認知症の行動・心理症状が出そうなサインをキャッチしたら、「褒める」「優しく接する」「本人が納得する方法を考える」!(後編)

認知症の行動・心理症状が出そうなサインをキャッチしたら、「褒める」「優しく接する」「本人が納得する方法を考える」!(後編)

認知症の行動・心理症状が出そうなサインをキャッチしたら、「褒める」「優しく接する」「本人が納得する方法を考える」!(後編)(GLadyによるPixabayからの画像)

迷子になれば、認知症を疑って対策を考えることができます。けれど、釣銭がわからなくて財布が小銭でパンパンでも、認知症を疑いません。見落としがちな認知症の行動・心理症状(BPSD)の具体的な症状の続きを紹介し、さらにBPSDの発症や悪化を避けるために重要な「BPSDが発症しそうなサイン」を紹介します。

山口晴保先生方の論文「BPSDの定義、その症状と発症要因に掲載の表から行動・心理症状(BPSD)を4つに分類して、具体的な症状を列挙した続きです。(なお、この表は、『長田久雄、佐藤美和子:認知症の行動・心理症 状の考え方.日本認知症ケア学会編「BPSDの 理解と対応―認知症ケア基本テキスト」、 ワールドプランニング、pp1-11, 2011』から引用されたものです。

4.行動・心理症状(BPSD)の分類3の具体例

行動コントロールの障害

①礼儀作法がなくなる、いきなり女性を触ったりする、他人の物を持っていく、物を盗む、大声や奇声を上げる、自分で自分を傷つける、おむつを外して布団に排泄する

②卑猥な言葉を言う、自分の性器を見せる、性行為を迫る

③一人で外出したがる、家にいても「家に帰る」と出たがる、施設や病室から勝手に出ていく

④(本人としては勤めていた会社に行こうとして)歩き回る、(本人は生家に帰ろうとして)さ迷い歩く

⑤異常な量を食べ続ける、嗜好が変化しそれまで食べなかった物を食べるようになる、食べ始められない、食べるのを途中で止めてしまう、まったく食べない・口を開けない、食べ物以外を食べてしまう

認知症の行動・心理症状が出そうなサインをキャッチしたら、「褒める」「優しく接する」「本人が納得する方法を考える」!(後編)

認知症の行動・心理症状が出そうなサインをキャッチしたら、「褒める」「優しく接する」「本人が納得する方法を考える」!(後編)(MariyaによるPixabayからの画像)

⑥そわそわして落ち着かない、夜になると家の中を歩きまわる、何度もトイレに行く

⑦物が捨てられない、汚れた衣類や下着を隠す、お金や財布や預金通帳に異様に執着する、ティッシュを鞄に詰め込んだり使った後のティッシュをタンスにため込む、他人の物をいじる

⑧箪笥を開けて衣類を出したりしまったりを繰り返す、同じ内容のエピソードを繰り返し話し続ける、箪笥や洗面台などを壊してしまう、衣類などを破いてしまう

⑨行動が続かない

⑩ずっとしゃべらない、動かない、何もしようとしない

⑪自殺を企てる

認知症の行動・心理症状が出そうなサインをキャッチしたら、「褒める」「優しく接する」「本人が納得する方法を考える」!(後編)

認知症の行動・心理症状が出そうなサインをキャッチしたら、「褒める」「優しく接する」「本人が納得する方法を考える」!(後編)(Nowaja💚🌺💚によるPixabayからの画像)

5.行動・心理症状(BPSD)の分類4の具体例

対人関係の障害

①つきまとう、寂しがる、仕事のじゃまをする、家族の団らんを妨害する、夜になると家族を起こす

②他人とかかわるのを嫌う

③ご飯を食べない、薬を飲まない、着替えを拒否する、入浴を拒否する、家族と話そうとしない、家族と会おうとしない、すべてを鬱陶しがる、人の好き嫌いが激しくなる

④目つきが変わり攻撃的になる、物を壊す、攻撃的な言葉を言う、他人を非難する、嘘を言って人を陥れようとする、他人とのもめ事が多くなる

認知症の行動・心理症状が出そうなサインをキャッチしたら、「褒める」「優しく接する」「本人が納得する方法を考える」!(後編)

認知症の行動・心理症状が出そうなサインをキャッチしたら、「褒める」「優しく接する」「本人が納得する方法を考える」!(後編)(Kerstin RiemerによるPixabayからの画像)

6.行動・心理症状(BPSD)発症のサインをキャッチして悪化を防ぐ方法

山口晴保先生はまとめでこう書いていらっしゃいます。

認知症の人に現れる症状は、「脳の障害」+「身体的健康」+「生活歴」+「性格傾向」+「人間関係」の総体で、一人ひとりに異なる症状が出現するととらえます。』

このように複雑ですから、行動・心理症状(BPSD)は介護する家族にとっては驚きや落胆、苦痛の連続です。けれど認知症のご本人もご自身のBPSDに傷つき苦しんでいます。全員が笑顔で穏やかな毎日を過ごすためには爆発みたいな行動・心理症状(BPSD)を悪化させないことが重要です。

伊東美緒先生が介護施設での観察からまとめ上げた、行動・心理症状(BPSD)が現れる前のイライラや不満を示す5つのサインを紹介します。

①服従:やりたくないアクティビティなどをやらされる

②謝罪:アクティビティなどができなかった時に「ごめんなさい」と謝る

③転嫁:例えば簡単な紙折り作業ができない時に「紙が変だから」と紙のせいに責任転嫁する

④遮断:聞こえないふりをしたり、寝たふりをしたり、視線をそらしたりする

⑤憤懣:気に入らないことをブツブツと独り言で怒る

この5つの行動が、行動・心理症状(BPSD)が発症するかも?!って教えてくれるサインです。

認知症の行動・心理症状が出そうなサインをキャッチしたら、「褒める」「優しく接する」「本人が納得する方法を考える」!(後編)

認知症の行動・心理症状が出そうなサインをキャッチしたら、「褒める」「優しく接する」「本人が納得する方法を考える」!(後編)(JürgenによるPixabayからの画像)

このサインを見つけたら、どうか無理強いするのではなく「褒める」「優しく接する」「本人が納得するタイミングややり方を考える」を試してみて下さい。

家族だからこそ面倒臭かったり、忙しくて余裕がないから本人が嫌がっていても効率を優先してしまいがちですでも無理強いを重ねた末にまるで猿のような形相で怒り狂われたり、襖を破られたりすると家族も本人も傷つきます。怒りや悲しみ、あるいは憎しみが積もってしまい、BPSDが悪化します。

だからこの5つのサインをキャッチして、「褒める」「優しく接する」「本人が納得するタイミングややり方を考える」を試しませんか?

認知症の行動・心理症状が出そうなサインをキャッチしたら、「褒める」「優しく接する」「本人が納得する方法を考える」!(後編)

認知症の行動・心理症状が出そうなサインをキャッチしたら、「褒める」「優しく接する」「本人が納得する方法を考える」!(後編)(Erika VargaによるPixabayからの画像)

謝辞:山口晴保先生をはじめ研究開発を分担なさった先生方、ご協力なさった患者さんや職員の皆さま等全ての皆様に感謝するとともに、ポジティブケアの研究がよりいっそう役立ち、認知症患者さんとご家族のみなさまがより良い時間を過ごせますよう、先生方の益々のご活躍・ご発展を祈念します。

総説「BPSDの定義、その症状と発症要因」国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED)「BPSDの解決につなげる各種評価法と、BPSDの包括的予防・治療指針の開発~笑顔で穏やかな生活を支えるポジティブケア」研究班 代表者:山口晴保/内藤佳津雄/谷向智/内田陽子/田中志子/藤澤大介/伊東美緒/山上徹也/内藤典子/滝口優子、認知症ケア研究誌、2巻1-16頁、2018年 https://www.jstage.jst.go.jp/article/jdcr/2/0/2_1/_pdf

★認知症の行動・心理症状が出そうなサインをキャッチしたら、「褒める」「優しく接する」「本人が納得する方法を考える」!(前編) https://kizuna-iyashi.com/2024/04/05/homemade-265/

     目次  1.認知症の行動・心理症状(BPSD)とは?

     2.行動・心理症状(BPSD)の分類1の具体例 ★認知症の主な症状に関連して起こる症状や行動★

      3.行動・心理症状(BPSD)の分類2の具体例 精神症状

以上

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