あなたは愛犬あるいは愛猫の噛み癖に、悩んでいますか?
ペット保険のペットメディカルサポート株式会社が、「ペット(犬と猫)の噛み癖」についてのアンケート調査結果を発表しました。さらに、日本獣医動物行動研究会の獣医行動診療科認定医、奥田順之先生のアンケート結果についての解説がお役に立ちそうです。このアンケート調査をご紹介します。
「ペット(犬と猫)の噛み癖」についてのアンケート調査
このアンケート調査結果のポイントは以下の4点です。納得ですか?それとも意外でしょうか?
- ペットの噛み癖に悩んでいると回答した方は、犬猫共に全体の約3割
- ペットの噛み癖の原因として回答者が考えているものは、犬猫共に「遊びの延長」が最も多く、「構ってほしい」「甘噛み」が続く
- ペットの噛み癖の相談相手として、犬の場合、家族が38%と最も多く、書き込みサイト21%、知人・友人18%が続く。猫の場合、書き込みサイトが33%、家族28%、獣医師21%の順
- ペットの噛み癖対策として、犬猫共に最も多かった回答は、「おもちゃを与える」。続いて「無視する」「大きな声を出す」「ストレスを発散させる」を合わせ全体の8割近くを占める
では、獣医行動診療科認定医、奥田順之先生の解説も含めて、詳しくご紹介します。

あなたは愛犬あるいは愛猫の噛み癖に、悩んでいますか?(Info > Selling of my photos to StockAgencies is not permittedによるPixabayからの画像)
☆回答者の年齢・性別の割合:対象はこのペット保険の契約者393名
- 女性 68%
- 男性 32%
《女性の年代別順位》
- 40代 31%
- 50代 31%
- 30代 23%
- 20代 10%
《男性の年代別順位》
- 40代 39%
- 50代 27%
- 30代 18%
☆Q1. ペットの噛み癖に悩んでいますか?
《犬の場合》
- どちらかと言えば悩んでいない・悩んでいない 62%
- 非常に悩んでいる・悩んでいる 32%
- どちらとも言えない 7%
《猫の場合》
- どちらかと言えば悩んでいない・悩んでいない 53%
- 非常に悩んでいる・悩んでいる 34%
- どちらとも言えない 13%
猫を飼っていらっしゃる方の方が噛み癖に悩んでいらっしゃる方が多いことに驚きました。奥田順之先生の解説をご紹介する前に、回答者のみなさんの犬や猫の年齢分布の上位5位までをご紹介します。
《犬の場合》
- 1歳未満 66%
- 1歳 11%
- 7歳 8%
- 8歳 5%
- 2歳 4%
《猫の場合》
- 1歳未満 60%
- 1歳と2歳 9%
- 5歳 7%
- 4歳と6歳 5%
年齢の割合が犬と猫では違っていることが判明したところで、奥田順之先生の解説を引用します。
『犬猫共に、噛む行動は、子犬・子猫の時期に特に発生しやすいものです。子犬・子猫では遊び欲求が強く、遊びに誘ったり、関心を引いたりするために飼い主を噛むことがよくあります。また、触られることやブラッシングが苦手で噛むこともあります。
一方、年齢とともに活動性が低下したり、飼い主が噛んではいけないと繰り返し教えたりすることで、噛むことが減少していきます。
しかし、子犬・子猫の時期に、「噛んだらもっと遊んでもらえる、関心を引ける」、あるいは、「噛めば、ブラッシングのような嫌なことから逃れられる」と覚えてしまうと、成長しても噛む行動が残ることがあります。そのため、頻繁に噛む行動が見られる場合は、1歳までに噛んではいけないとしっかり教えていくことが大切です。』
☆Q2. ペットの噛み癖の原因として考えられる最も当てはまるものをひとつ選んでください。
《犬の場合》ペットの噛み癖の原因として考えられるもの
- 遊びの延長 27%
- 構ってほしい 27%
- 甘噛み 18%
- 歯の生え変わり 5%
- ストレス 5%
- 不安や恐怖 5%
- 不明 5%
《猫の場合》ペットの噛み癖の原因として考えられるもの
- 遊びの延長 37%
- 構ってほしい 28%
- 甘噛み 14%
- 歯の生え変わり 9%
- ストレス 5%
- やめてほしい 5%
この噛み癖についての奥田順之先生の解説です。
『1歳未満の子犬・子猫で噛む行動が突出して多かったわけですが、若齢であればあるほど、遊びの延長や構ってほしいという理由から噛むことが多くなります。
年齢が上がっても噛む場合、主な原因は、不安や恐怖、縄張り意識、やめてほしいといった嫌なことを避けるための攻撃です。
しかし、それに気付かず、飼い主が「構ってほしい」「遊びの延長」ととらえてしまうと、早期の対応ができなくなり、噛みつきを悪化させることがあります。
噛みつきの本当に原因に向き合い、噛みつきが発生しないような生活を送れるようにしましょう。』
☆Q3.ペットの噛み癖を直すため、実際に相談している相手として、最も当てはまるものをひとつ選んでください。
《犬の場合》相談相手
- 家族 38%
- 書き込みサイト 21%
- 知人・友人 18%
- 獣医師 12%
- トレーナー 11%
- その他 1%
《猫の場合》相談相手
- 書き込みサイト 33%
- 家族 28%
- 獣医師 21%
- 知人・友人 9%
- その他 7%
- トレーナー 2%
犬も猫も飼ったことがないので、猫のトレーナーがいらっしゃるとは知りませんでした。この設問に対する奥田順之先生の解説です。
『犬猫の噛みつきは、その原因によって対応法が大きく異なります。誤った対処は、かえって噛みつきを悪化させることになります。
噛みつきの悩みを知人や友人に相談すれば、いろいろなアドバイスが得られるでしょう。
しかし、それは彼らの経験だけに基づくものかもしれませんし、必ずしも噛みつきの原因を考えた対応とは限りません。
悩みを共有することは大切なことですが、なかなか良くならないのであれば、悪化させる前に経験豊富なトレーナーや、行動学を専門にする獣医師に相談するといいでしょう。』
☆Q4. 噛み癖対策としてどんなことを実践していますか?
《犬の場合》ペットの噛み癖対策
- おもちゃを与える 25%
- 無視する 23%
- 大きな声を出す 18%
- ストレスを発散させる 13%
- ネットや書籍の指導法 7%
- 噛みつき防止スプレーを使う 7%
《猫の場合》ペットの噛み癖対策
- おもちゃを与える 34%
- 大きな声を出す 19%
- ストレスを発散させる 15%
- 無視する 12%
- ネットや書籍の指導法 8%
- 天罰式のしつけ 8% (天罰式のしつけ……ペットがいけないことをした場合、天が罰を与えたかのように、大きな音が鳴る、物が落ちるなど、ペットにとって不快なことを起こし、しないよう条件付けること。)
犬と猫では、噛み癖の原因が異なるせいか対策にも大きな差があり、驚きです。では、奥田順之先生の解説です。
『「噛んだらおもちゃを与える」という方法によって、その場の噛みつきは収まるかもしれません。しかし、犬猫は「噛めば遊んでもらえる」と学習し、噛む行動を増やします。
犬猫の噛む行動が関心を引くための場合、「無視する」という対応も注意が必要です。犬猫は、噛んでいるのに無視されると、徐々に強く噛むようになります。思わず「痛い」と反応してしまうと、犬猫は「弱く噛んだら無視されるけど、強くかめば関心を引ける」と学習するからです。
「大きな声を出す」対応は、それでやめる子もいれば、余計に興奮する子や怖がってしまう子もいます。
いずれの場合も、噛まれている原因に目を向け、そもそも噛ませないことが大切です。それにはしっかり遊んであげたり、散歩に行ったりして、十分に欲求を満たしてあげてください。あまり興奮性が高い場合は、ケージから出す際にリードを付けるといった対応も必要でしょう。』
いかがですか?ご参考になりましたか?
1歳未満のペットが6割以上ということは、初めて飼われた方も多いと想像します。どうか、新しいパートナーと楽しい関係が築けますように!
《参照》
*ペットの噛み癖に関するアンケート、獣医師が解説:ペット保険「PS保険」調べ https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000028.000057917.html
*ペットメディカルサポート株式会社 https://pshoken.co.jp/
*「犬の問題行動、どうしたらいい?」飼い主さんの悩みに、犬の問題行動に詳しい獣医行動診療科認定医の奥田順之先生がお答えします。https://pshoken.co.jp/note_dog/dog_behavior/
以上