「飲み会」で新型コロナを防ぐには?感染事例と感染予防の提案をご紹介!
そろそろ忘年会や新年会のスケジュール調整が始まる時期になってまいりました。今年の忘年会や来年の新年会は、リモートですか?それともリアル飲み会ですか?リアル飲み会で、新型コロナに感染しないために、国立感染症研究所が発表なされた事例と提言を紹介します。https://www.niid.go.jp/niid/ja/diseases/ka/corona-virus/2019-ncov/2484-idsc/9941-covid19-26.html
飲み会で新型コロナに感染しないための参考事例と提案
この論文は、国立感染症研究所の実地疫学専門家養成コース(FETP)がクラスター対策班として全国の、のべ121事例を実地疫学調査を行った中から、いわゆる「飲み会」の際に発生したと考えられた集団感染事例のうち、具体的な知見等につながる情報が得られた6事例をピックアップなさったものです。
では、具体的にどのような状況の「飲み会」でクラスターが発生したのでしょうか?
事例1:発症者が参加したテーブル席の宴会で7人中5人が感染
- 発症者(咳込んでいた)を含む7人の飲み会、店内テーブル席、宴会時間は3時間ほど
- テーブルは、フロア中央部辺りの席で周囲に壁はなし
- 対面距離は1m程度 横との距離は肩が触れ合う程度
- 客のマスク着用状況は不明
教訓
- 感染しなかった2人は、1人は発症者の対角線上(1m以上離れた距離)に着席し、もう1人は短時間(30分程度)しか参加していなかった。
事例2:発症前(無自覚)の方が参加した個室飲み会で、同席全員が陽性に
- 10名程度のグループ、飲み屋の個室、5時間利用
- 窓などはなく、換気は十分ではなかった
- 仕切り板やシートの設置等の飛沫伝播への対策はなかった
- 従業員はマスク着用しており、接客、配膳下膳、後片付けをした従業員への感染はみられなかった
教訓
- 換気が悪く、仕切り板やシートの設置等がない、人が密な空間で一緒に飲食をすることは感染のリスクが高い
事例3:発症者を含む同僚7人の個室利用の会食で、5人が感染
- 職場の同僚(発症者を含む)計7名、個室を使用、4時間程度利用
- 発症者以外の参加者6名のうち、5名が感染、発症者から対角線上最も離れたところに座っていた参加者はPCR検査陰性
- 発症者は会の途中で席移動していた
- 客は全員マスク着用していなかった
- テーブルは一辺1.5m程度で手を伸ばせば対面の参加者に届く程度の距離、隣席は肩がぶつかる程度の密接具合だった
- 店舗に窓はなく、外気の取入れは出入り口のみで、利用した個室は出入り口から最も奥まった場所に位置していた
- 個室には窓がなく、出入り口はオープンになっていたが、サーキュレーターなどの配置はなかった
教訓
- 換気が悪く、肩がぶつかる程度の密な空間で一緒に飲食をすることは感染のリスクが高い
- 席の移動を伴う飲み会は多数の感染者が発生するリスクが高い
以上、6例のうちの3例を紹介いたしました。
実地疫学専門家養成コース(FETP)からの提案
そして、これらの実例を踏まえた実地疫学専門家養成コース(FETP)の提言は以下の通りです。
- 飲食店のお客様同士での感染伝播が主であるから、体調不良者、または少しでも異変を感じる場合はイベントや宴会に参加しない
- 自らが感染源になるリスクを極力おさえるため、日頃から感染機会(3密)を避け、正しいマスク着用、手指衛生を心掛ける
- 回し飲みや返杯(通常飲用に用いる容器の共用)を行わない
- 不要な従業員や別グループへの接触を避ける
これらの提言や実例を参考になさって、どうか忘年会や新年会を安全に楽しまれますように!
謝辞:国立感染症研究所の実地疫学専門家養成コース(FETP)の論文に感謝するとともに、今後のご活躍をお祈りいたします。
いわゆる「飲み会」における集団感染事例について https://www.niid.go.jp/niid/ja/diseases/ka/corona-virus/2019-ncov/2484-idsc/9941-covid19-26.html
いわゆる「飲み会」における集団感染事例 2020年10月23日作成 国立感染症研究所 実地疫学専門家養成コース(FETP)同 感染症疫学センターhttps://www.niid.go.jp/niid/images/epi/corona/covid19-26.pdf
NIID 国立感染症研究所 https://www.niid.go.jp/niid/ja/
以上