簡単で楽しい心のデトックス法 2-緑の多い場所を歩くとネガティブ感情が低下

簡単で楽しい心のデトックス法 2

簡単で楽しい心のデトックス法 2(이룬 봉によるPixabayからの画像)

2019年11月8日にお届けした「簡単で楽しい心のデトックス法 1」の続きをおとどけします。

まず、前回のおさらいから。入浴」は、家庭のバスタブに浸かっただけでも「怒り」が減少し、「リラックス感」を得ることができました。特に入浴剤を使うと、お風呂上がりの「リラックス感」を長く持続させてくれることが証明されました。ゆずなどの柑橘類や炭、日本酒、リンゴ酢、ハーブなどをお勧めいたしましたが、試されましたか?

簡単で楽しい心のデトックス法の2番目は涙活(るいかつ)」。たくさん涙を流すほど、ストレスが解消し、心の混乱や怒り、敵意も改善するそうで、特にストレス解消に効果があるのは、悲しいときや感動したときに流す“情動の涙。映画やアニメ、本や漫画を鑑賞して、思いっきり泣きましょうと提案いたしました。そして今回ご紹介する、簡単で楽しい心のデトックス法は・・・

簡単で楽しい心のデトックス法 2

簡単で楽しい心のデトックス法 2(Photo MixによるPixabayからの画像)

3.「環境音楽を聴く

理化学研究所・大阪市立大学等の共同研究チームは、ピアノ、バイオリン、自然音源などから構成される環境音楽(①より)を聴くことで、疲労感が軽減し、「癒し」や「安心・リラックス」感の方向に気分が大きく動くことを証明(②より)なさいました。(①と②の詳細は最下段を参照)

この実験では、健康な成人20人に平日の終業後、環境音楽(①)を30分聴いた後と、音楽なしで過ごした30分後に、気分について入力して頂き、自律神経機能の変化についても計測しました。その結果、この環境音楽を30分聴いたあとでは、心拍数が著しく減少したそうです。

簡単で楽しい心のデトックス法 2

簡単で楽しい心のデトックス法 2(Julia SchwabによるPixabayからの画像)

この実験で使用した環境音楽は、ピアノ、バイオリン、自然音源などで構成され、疲労予防・疲労回復が期待されるアルバムを共同研究チームが選択。さらに、疲労、安心・不安、眠気、憂鬱などの主観的な気分を簡単に入力できるアプリケーションで気分を計り、同時に自律神経機能に与える影響を調べるために、心拍数なども計測しています。

その結果、音楽を聴いた後に「癒し」や「安心・リラックス」をより強く感じている人ほど心拍数がより減少。不安感や恐怖心など身体的、精神的ストレスが高まると心拍数が増加して、血圧も上昇します。反対に心拍数が減少したということは、血圧も安定し落ち着いた状態で、身体的・精神的ストレスが身体に負担をかけていない証拠です。「癒し」や「安心・リラックス」を強く感じれば、血圧も脈拍も安定した状態を得られます。

この環境音楽CDは販売されており、“自然に触れたときの感覚”を重視なさって制作されたそうです。この実験結果が、他の環境音楽でも同じ効果があるかどうか不明ですが、「癒し」や「安心・リラックス」感と心拍数が連動するのであれば、聴いた時に「ゆったりできる」とか「癒される」と感じる音楽なら良さそうな気がします。

1日の終わりに、ほんの30分くらい、あなたが癒しを感じられる環境音楽を聴いてみてはいかがでしょうか?

簡単で楽しい心のデトックス法 2

簡単で楽しい心のデトック法 2(TeeFarmによるPixabayからの画像)

4. 「緑の多い場所を散歩する

スタンフォード大学の研究者が、自然の中を歩くとうつ病のリスクが低くなる証拠を発見しました。(③より、最下段を参照)うつ病のリスクが低下するとは、どういうことでしょうか?また、自然の中の散歩が心のデトックスになるのでしょうか?

この実験では、健康な参加者が2グループに分かれ、1グループは草や低木がまばらに生えている草原地帯を90分歩き、別のグループは交通量の多い4車線道路沿いを90分歩きました。それぞれ歩く前と後に、参加者の心臓と呼吸の速度測定、脳スキャンを実施し、アンケートに記入してもらったそうです。

その結果、緑の多い場所を90分間歩いた参加者は、都市環境を歩いた参加者と比較して、不安やネガティブな気持ちを反芻する脳の活動が低下(④より、最下段を参照)自然環境か都市環境を90分間歩いても、体の機能に差はないそうです。けれど脳スキャンの結果によれば、緑の多い場所を90分間歩いた参加者は、ネガティブな感情を反復し続ける脳の活動が低下したそうです。このネガティブな感情を反復し続ける脳の活動とうつ病のリスクは、どのような関係があるのでしょうか?

『脳科学辞典』(⑤より)によれば、人間の大脳の前方にある「前頭前野」は思考や創造性をつかさどる脳の中枢機関だそうです。うつ病の場合には、この「前頭前野」付近の神経ネットワークが過活動になると多くの論文で報告されています。また、ネガティブな感情を反復・反芻する思考とうつ病との関連も指摘されています。この部分のオーバーヒートを、90分の緑の多い場所の散歩で抑えることができる。だから、自然の中を歩くとうつ病のリスクが低下するという訳です。

『この発見は、不安やネガティブな感情の調節が自然体験で出来る可能性を示しているので、エキサイティングです。』とスタンフォード大学のグレゴリー・ブラットマン氏は述べています。自然に触れる、緑の多い場所を散歩したり、キャンプするなど自然体験は、わたしたちのオーバーヒートしがちな感情の調節を助けてくれます。頭の中に渦巻くネガティブな感情を消してくれます。だから、豊かな自然に接すると気持ちが良いと感じるのでしょう。

「90分なんて、長い」と感じるかもしれませんが、わずか90分間緑の多い場所を散歩するだけで、過熱しがちで反復しがちなネガティブな感情を消すことができます。考えても対策の立てられない事柄や感情を、らせん階段を昇り降りするみたいにいつまでも考え続ける状態になってしまったら、緑の多い場所での散歩をお勧めします。おさまらないイライラにも、効果があるのではないでしょうか。

この週末は、新宿御苑、上野恩賜公園、木場公園、水元公園などお近くの少し大きな公園で、散歩を試してはいかがでしょうか?

簡単で楽しい心のデトック法 2

簡単で楽しい心のデトック法 2(RitaEによるPixabayからの画像)

今回ご紹介した2方法、「環境音楽を聴く」と「緑の多い場所を散歩する」に興味をもっていただけましたか?わたくしは、新年を迎える慣習も一種の心のデトック法だと思います。旧年、そして今日からは新しい年と人工的に区切りをつけて、再出発をしやすくしたり、金銭問題や人間関係を去年の出来事として処理しやすくする、賢くてスマートな昔の日本人が編み出した方法です。松は明けましたが、まだお正月。去年から引きずっているストレスや疲労を解消させ、考えても埒の開かない問題や感情は洗い流して、清々しい2020年を始めましょう。

簡単で楽しい心のデトックス法 2

簡単で楽しい心のデトックス法 2(BairynaによるPixabayからの画像)

参考

①”癒し効果・リラックス効果”が実証されたセラピーCD『疲労解消のための音楽』株式会社デラ、2015年6月25日  

https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000042.000001137.html

②プレスリリース『環境音楽聴取時の気分変化から自律神経機能を予測』理化学研究所、2017年4月27日

https://www.riken.jp/press/2017/20170427_1/index.html

③スタンフォードレポート『スタンフォード大学の研究者はメンタルヘルスの処方箋を見つけました』スタンフォード大学、2015年6月30日  

https://news.stanford.edu/news/2015/june/hiking-mental-health-063015.html

④研究論文『自然体験は反芻と前頭前野下皮質の活性化を減少させる』米国科学アカデミー紀要(PNAS),2015年6月29日

https://www.pnas.org/content/early/2015/06/23/1510459112

⑤脳科学辞典「前頭前野」https://bsd.neuroinf.jp/wiki/%E5%89%8D%E9%A0%AD%E5%89%8D%E9%87%8E

謝辞:記事および論文を参考にさせていただき、上記の皆さまに深く感謝いたします。なお、引用は『』で表記しています。

以上

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