実家の押入れに、通販商品が未使用の状態で山積みだった場合の具体的な対処法10!

実家の押入れに通信販売の商品が、使っていない状態で山積みにされていた場合の具体的な対処法10!

実家の押入れに、通販商品が未使用の状態で山積みだった場合の具体的な対処法10!(ally jによるPixabayからの画像)

私の父は、父の母も姉も認知症だったので、父も認知症を発症するに違いないと覚悟していました。が、すったもんだの末に「物忘れ外来」で受診すると、年齢相当のもの忘れとの診断。このため、「異常事態」が頻発しても「認知症」を疑いませんでした。「老化」なのか、「軽度認知障害(MCI)」なのか、素人には分かりません。それでも家族を苦しめる異常事態!今回は、通販問題の対策をご紹介します。

事例 通販の商品が未使用のまま、大量に山積みされていた藤原さんのお母様の場合

藤原さんのお母様は、きれい好きで、料理が得意で、完璧な主婦でした。一人暮らしでも毎日ぬか床をかきまわし、障子の桟を触って汚れを確認する徹底ぶり。毎年、年の暮れに伊達巻を手づくりして、友人・知人に贈るのが恒例行事となっていました。

ところが2年ぶりに帰郷すると、専業主婦の鑑のようなお母様の家が、荒れていました。自慢の庭は、雑草がはびこり、家の中はほこりだらけ。勝手口の脇には、初めて見る温泉水の段ボールが山積みでした。掃除をしようと開けた押入れから、包装紙のままの羽毛布団セットが3包みと箱のまま開封もされていない大量のサプリメント、酒造メーカーが作っている化粧品セットなどが雪崩のように溢れ出しました。

実家の押入れに通信販売の商品が、使っていない状態で山積みにされていた場合の具体的な対処法10!

実家の押入れに、通販商品が未使用の状態で山積みだった場合の具体的な対処法10!(obsidiaによるPixabayからの画像)

藤原さんが恐る恐るお母さんに、勝手口に積んである温泉水や押入れの中の商品について質問しても、「知らない」「わからない」と言うばかり。羽毛布団もサプリメントも全部、買った覚えはない、と。

80歳を過ぎれば、体もあちこちが軋み、掃除や草むしりがおっくうなことは理解できます。ゴミ捨てだって、集積場まで持っていくのは辛いでしょう。「うちの母は、年齢の割にはまだまだ元気だ」と藤原さんは思います。

ただ、あの未使用のまま放置されてる温泉水やサプリメント等が不審で気にかかります。宅配の伝票に記載された宛先は確かに母の名前です。ですが、商品の量があまりにも多すぎます。母がこんなに注文するはずがない!

藤原さんが詐欺を疑いつつサプリメントの発送元に連絡すると、「毎月の定期購入でお申し込み頂いてます」との回答。温泉水の業者も化粧品をつくっている酒造メーカーも「確かに定期購入でお買い上げ頂いております」と。どちらにも事情を説明し、契約解除書類の郵送をお願いしました。それでも山積みで未開封の商品は返品できないので、処分するしかありません。羽毛布団の返品も、予想通りできませんでした。これからどうすれば良いのでしょうか?

実家の押入れに通信販売の商品が、使っていない状態で山積みにされていた場合の具体的な対処法10!

実家の押入れに、通販商品が未使用の状態で山積みだった場合の具体的な対処法10!(S. Hermann / F. RichterによるPixabayからの画像)

具体策1 「地域包括支援センター」に相談する

お母様の日常生活に問題がないとしても、認知症の可能性を「地域包括支援センター」の相談員と検討し、相談員の提案を聞くことをお勧めします。

というのも介護の現場では、通信販売、特に定期購入の通信販売契約が大問題になっています。ご高齢の女性は通信販売が大好きで、使い慣れている方が多いそうです。テレビでいつも見ている通販番組を眺め、気に入ったら売り切れる前に、急いで電話で商品を購入。慣れた動作なので注文できても、軽度認知障害(MCI)から記憶障害があり、電話注文した事実を忘れます。「この商品をきらすとお客様にご不便をおかけしますので、定期購入はいかがですか?」とオペレーターに勧められて断ることができなければ、買ったことを忘れた商品が永遠に送り付けられます。

具体策2 「シルバーホン・ひびきSIIIなどの福祉電話の発信制限機能で電話をかけられなくする

ご高齢の方であれば、固定電話を愛用なさっていると思います。この「シルバーホン・ひびきSIII」はあらかじめ登録した10件の電話番号へ発信できない認知症対策機能がついています。

携帯電話の場合は、キャリアによって対応が異なります。キャリアへ相談なさってください。

具体策3 ダイレクトメールやカタログ、チラシ等を止める

送られてくるダイレクトメールやカタログは、発送元に電話して郵送の中止を依頼します。また、新聞チラシの「〇〇に効く健康食品」などを買ってしまう場合は、新聞の購読を中止するか、新聞販売店に折込みチラシの折り込み中止を依頼します。

実家の押入れに通信販売の商品が、使っていない状態で山積みにされていた場合の具体的な対処法10!

実家の押入れに、通販商品が未使用の状態で山積みだった場合の具体的な対処法10!(shell_ghostcage によるPixabayからの画像)

具体策4 通販業者に「家族が認知症のため電話をかけさせないようにするが、万が一本人が注文した場合には家族に注文確認の連絡をください」と依頼する。

これは、公益社団法人 日本通信販売協会が定期的に発行しているJADMANEWS(ジャドマニューズ)の2015年2月号事業者相談 顧客対応編 「『注文者が認知症』の場合の返品・契約の取り消し」の相談事例①のケースです。通販業者によって対応の違いがあると思いますが、通信販売協会のニュースにこのような事例があったから、善処して欲しいと交渉してみましょう。

具体策5 ネット通販は、簡単に買えないようにキャッシュカード情報を登録しない。支払いの上限金額を決めたり、個人情報の入力は一人でしない等のルールを決める。

新型コロナの2年間で、ご高齢の方のネット利用者が増えました。特に男性に多く、70代・80代でネットを使いこなしていらっしゃるのですから、立派です。が、ネット詐欺は優秀な高齢者よりも悪賢いです。買い物に使うサイトは、家族アカウントに設定して、購入履歴を本人以外でも確認できるようになさってください。簡単なクリックで購入できないように、クレジットカード情報を登録しないでください。また、フィッシングなどに引っかからないように、個人情報を入力する時は家族と一緒に行うとか、支払い金額に上限を定め、その金額以上の場合は家族と一緒に入力するなどとルールを決めてはいかがでしょうか?

実家の押入れに通信販売の商品が、使っていない状態で山積みにされていた場合の具体的な対処法10!

実家の押入れに、通販商品が未使用の状態で山積みだった場合の具体的な対処法10!(Anna ArmbrustによるPixabayからの画像)

具体策6 出来る限りデイサービスに通ってもらい、一人でテレビを見る時間を減らす。

多くの女性は、お買い物もお出かけも大好きです。けれどご高齢になると、買い物も外出もなかなかできません。その代わりに何をしているかと言えばテレビ鑑賞です。つまり、テレビショッピングは叶わない買い物やお出かけの代わりです。元凶となるテレビ鑑賞を防ぐために、許す限りデイサービスに通ってもらいます。

具体策7 見守りを兼ねて、ヘルパーさんの訪問サービスを利用する。

介護度が低ければ、週5日もデイサービスを利用できません。そこで、テレビショッピングに走らないように、宅配などの異変にすぐに気が付けるように、ヘルパーさんに訪問していただきます。目的は見守りなので、お掃除でもお料理でも構いません。それよりも、要介護者となるお母様とヘルパーさんとの相性が大切です。我が家では、風呂場の掃除に来て下さるヘルパーさんと母が合わなくて、3回も交代しました。

具体策8 買い物には付き添い、同じものを大量に買わないように見守る。

同じ商品を大量に買い込む場合は、買い物に付き添います。大量に買い込む理由は、ご自身が買ったことを忘れることと、その商品が必要と思っていらっしゃるからです。同じ品をカゴに入れようとしたら、他の商品や食材に注意を向けさせたり、フードコートに誘って意識を逸らせましょう。

また、ショッピングは女性の楽しい気晴らしです。爆買いを防ぐためにもなるべく連れ出して、ショッピングの楽しさを味わって頂きましょう

実家の押入れに通信販売の商品が、使っていない状態で山積みにされていた場合の具体的な対処法10!

実家の押入れに、通販商品が未使用の状態で山積みだった場合の具体的な対処法10!(trang nguyen thi thuによるPixabayからの画像)

具体策 9 家族信託を設定してもらう

家族信託とは、信頼できる家族の1人に生前から資産の管理を委託する財産管理の手法です。司法書士事務所や弁護士事務所で相談できます。委託された家族の側には忠実義務という、ご本人を保護する義務が課せられ、その義務に基づいた資産管理を行うこととされています。また、成年後見制度よりも家庭裁判所のかかわりが少なく簡便に制度利用ができます。資産管理上の柔軟性もあり、場合によっては逝去後の相続もスムーズになるなどのメリットもあります。

しかし、家族信託は判断能力が低下していない状態での契約が必要です。認知症への備えとしては適していますが、認知症を発症した後の利用はできません。

具体策10  社会福祉協議会の「日常生活自立支援事業」の利用を検討する

家のリフォーム工事や高額美術品の購入などを行ってしまう場合には、市町村の社会福祉協議会が行っている有料サービス、「日常生活自立支援事業」はいかがですか?これは、判断能力が不十分な方が地域において自立した生活が送れるよう、ご本人との契約に基づき、福祉サービスの利用援助等を行うものです。有料サービスですが、訪問1回につき平均1,200円と低額で、各種支払いや契約行為の支援を受けることができますこのサービスを利用するには、すでに認知症で判断能力が低下していることが前提です。お住まいの市町村の社会福祉協議会で相談を受け付けています。

(成年後見制度はいろいろ問題が多いと判断し、割愛します。成年後見人等をご検討の場合は、ネットで調べてください。)

具体策11 食品や日用品など少額の爆買いは、「不安や焦燥感の解消代」「欲求不満の解消代」と割り切る

アルツハイマー型認知症の方は、「物忘れをした」「注文を間違えた」「料理を失敗した」などの自覚があるそうです。自覚があるからこそ、変わってしまった自分が不安で、何も出来ないのではと不安で、失敗を隠したり、かたくなに認めないことで自分を守ろうとします。このように毎日不安にさいなまれている方が、記憶障害だからおこなってしまう行動です。あるいは、大切だった過去の習慣を繰り返してしまうだけです。認知症が進めば、電話注文さえもできなくなる日がやってきます。

あなたの心の健康のために、少額の出費であれば、病気の代替医療の1つと割り切ってはいかがでしょうか?

実家の押入れに通信販売の商品が、使っていない状態で山積みにされていた場合の具体的な対処法10!

実家の押入れに、通販商品が未使用の状態で山積みだった場合の具体的な対処法10!(PatによるPixabayからの画像)

最後に

具体策1でお勧めした「地域包括支援センター」ですが、ネットに「対応がひどい」「使えない」といった口コミがあります。知人の中にも「地域包括支援センターを利用したら最悪だった」と嫌悪感をあらわにする方もいます。

厚生労働省のアンケート調査には「業務の種類と量が多すぎる」「通常業務が忙しいため新しい事業等に取り組む余裕が無い」などの苦悩が書かれています。また、地域によって職員の知識など力量に偏りがあるそうです。担当の「地域包括支援センター」が最悪だった場合どうするか?私の提案は2つです。

1.介護は平均8年かかるそうなので、今後を見据えて「地域包括支援センター」を管轄する役所、都道府県や厚生労働省に具体的に苦情を申し入れ、改善を求める。

2.「地域包括支援センター」が最悪で役に立たない場合は、他に相談できる窓口や団体をさがす(ただし、住所が変わらない限り担当する「地域包括支援センター」は変更できません)

*お母様がお住いの自治体で「地域包括支援センター」以外の相談窓口を探す。地域により、「高齢者みまもり相談室」とか「高齢者福祉課」などの窓口もあります。

*お母様のかかりつけ医に相談先を紹介していただく。あるいは、通院している病院のソーシャルワーカーや地域連携相談室に相談してみる。

*シルバー110番(高齢者総合相談センター)に相談してみる

各都道府県から委託を受けた高齢者総合相談センター(地域によって若干名称が違う場合あり)は、シルバー110番とよばれ、お年寄りやそのご家族の方が抱える様々な問題に、電話や文章、面接を通して相談に応じ、情報提供を行なっています。相談費用は一切かからず、プライバシーは厳守されます。

ネットで、要介護者の暮らしている都道府県のシルバー110番を見つけることができない場合、プッシュホン回線の電話から「#8080(ハレバレ)」に電話すると、その地域のシルバー110番につないでもらえます。また、都道府県によっては、こちらに訪問してくれたり、メール相談も受け付けるので、とても便利です。

(鹿児島シルバー110番 専用電話(099-250-0110)及びフリーダイヤル(0120-165270)は令和4年3月31日で事業終了。相談業務は「高齢者内容別相談窓口」に移行。)

あなたとお母様のご多幸とご健康を祈ります。

以上

実家の押入れに通信販売の商品が、使っていない状態で山積みにされていた場合の具体的な対処法10!

実家の押入れに、通販商品が未使用の状態で山積みだった場合の具体的な対処法10!(Mariya 🌸🌺🌼によるPixabayからの画像)

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