/net/byouki/rounensei/haiyo-shokogun.html

*3:「脈診の解説」ハル薬局  http://www.halph.gr.jp/goods/myakusin100.html

*4:「陰陽学説~陰陽のバランスを崩すと病気に(6)陰陽両虚証 陰陽両虚証は、陰陽のどちらかが弱い状態から、状況がひどくなって陰陽の両方が弱まった状態です。陰の弱りが陽にも及び、あるいは、陽の弱りが陰に及び、結果として陰陽が共に弱まってしまいます。」薬読 薬剤師のエナジーチャージ https://yakuyomi.jp/knowledge_learning/chinese_medicine/01_024/#:~:text=%E9%99%B0%E9%99%BD%E4%B8%A1%E8%99%9A%E8%A8%BC%E3%81%AF,%E3%81%AB%E7%94%B1%E6%9D%A5%E3%81%99%E3%82%8B%E3%82%82%E3%81%AE%E3%81%A7%E3%81%99%E3%80%82

*5:「漢方の概念と理論 虚実(きょじつ)」漢方について 新百合ヶ丘総合病院 https://www.shinyuri-hospital.com/column/pharmacist/column_pharm_20.html#:~:text=%E8%99%9A%E5%AE%9F%EF%BC%88%E3%81%8D%E3%82%87%E3%81%98%E3%81%A4,%E3%81%A8%E5%91%BC%E3%81%B0%E3%82%8C%E3%82%8B%E7%8A%B6%E6%85%8B%E3%82%82%E3%81%82%E3%82%8A%E3%81%BE%E3%81%99%E3%80%82

*6:「舌の形・色・水分・巡りー舌の形は「気」と「津液」の表れ」舌診の話 漢方と鍼灸・誠心堂薬局 https://www.seishin-do.co.jp/tcm/tongue/

*7:「腹診(ふくしん)」はりプラザ 爽快鍼灸院 https://hari-plaza.com/blog/%E3%80%90%E9%8D%BC%E7%81%B8%E3%80%91%E8%85%B9%E8%A8%BA%EF%BC%88%E3%81%B5%E3%81%8F%E3%81%97%E3%82%93%EF%BC%89%E2%91%A0/4124/#:~:text=%E8%85%B9%E8%A8%BA%E3%81%A8%E3%81%AF%E3%80%81%E6%9D%B1%E6%B4%8B,%E7%9F%A5%E3%82%8B%E3%81%93%E3%81%A8%E3%81%8C%E3%81%A7%E3%81%8D%E3%81%BE%E3%81%99%E3%80%82&text=%E5%9C%A7%E7%97%9B%E3%82%84%E7%A1%AC%E3%81%84%E3%81%A8%E3%81%93%E3%82%8D%E3%81%AF,%E3%81%AB%E8%A8%BA%E3%81%A6%E3%81%84%E3%81%8D%E3%81%BE%E3%81%99%E3%80%82

*8:「エポエチン ベータ ペゴル(遺伝子組換え) 【効能又は効果】腎性貧血」国立医薬品食品衛生研究所 生物薬品部 https://www.nihs.go.jp/dbcb/Biologicals/epoetin_beta_pegol.html

*9:「心臓リハビリテーションとは  心臓リハビリテーションとは、患者さん一人一人の状況に応じて、運動を含めた生活習慣の見直しと改善を図り、病気に対する正しい知識を身につけていただきます。」京都大学医学部附属病院循環器内科 http://kyoto-u-cardio.jp/shinryo/rihabili/00801/

*10:「腎性貧血の新しい治療薬 HIF-PH阻害薬 2020年8月26日より透析を行なっていない腎不全(保存期CKD)の方の腎性貧血に対して新しい治療薬が使用できるようになりました。」ウェルビーイング内科クリニック船橋法典  https://wellbeingnaika.com/hif-ph_inhibitor/

*11:「不全麻痺(ふぜんまひ) 不全麻痺は、身体を動かせたり、触れられたりしても何らかの感覚が残る状態である。症状が軽い場合は、不全麻痺に陥った部位のしびれやヒリヒリ感のみで済むこともある。」柔道整復師用語辞典 柔整ナビ https://www.judo-ch.jp/seifukusisrch/useful/glossary/00147/3333301/

*12:「胃食道逆流症 別名GERD 胃食道逆流症とは、胃酸を含む胃の内容物が食道へ逆流する病気の総称です。」Medical Note https://medicalnote.jp/diseases/%E8%83%83%E9%A3%9F%E9%81%93%E9%80%86%E6%B5%81%E7%97%87?utm_campaign=%E8%83%83%E9%A3%9F%E9%81%93%E9%80%86%E6%B5%81%E7%97%87_%E6%A6%82%E8%A6%81&utm_medium=ydd&utm_source=yahoo#%E6%A6%82%E8%A6%81

*13:「脈診」ハル薬局 http://www.halph.gr.jp/goods/myakusin100.html

この症例報告の先生方の所属(2021年時点)

玉野雅裕先生:協和中央病院東洋医学センター〔〒309-1195 茨城県筑西市門井1676 番地1 〕、筑波大学附属病院

加藤士郎先生:野木病院、協和中央病院東洋医学センター、筑波大学附属病院

岡村麻子先生:つくばセントラル病院、協和中央病院東洋医学センター、東邦大学 薬学部

星野朝文先生:ほしの耳鼻咽喉科クリニック、筑波大学附属病院

高橋晶先生:筑波大学医学医療系災害・地域精神医学

小倉 絹子先生:つくばセントラル病院

中村 優子先生:筑波大学 医学医療系 産婦人科学

以上

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