新型コロナに感染した高齢者は、1年以内のアルツハイマー発症リスクが50~80%増加!

新型コロナに感染した高齢者は、1年以内のアルツハイマー発症リスクが50~80%増加!

新型コロナに感染した高齢者は、1年以内のアルツハイマー発症リスクが50~80%増加!(PixamioによるPixabayからの画像)

あなたが介護なさっていらっしゃる方は、新型コロナウイルスに非感染ですか?また、その方は認知症ですか?アメリカの研究チームが、 65 歳以上の成人 620 万人のデータと、6,190 万人の成人(18 歳以上)および高齢患者のデータを解析し、新型コロナウイルスと認知症の関係を調査・分析しました。この論文の要点をご紹介します。

1.新型コロナウイルスに感染した65歳以上の人は、感染の翌年にアルツハイマー病を発症するリスクが50~80%も増加する

アメリカのCase Western Reserve School of Medicine の研究チームが、2020 年 2 月~ 2021 年 5 月の間に医療機関を受診し、アルツハイマー病に罹患していない 65 歳以上の成人 620 万人のデータを解析。40万人以上が新型コロナに感染したグループで、580 万人が非感染グループに分類。この2つのグループを比較・解析した結果、以下の点が判明。

☆新型コロナウイルスに感染した65歳以上の人は、感染の翌年にアルツハイマー病を発症するリスクが50~80%も増加。

☆特に、85歳以上の女性のリスクが一番高いと判明

☆新型コロナウイルスが、新たにアルツハイマー発症を引き起こすのか、既に内蔵されていたアルツハイマー発症を促進させるのかは不明。

上で示したように詳細な因果関係が不明なため、新型コロナウイルスへ感染してしまった場合の治療法は示されていません。

リスクを減らす方法として現在言えることは、「高血圧、糖尿病、心臓病、肥満、座りっぱなしのライフスタイルなどの一般的な危険因子を減らすこと」くらいです。

つまり、65歳以上の方は新型コロナウイルスに感染しないよう用心なさってください。

新型コロナに感染した高齢者は、1年以内のアルツハイマー発症リスクが50~80%増加!

新型コロナに感染した高齢者は、1年以内のアルツハイマー発症リスクが50~80%増加!(Peter KokによるPixabayからの画像)

2.認知症患者は、認知症でない患者に比べて、新型コロナウイルスに感染するリスクが約2倍高い

Case Western Reserve School of Medicine の研究チームは、2020 年 8 月 21 日までの米国の 6,190 万人の成人(18 歳以上)および高齢患者の電子医療記録を分析し、認知症が新型コロナウイルス感染 のリスクとどう関連しているかも調べています。その結果は、以下の通りです。

◆認知症患者は、認知症でない患者に比べて、新型コロナウイルスに感染するリスクが約2倍高い。

◆特に血管性認知症患者のリスクが一番高い。

◆認知症で新型コロナウイルスに感染した高齢者の6カ月入院リスクは、新型コロナウイルスに感染したが認知症でない高齢者の6カ月入院リスクの2.5倍高い。

◆認知症で新型コロナウイルスに感染した高齢者の 6 か月以内死亡リスクは、20.99%。

◆新型コロナウイルスに感染した高齢者で認知症ではない患者の 6 か月以内死亡リスクは、4.81%。

新型コロナに感染した高齢者は、1年以内のアルツハイマー発症リスクが50~80%増加!

新型コロナに感染した高齢者は、1年以内のアルツハイマー発症リスクが50~80%増加!(Monika PuschnerによるPixabayからの画像)

◆認知症であるが新型コロナウイルス非感染の高齢者の 6 か月以内死亡リスクは、 7.64%。

◆認知症の高齢者は、認知症でない高齢者に比較して、新型コロナウイルスに感染した場合の重症化リスクも死亡リスクも2.5~5倍も高い。

◆新型コロナウイルスで死亡するリスクは、年齢と共に大幅に増加する

◆新型コロナウイルスで死亡するリスクは、男性は女性の2倍高い

新型コロナに感染した高齢者は、1年以内のアルツハイマー発症リスクが50~80%増加!

新型コロナに感染した高齢者は、1年以内のアルツハイマー発症リスクが50~80%増加!(etmarによるPixabayからの画像)

認知症患者は、なぜ新型コロナウイルスへの感染リスクが高いのか?という疑問に対して、この論文は以下の可能性を示しています。

◎認知症の患者は、記憶障害により、社会的距離、マスクの着用、または手洗いなどを順守する能力が制限されるため、新型コロナウイルスに特に感染しやすい可能性がある。

◎以前の研究では、血管性認知症やアルツハイマー病を含む認知症患者の血管脳関門、つまり脳の血管と脳細胞の間での物質交換を制限する機構で、神経機能に最適な環境を常に維持する関門の透過性が増加すると、患者はヘルペス感染、肺炎、梅毒、ライム病、歯周病などの細菌感染やウイルス感染にかかりやすくなることが示唆されている。このため、新型コロナウイルスに感染しやすい可能性がある。

◎脳の損傷、特に血管の損傷は、脳へより大きなウイルスの侵入を可能にし、新型コロナウイルスの炎症性および血栓性の両方を促進する。その後、低酸素症および脳などの他の臓器の障害によって悪化する可能性がある。

このように可能性を提示されると納得しますが、対応できることは限られています。そう、ソーシャルディスタンスとマスク着用と手洗いの励行です。結局、感染防止は基本を守ることなんですね。

もしもあなたが介護なさっている方が認知症でしたら、新型コロナウイルスに感染しないようご用心ください。みんなで元気に、この冬を乗り越えましょう!

新型コロナに感染した高齢者は、1年以内のアルツハイマー発症リスクが50~80%増加!

新型コロナに感染した高齢者は、1年以内のアルツハイマー発症リスクが50~80%増加!(Dimitris VetsikasによるPixabayからの画像)

☆「New study: Risk factor for developing Alzheimer’s disease increases by 50-80% in older adults who caught COVID-19 SEPTEMBER 13, 2022 FEATURED HEALTH & WELLNESS」https://thedaily.case.edu/new-study-risk-factor-for-developing-alzheimers-disease-increases-by-50-80-in-older-adults-who-caught-covid-19/

☆「Association of COVID-19 with New-Onset Alzheimer’s Disease」https://content.iospress.com/articles/journal-of-alzheimers-disease/jad220717

☆「COVID-19 and dementia: Analyses of risk, disparity, and outcomes from electronic health records in the US」https://alz-journals.onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1002/alz.12296

以上

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