お金がなく生理用品を買えない「生理の貧困」問題をあなたはご存じでしたか?

お金がなく生理用品を買えない「生理の貧困」問題をあなたはご存じでしたか?

お金がなく生理用品を買えない「生理の貧困」問題をあなたはご存じでしたか?(slalondeによるPixabayからの画像)

『令和3年3月15日(月曜)より、様々なご事情で生理用品を用意することが難しいかたに、防災備蓄品の生理用品をお渡しします。』と東京都豊島区のホームページに告知が掲載され、生理用ナプキン:30個入り1パックと、アルファ化米:1パックと、災害救助用クラッカー:26枚入り1パックと、保存用ビスケット:15枚入り1パックを袋詰めにして、豊島区が無償配布。(※3月19日で配布を終了) 300円前後の生理用品の購入に苦しむってどういうことなのでしょうか?

東京都豊島区の他にも、多くの自治体や民間団体が生理用品や食料品の無償配布を行っています。

  • 東京都町田市:4月5日(月曜日)、生活が困窮し、生理用品を買うことができない女性、又はネグレクトにより親等から生理用品を買ってもらえない子どものうち、先着1,000名(無くなり次第終了)、生理用ナプキン(32個入)と梅粥(2個)と水(500ml)とビスケット(6枚入)のセットを配布
  • 枚方市:4月21日から、コロナ禍で大幅に収入が減少した女性に生理用ナプキンを無料配布、災害用備蓄品の一部を緊急的に活用するもので、在庫がなくなり次第終了、昼用ナプキン20枚入り1パックか夜用ナプキン10枚入り2パックのどちらかを選択各種お困りごとの行政相談窓口一覧も合わせてお渡しします。
  • 東京都立川市:令和3年3月31日(水曜日)から、コロナ禍の影響による様々な理由で生理用品を購入できない女性を支援するため、必要とする市民等に生理用品を無償で配布するとともに、相談支援窓口の案内を同封し、女性を取り巻く諸課題への対応を図ります。防災備蓄用の生理用品1パック(28枚入り)、(注)在庫がなくなり次第終了
  • 大府市:令和3年4月27日(火曜)から 、コロナ禍による女性の経済的な負担軽減のため、防災備蓄用の生理用品等を無償でお渡しします。生理用ナプキン1パック(30個入り)と保存用ビスケット3パック(5枚入り)で1セット、※1世帯につき1セット、※各配布場所のセットが無くなり次第終了
  • 東京都渋谷区:令和3年4月8日(木曜日)~令和3年5月31日(月曜日)、様々なご事情で生活に困窮し、生理用品を購入できない女性を支援するために、防災備蓄用の生理用品等を配布いたします。生理用品(30枚入り 東京都供出)と非常食(1日3食セット 区備蓄品ー災害発生当初、避難者に迅速に配布できるよう1日分の食糧を渋谷区独自にパックしたもの)のセット、(注)100セットがなくなり次第終了
    お金がなく生理用品を買えない「生理の貧困」問題をあなたはご存じでしたか?

    お金がなく生理用品を買えない「生理の貧困」問題をあなたはご存じでしたか?(S. Hermann & F. RichterによるPixabayからの画像)

つまり、「生理の貧困」は特定の地域の問題ではなく、日本全体が抱える問題です。「生理用ナプキンなんて、安いじゃない。なぜ?!」と思われますか?コロナ禍は、女性の雇用を劇的に悪化させています。特にシングルマザーが経済的窮地に立たされている状況を『コロナ下の女性への影響と課題に関する研究会報告書』から分かりやすくご紹介します。

☆コロナ禍による経済的困難は女性の方が激しく、特にシングルマザーは苦境に立たされている

  1. 女性の失業率が高い  
  •  就業者数、男女とも2020年4月に大幅に減少。特に女性の減少幅が大!  男性:39万人減、女性:70万人減
  • 雇用者数、男女とも2020年4月に大幅に減少。特に女性の減少幅が大!   男性:35万人減、女性:74万人減
  • 女性の雇用者数(役員を除く)はパートタイムなどの非正規雇用労働者は2020年3月以降12カ月連続で減少
  • 特に女性の非正規雇用労働者の減少幅は男性の約2倍! 男性:26万人減、女性:50万人減
  • 休業者数は、男女とも2020年4月に大幅に増加。年平均では、男性は35万人増、女性は45万人増
  • 非労働力人口は、男女とも2020年4月に大幅に増加。特に女性の増加幅が大! 男性:25万人増、女性:64万人増

  広義の失業率とも言われる未活用労働指標(*1)を見ると、

  • 平成 30(2018)年1~3月期以降、男性は概ね4%台、女性は7%台と、もともと女性の方が高水準で推移
  • 令和2(2020)年4~6月期には    男性 6.5%、         女性 9.2%まで高まっている

  つまり、女性は仕事に就いていない人が70万人増え、あるいは雇われていない人が74万人も増えています。パートタイムの仕事は昨年3月からずっと減り続け、パートタイムで働く女性の50万人が仕事を失っています。だから、働きたくても働けないから労働力と見なされない女性が64万人も増えています。

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お金がなく生理用品を買えない「生理の貧困」問題をあなたはご存じでしたか?(Elke StürznickelによるPixabayからの画像)

 2. 女性の非正規雇用労働者の割合が高い飲食・宿泊業などで女性就業者数のマイナスが大きい

  • 産業別就業者数の前年同月差(2020年4月~2021年2月の1か月当たり平均)

  《減少産業》1.飲食:    女性19.0万人減  男性9.5万人減 

        2.製造:    女性9.5万人減   男性10.5万人減

        3.生活・娯楽: 女性7.6万人減  男性1.3万人減

  《増加産業》1.医療:    女性8.5万人増  男性1.2万人増

        2.金融・保険: 女性4.5万人増  男性3.2万人減

        3.福祉:    女性4.3万人増  男性2.1万人増

『また、就業者数の推移を産業別に見ると、女性の非正規雇用労働者の割合が高い飲食・宿泊業などで女性就業者数のマイナスが大きい。さらに、雇用関係が継続しているため「失業者」には含まれないが、シフトが減少し、所得が減少した非正規雇用労働者が一定数存在していることも想定される。 』とこの報告書は指摘なさっています。

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お金がなく生理用品を買えない「生理の貧困」問題をあなたはご存じでしたか?(Sơn Nguyễn ĐìnhによるPixabayからの画像)

3.⼥性の収⼊が1割以上減った家庭では、5世帯に1世帯が⾷費の切詰めを⾏っており、1割弱が公共料⾦等の滞納をしている

  • ⼥性の収⼊が1割以上減った家庭では、5世帯に1世帯が⾷費の切詰めを⾏っており、1割弱が公共料⾦等の滞納をしている。(ヒアリング資料より)
  • ⼥性の収⼊があまり減っていない家庭と⽐較すると、⾷費切詰めと料⾦滞納の発⽣割合は、2倍〜4倍もの⾼さとなっている。(ヒアリング資料より)
  • 完全失業率の推移を見ると、令和2(2020)年7月から9月期のシングルマザーの失業率が大幅に増加
  • 子供のいる有配偶者と比べて、シングルマザーの失業率が令和2(2020)年9月に3ポイント高い
  • 山形県しあわせ子育て応援部長 松田 明子氏によれば、『ひとり親について、ライフラインである家賃を支払うことができていない人が一定数存在している』との報告があります。

食費を切り詰め、さらに公共料金の滞納もせざるを得ない状況であれば、生理用品を買う余裕が無いことも想像できます。あなたは、この状況をご存じでしたか?恥ずかしい話ですが、私は知りませんでした。苦境で戦っている女性がいっぱいいらっしゃることに気が付きませんでした。

お金がなく生理用品を買えない「生理の貧困」問題をあなたはご存じでしたか?

お金がなく生理用品を買えない「生理の貧困」問題をあなたはご存じでしたか?(Dietmar DorschによるPixabayからの画像)

地方自治体の皆様にお願いします。予算がない状況で迅速に生理用品の無償配布を行うために、備蓄品の無償配布を行って下さり、本当に有難うございます。けれど、生理は毎月1回来ます。たった1回の無償配布では足りません。どうか、経済が好転するまで定期的な支援をお願いします。女性は、これからの日本を担う次世代を産み育てる存在です。どうか、彼女たちを支援してください、お願いします。

それから、それぞれの自治体の財政状況もあると思いますが、叶うならば東京都豊島区の配布のような、生理用品と食料品の無償配布をお願いします。

最後に、この『コロナ下の女性への影響と課題に関する研究会報告書』によれば、『日本の医療・介護従事者のうち、看護師の 92%訪問介護員の 78.6%、施設介護職員の 70.1%は女性である。こうした人々が、高い感染リスクにさらされ続けながら、患者や利用者のケアにあたってきたことを忘れてはならない。 』とありました。医療分野で8.5万人、福祉分野で4.3万人の女性就業者数が増えたことも納得できます。

1人でも患者を増やさないために私も新型コロナに感染しないよう細心の注意を払い続けることで、医療・介護を支え、働き続けて下さる全ての皆様に感謝と尊敬を表したいと思います。

お金がなく生理用品を買えない「生理の貧困」問題をあなたはご存じでしたか?

お金がなく生理用品を買えない「生理の貧困」問題をあなたはご存じでしたか?(Robert PriestによるPixabayからの画像)

《参考》

☆コロナ下の女性への影響と課題に関する研究会報告書 ~誰一人取り残さないポストコロナの社会へ~ https://www.gender.go.jp/kaigi/kento/covid-19/index.html

(*1)未活用労働指標:(失業者+追加就労希望者数+潜在労働力人口)÷(労働力人口+潜在労働力人口)×100(総務省「労働力調査」詳細集計より)

以上

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