同じ話を繰り返す心の奥には

Teddy bearをおんぶする子ども
Sasin TipchaiによるPixabayからの画像

先日、介護関係の女性と話した時に、ある高齢女性のお話を伺いました。その女性は入居以来、ご自身が幼い頃を過ごした雪国の生活をずっと繰り返し、繰り返し、お話しなされていらっしゃると。

インタビューや聞書き・女性史作成の経験から申し上げると、同じ話を何度も繰り返される時には、繰り返す理由があるように感じます。その理由は大別すると3つ。

1.その方の人生で一番楽しかった思い出で、その頃に戻りたいという願望。

2.その方にとって納得できない、あるいは許せない事柄で、未解決の感情が噴出している話。

3.その方の実績などが正しく評価されていないと感じているための、承認欲求。

このように、同じ話を繰り返す理由が理解できると、対応も変わってきます。1の楽しい思い出話なら、その情景をもっとリアルに思い出せるように色々な角度から質問して、薔薇色の記憶を掘り起こしましょう。思い出話を深掘りして、その方の最上の日々を一緒に満喫すれば、喜ばれます。

また、3の正しく評価されていないと感じていらっしゃる方の昔話には、その方の求めている褒め言葉のヒントが隠されています。何度も同じ話を繰り返す心の奥には、認めてほしい切望があり、満たされないから繰り返されます。この謎を解き明かし、求められている褒め言葉を贈った時、満面の笑みを浮かべて、「この人は私を理解している」と感じていただけます。

そして、2の場合の昔話の対応が一番難しいです。その方の性格によっては、違う見方をお話ししても「お前に何が分かるか」と叱責されることもありえます。それでも、父が他界した今では、父の逆ギレさえも老いて短気だった父に苦笑できる、楽しい思い出です。

苦労や困難を肥料にして、心の奥に咲いている蓮の花
苦労や困難を肥料にして、心の奥に咲いている蓮の花
撮影:浅海禎子

5月12日は母の日。楽天インサイトの調査では、母の日にもらいたいプレゼントの1位は「母への感謝の言葉」です。「感謝の言葉」に加えて、日頃は邪険にしてしまい勝ちなお母様の昔話を、腰を据えてじっくり伺ってみてはいかがでしょうか。

今は穏やかで、福々しいお顔つきの女性でも、ご苦労や困難だった時期があり、その辛さや苦しさを栄養として心の奥に蓮の花を咲かせていらっしゃいます。もしも、何度も聞いている昔話であれば、上記の3類型をご参考に、繰り返す理由を考えながら、伺ってみてください。

お母様の昔話に向き合うことで、きっと今まで気が付かなかった、お母様の心の奥の蓮の花を発見できると思います。どうか、素晴らしい母の日を!

苦労や困難を肥料にして、心の奥に咲いている蓮の花2

苦労や困難を肥料にして、心の奥に咲いている蓮の花 2
撮影:浅海禎子

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