成熟した女性を若返らせる魔法-メイクアップが、心地よい緊張感や積極性や社交性を甦らせます

高齢女性が若返る方法

成熟した女性を若返らせる魔法( starbrightによるPixabayからの画像)

年末の「あなたがあなたらしく生きる方法」に続き、化粧が持つ素晴らしい効果を分かりやすくお届けします。特に今回は、成熟なさった女性がメイクアップによって劇的な変貌を遂げるお話です。

伊波和恵先生のグループによる研究では、脳梗塞による認知症で、やや鬱気味で何事にも消極的だった82歳のWさんは、お化粧をしてもらうことだけで、積極的で社交的になられたそうです。

認知症の検査を拒否したり、他の方からの呼びかけを無視するなど孤立なさっていた、82歳のKさんも、お化粧をしてもらうことだけで笑顔が増え、顔見知りに挨拶をするようになられたそうです。(①の論文より、以下参考論文は最下段に表記)

高齢女性が若返る方法

成熟した女性を若返らせる魔法(tremaestroによるPixabayからの画像)

その方法は、施設に入所・通所しているWさんとKさんに、週1回の割合で、10回以上、基礎化粧とメイクアップを毎回10分間程度施術することでした。

Wさんは、”この歳になってお化粧がしてもらえるなんて”、”女の命は顔だから”と実験への参加を最初からとても喜び、週1回の実験にも積極的に参加。

また、顔面麻痺の後遺症で右目がパッチリ開かないことと、顔にシミが多くできたことを気になさっていて、実験が進むにつれてそれを隠してほしいと化粧方法に対する要求も出てくるようになったそうです。

Wさんはご自身の容姿に興味関心を失って、やや鬱気味で消極的だった状態から、お化粧をしてもらったことで、もっと綺麗になりたいという意欲が生まれるくらい変貌しました。

また、お化粧をしてもらった後に周囲の人から褒められるのが嬉しいようで、ご自身で進んでその話をおしゃべりするようになり、ご家族の話によると化粧を受けるようになってから非常に明るくなり、積極的で社交的になってきたそうです。さらに、一時帰宅後はコンパクトを施設内でも肌身離さずに持ち歩くようになっています。(①・②論文より)

高齢女性が若返る方法

成熟した女性を若返らせる魔法(Bruno GlätschによるPixabayからの画像)

WさんやKさんを明るく積極的で社交的に変貌させたお化粧とは、何なのでしょうか?

化粧、つまり外見を飾ることは単に自分の身体をケアするだけでなく、他者の目に映る自分を想像し、なりたい自分を演出する行為だそうです。

人は誰でも、親として、子どもとして、あるいは職業人として、必ず何らかの社会的役割を演じながら、毎日を暮らしています。そして、美容という行為は、高齢や病気によって、その役割を果たせずに、自分らしくなくなったと感じている人に対し、自らの役割を思い出させ、それを遂行させる手助けとなると野澤桂子教授は分析なさっています。(③論文より)

高齢女性が若返る方法

成熟した女性を若返らせる魔法(photosforyouによるPixabayからの画像)

では、化粧が他の人の目に映る自分を想像し、なりたい自分を演出する行為ならば、成熟した女性の多くの方が、なぜ化粧をしないのでしょうか?

ある施設利用者109人の女性(65~93歳)に「化粧」のイメージを自由に答えていただいた調査があります。(④論文より)

化粧への悪印象では、「邪魔である」「面倒」「お金がかかる」「手足が不自由だからずっとしなかった」「(しても)あまりいいことがない」「化かすもの」「もう歳だから、何をしても仕方がない」など手間や費用から否定的だったり、年齢を理由にした諦めがうかがえます。

好印象は、「(女の)たしなみ、身だしなみ、礼儀作法」「ええこと」「きれいになる(から、した方がいい)」「若い人にはいい」。

さらに、好印象の中にも、「年寄りだから、もはや化粧をしても仕方がない」「寝ているだけなら、面倒だからしない」と否定的な回答もあったそうです。

つまり、化粧を好印象で捉えていても、とくに歳を重ねることで変わる生活環境や健康状況、肌や顔かたちの変化と、「化粧をした若く美しかった自分」との落差に失望したり落胆を重ねることで、次第に化粧から遠ざかってゆく女性心理が読み解けます。

高齢女性が若返る方法

成熟した女性を若返らせる魔法(Rebecca MatthewsによるPixabayからの画像)

さらに、化粧をやめた年齢と化粧をやめた理由は、3グループに分かれます。

この3グループの中で28名と最も多かったグループは、60歳代~80歳以上の頃に、病気や怪我による入院や施設入所など、人生の後半で大きな転機を迎えたことが理由です。

彼女たちは、「手がきかなくなったから」「鏡台ごと、(化粧品を)処分した」「寝間着に化粧というのも、しがいがない」と答えています。(④論文より)病気や生活環境の変化という人生の岐路に立たされたとき、彼女たちの好き嫌いにかかわらず、いわば身辺整理の一環として、化粧とそれにまつわる道具や思い出を捨て去ったり、あるいは、捨てるしか方法が無かったに違いありません。

このような諦めや喪失があったからこそ、メイクアップは成熟した女性を若返らせます。

高齢女性が若返る方法

成熟した女性を若返らせる魔法(Kathy FowkesによるPixabayからの画像)

人生の先輩の皆さま、七五三のお祝いで生まれて初めて紅をさしてもらった、あの魔法を思い出してください。もう一度お化粧を始めて、今の肌色にあった口紅をひいて、今のあなたにふさわしいお姫様になってください。人生をより楽しむために、もう一度お化粧を楽しんでください。

スキンケアは、リラクセーション効果をもたらします。メイクアップで、心地よい緊張感や積極性や社交性が生まれます。若い女性の美しさを「美」とするのではなく、歳月を重ねたアンティーク・ジュエリーのような美しさを表現なさってください。どうか、「歳だから化粧しても仕方がない」などとおっしゃらないで。

お身体が不自由な方へのアドバイスは、mixiのコミュニティサイトです。アドレスを下に貼り付けます。特定の化粧道具ではなく、いろいろな商品を工夫して使っていらっしゃるようです。

身体障害者コミュの女性のみなさん、お化粧どうしていますかhttps://mixi.jp/view_bbs.pl?comm_id=171905&id=60317040

また、傷跡や皮膚変色をカバーするメディカルメイクアップもご紹介します。

特定非営利活動法人メディカルメイクアップアソシエーション http://www.medical-makeup.net/medical-makeup

女性の皆さま、年齢や病気などにとらわれず、なりたい自分をメイクアップで作り上げて、自分らしく生きましょう!

高齢女性が若返る方法

成熟した女性を若返らせる魔法(David WarrenによるPixabayからの画像)

参考論文

①『アルツハイマー型老年痴呆症、ぼけ症状を呈する人々への化粧による情動活性化の研究』同志社大学 浜 治世著

②『老年期痴呆症者における情動活性化の試みー化粧を用いてー』同志社大学文学部 伊波和恵、浜 治世著

③『高齢社会における美容の可能性』国立研究開発法人国立がん研究センター 野澤桂子著

④『高齢女性と化粧ー化粧の臨床心理学的適用の方法および実践ー』伊波和恵、浜治世著

謝辞:上記論文の先生方、みなさまの素晴らしい論文を参考および『』で引用させていただきました。有難うございました。

以上

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