市民農園の利用者は、非利用者に比べ精神的な健康状態が2.3倍も良好!
東京大学大学院の農学生命科学研究科の曽我昌史准教授らは、株式会社アグリメディアと共同調査を実施し、市民農園の利用者344人と、非利用者で畑サービスや家庭菜園等を一切利用していない200人の精神的健康度を調査しました。
その結果、市民農園の利用者は、非利用者に比べ精神的な健康状態が2.3倍も良好と判明。この調査結果を、2020年5月のプレスリリースからご紹介します。(プレスリリース:https://drive.google.com/file/d/1u_ZCi2a68ueEl-VTtKDq_zcfzIzOtw2P/view)
市民農園の利用は、健康によい影響を及ぼすか?
今回の調査は、2019年7月に㈱アグリビジネスが運営している農作物栽培サポート付き市民農園の利用者344人(男性166人、女性178人)と、非利用者で畑サービスや家庭菜園等を一切利用していない200人(男性100人、女性100人)にインターネットによるwebアンケート調査を実施。両者の属性に差異が出ないよう、居住地(東京・埼玉・神奈川・千葉・大阪・京都・兵庫)、年齢(30代~70代以上まで)、性別、所得等を同一条件で調査しています。
そして精神的な健康状態を調べるため、5項目65問で、農園の利用について、健康状態について、野菜・果物を食べる頻度、自然に対する意識、通院の頻度に関して回答を得ました。
調査の結果、判明した点
- 市民農園利用者と非利用者を比べた場合、精神的健康度の不健全性を示す値が、非利用者のほうが2.3倍高い
- 市民農園の利用頻度に比例して健康の数値が改善する
精神的健康度に2.3倍も差が出た原因としては、
- 土を耕すなどの適度な運動によるストレス発散効果
- 畑で自然(植物)と触れ合うことによるリラックス効果
- 家族や他の利用者とのコミュニケーションによる健康促進効果
以上の3点を曽我昌史准教授はあげていらっしゃいます。
農作業におけるリハビリテーションの効果について
また、東京大学大学院農生命科学研究科の安永円理子准教授は田無病院と協働して、2017年から江戸東京野菜を用いた「農作業におけるリハビリテーションの効果」の研究を続けています。(田無病院)(東京大学)
このプロジェクトについて安永円理子准教授はこうおっしゃっています。
「1年目は病院内の小花壇に江戸東京野菜の苗を植えました。収穫もメニュー考案も調理も患者さんたち自身でやってもらって、最後にみんなで食べたんです。改善効果は予想以上でした」
「畑の軟らかい土の上ではバランス感覚が必要で、いい訓練になるようです。2年目から利用している農場にある香りの強いハーブ類もいい刺激になります。転倒・怪我予防、こまめな給水、日差しや雨の心配など、気を遣うことは多いですが」
リハビリに農作業をおこなった効果
その結果、このような成果が出ているそうです。
- いつもは使えない右手を自然に動かしハサミでナスを収穫できた
- 笑わないおじいさんが笑った
- 夜中の独り言や妄想が減った
- スタッフの名前を呼んでくれた
田無病院のホームページでは、こう解説なさっています。
『農作業には「育てる・感じる・採る・(収穫物を)使う」という作業があります。これらの活動を通じて、日常生活に必要な心身機能のみならず、育ち、実がなる等の成功体験を他者と共有できます。
また生きるために必要な作物を自ら育て、収穫するという作業などが落ち着きや安らぎといった心理面や精神機能にも様々な効果が得られると言われております。』
残念ながら農作業を一度も体験したことがない私ですが、とても楽しそうです。ストレス発散になり、リラクゼーション効果も得られ、その上新鮮な野菜を収穫出来たら一石二鳥、いえ三鳥以上でしょう。
このコロナ禍で心も体も健やかに保つために、庭いじりや家庭菜園を、あなたも試されてはいかがでしょうか?
《参考》
☆東京大学大学院農学生命科学研究科·農学部 https://www.a.u-tokyo.ac.jp/
☆株式会社アグリメディア プレスリリース https://agrimedia.jp/news/257
☆【東京大学×シェア畑:共同調査】https://drive.google.com/file/d/1u_ZCi2a68ueEl-VTtKDq_zcfzIzOtw2P/view
☆医療法人財団緑秀会 田無病院 https://www.tanashi-hospital.or.jp/hospital/project.html
☆東京大学 大学院農学生命科学研究科 附属生態調和農学機構 https://www.isas.a.u-tokyo.ac.jp/index.shtml
以上